
先月の七月三日、私の誕生日にエリーゼは京都から戻ってきた。 そう、ゼッケン73は私の誕生日。 今回、公認車検を取る際、25年の長きに渡って使用してきたナンバーを思い切って希望ナンバーに変更した。 ゼッケンもナンバーも同じ数字になったので、クルマを呼ばれる際に戸惑うことが無くなったわけだが、警察に「前の73番止まりなさい」はご遠慮申し上げる。

Mメカがテスト走行から戻って来て、店主から「まずはその辺を一周してきて下さい」と言われ、私は久しぶりに運転席しか付けられていない自分のエリーゼに座った。 まず、エンジン始動。 実にあっさりと掛かってくれる。 掛かるときも吠えるような雄叫びを上げないようにセットしてくれたのが嬉しい。
そしてクラッチを踏むと、エクセディの強化メタルクラッチがこのクルマが只者ではないことを否応なく伝える。
これは手強そうだ。
私はクラッチ操作も下手なのだが、ミートポイントが以前と比較すると随分手前になったのに加え、メタルクラッチ特有の繋がりもあり、操作には随分と気を使うことになった。 オーガニックとは異なり、やはりメタルクラッチは繋がりがシビア、ガチッと食いつく感じで繋がる。 そして踏力も必要となり、レスポンスも鋭いのでスムーズに走れるようになるには少し時間がかかりそうだ。
ショップから出る際におもむろにステアリングを回すと、ステアリングのガタが気になった。 随分とガタが大きいな。 これは第二章開始に向けて、ラックの接続ジョイントをエリーゼパーツから取り寄せた新品ジョイントに交換していただこう。
さて、まずは東京に帰るためにガソリンを入れなくてはならない。 今は車検がスムーズに通るように車高はかなり高くされているので、ガソリンスタンドに入るのには余り気を使わずに済んだ。 カッコヨクナイけど、まぁ暫くの我慢だ。
ショップの前は国道1号線で、当然のように法定速度プラスアルファで流れているわけだが、スピードメーターが60キロを超えたらメーターの針がゼロに落ちてしまった。 友人に製作していただいたスピードメーター修正モジュールが上手く動いていないようだ。
初心者のようなヘタクソな運転で少しだけ周囲を走ったあと、必要なパーツをクルマに取り込むためトランクを開けようとしたら、オープナーの動きが良くないし、ハンドルが随分と飛び出している。
リヤカウルの取付時にワイヤーの取り回しが良くなかったのかも知れない。 そしてその際、ハンドルが飛び出た状態でドアを閉めてしまい、ハンドルの金属部分が曲がってしまったようだ。 ハンドルのガタも大きく、トランク側のワイヤー先端が少しほつれかかっているので、これは新品を用意して交換しておこう。
いっそのこと、ボンピン仕様にするのも良いかも知れない。
さて、今はそんな細かいことより、京都から東京まで無事に帰ることが第1優先。 天気予報によると、所々で雨が降る可能性があると言うし、実際にレーダーをみると彼方此方で雨が降っている。 私は夜の運転が苦手、運転免許は裸眼で通るのだが乱視気味のせいか夜になると極端に見づらくなる。
この日は名古屋での仕事の帰り、まさか乗って帰ることができるとは思っていなかったので、運転用の装備は一切用意してこなかった。 いつもエリーゼを運転するときは薄手でショートタイプのグローブ、踵が痛くならない細目のドライビングシューズ、そして運転時は度付メガネを使用するのだが、この日はスーツに革靴だ。
革靴でエリーゼの運転は初めてなのだが、こんなにも運転しづらいとは思わなかった。 こんなことなら、ワークマンを探して運転に適した靴とグローブを買うべきだった。 スーツもシワクチャだ。
今更嘆いても仕方ない、いざ、京都から東京へ。
Googleのナビをスマホにセット、ナビが表す速度を確かめながら運転すると、どうやら6速3000回転あたりが100キロ、3700回転あたりが120キロのようだ。 これなら新東名高速道路を使用しても、周りに迷惑をかけず、流れに乗りながら4000回転以下の慣らし運転で東京まで走り抜けられそうだ。
次に気になるのはガソリン。 ハイパワーなVTEC、どの程度の燃費で走り抜けてくれるのか全く想像がつかない。 エリパーで購入したアルミタンクは60Lということだが、中に入っているスポンジのせいなのか、50Lぐらいしか入らない気がするし、最後の10Lは吸ってくれないので実質40Lだと思っている。
これならノーマルと変わらないのだが、材質がアルミになって若干軽くなって錆びないのだけは利点。 残り10リッターが使えなければ、その重さで重量的な利点も無くなってしまっているが。
40リッタータンクだとすると、リッター10キロしか走らなければ満タンでも自宅まで持たない。 慣らしなら12キロぐらいは走ってくれそうだが、これは途中で計測してみなければわからない。
ということで、浜松あたりで入れてみたらリッターあたり15キロ程度も走ってくれていた。 概ね100キロ程度の巡航ならば、この程度走ってくれるということが解って良かった。 これなら浜松で満タンにすれば東京までならノンストップで帰れそうだ。
ところで、足はナイトロンのままで前11キロと後14キロ。 縮みの減衰を私好みに柔らかくしているので乗り心地は全く問題ないのだが、様々な音が入り混じって、まぁ煩い。 カウルの座りが悪いのか、ガタピシ・ガタピシとボディも煩い。
まさかスマホのナビ音声が音量最大でも聞こえなくなるとは思っていなかった。 暑いので窓全開で走っているし、車内は以前より一層ガタピシと煩くなったので合せ技で聞こえなくなったのかも知れないが、スマホナビが聞こえないのは問題、帰宅してから早速、AmazonでBluetoothのスピーカーを用意してしまった。
眠くならないように色々なことを考えながら走っていたが、慣らし運転だけではツマラナイので少し踏んでみようか。
120キロ区間で3速に落としてフル加速。 うおっ、身体が後ろに押し付けられたぞ。 テンロクのシビックや4AGのような軽やかさはなく、排気量が大きいトルクフルな吹け上がり方、VTECゾーンからは吸気音が半端ない。 4速にシフトアップしたとき、少し火を吹いたようでバックミラーが一瞬明るくなった。
私より先に友人がS3エリーゼに290馬力のK24を載せており、それに乗らせていただいたのは既に公開したが、あのときの加速も強烈だったが、私のも強烈。 これはサーキット仕様の完成が楽しみだ。
ということで、午前二時に無事自宅到着。
翌朝にエンジンフードを開けたら、フレッシュエアを吸えるように成っていないのが気になってしまい、よせば良いのに睡眠不足の老体に鞭打ってインテークダクトを拵えた。



ダクト口径は150Φ、ローバーの時に使った残りがあったので、それを使ってアルミの網を途中に入れて制作。 筑波はオイル処理にオガクズ使うのだが、それをファンネルが吸ったらエンジンにダメージを与えてしまうし、ハイグリップタイヤからのタイヤカスも飛んでくるので、細かめな網は必要だろう。
雨が強いときはダクトの向きをフードを開けて手で変えてやれば良い。 アナログ的な考えだが、私はこれで良い。
さて、次は足だ。


事前にエナペタルは発注済みで、友人のスタンダードなS1エリーゼでテストしていたのは稀有な読者ならご存知だと思うが、これの装着に想定外の苦戦。 予想外のことが多々発生して時間が取られ、悲しいことに体力の限界が来て断念。 車の整備で手の握力が無くなったのは初めてだ。
私の手には負えないことがわかったので、アライメントも正確にセットしたいのでショップの店主にお任せすることにした。
私のエリーゼにはアコードユーロRのミッションが積まれているのだが、K20の時に筑波サーキットを走った際、ギヤ比が合っていないような気がしたので確認してみた。

これを基本として、レブまで回した時の繋がりがどうなるかと言うと

繋がりは悪くなさそうだが、ターゲットとする速度域が、コーナーのアプローチから脱出部分まで上手く合ってくれれなければファイナルを変えなければならない。
そこで、筑波サーキットでバッチリだったローバーのギヤ比はどうかと言うと

これの繋がり具合は下記のような感じで、此処一発の時には8300まで回せたので、筑波の2ヘアでは3速で引張って2速に落とすだけ、ギヤを2つ落とすのは1コーナーだけ、ダンロップ下でギヤチェンジをする必要がなく、最終コーナーも立ち上がりの最後、メインポストあたりでシフトアップになったので、非常に繋がりが良くて横Gが掛かるところでのシフトチェンジが無いのでシフトミスも起きにくくて良かった。

改めて比較してみると、ローバーの一つ上のギヤがユーロRのギヤ、セカンドでカバーしていた速度域がサードギヤ、という感じで一つづつ上のギヤだということが解った。
筑波で言うと、1コーナーや1ヘヤと2ヘヤはローバーでは2速がバッチリなのだが、ユーロRの3速がピッタリではないかと嬉しくなったが、待てよ、大幅にパワーアップしているので、各コーナーへの到達速度は上がるはずだ。 そうなると、、、中途半端なシフトアップが多く発生してしまうのか。
これは足が決まってから実走しながら再考だな。
その前に片付けなければならないことが山積されているので。
友人が作ってくれたスピードメーターの修正モジュール、すでに記載した通り残念ながら上手く動いてくれなかった。 それを友人に伝えた所、根本的なところから見直してくれた。
難しいことはよく解らないので、友人のホームページを覗いていただければと思うが、S2以降の速度センサーはS1の速度センサーとは歯数が異なるため、1.5倍しなければ正しい速度表示にならないのだが、拾った数値を単純に1.5倍してメーターに吐き出せば良いわけではないらしい。
今回はメーターのコンデンサーまで交換していただいた。
下のコンデンサーは0.1μFなのだが、これを

0.01μFのモノに交換

こんな虫眼鏡で見なければわからないような電子パーツを、メーカーが作った基盤から取り除いて、更に新たに半田付けしなおすなんて、私には到底出来ない。 そもそも、メーターの基盤をみて、それを改造しようなんて絶対に考えつかないし、しようとも思わない。
そんな素晴らしい友人のホームページはここ。そして此処も。
電子工作が得意な人でなければ何が書いてあるか解らないと思うが、世の中には、こんな天才的な頭脳を持った人が居て、それが私の友人であることをとても嬉しく思う。 私のエンジンを作ってくれたインパクトさんも素晴らしいと思っているし、これからクルマを預ける予定のショップも、今までお世話になってきたショップもそれぞれに素晴らしい所がある。(あった)
人には各々が得意としている分野があると思うので、私はその人が得意としている分野を生かすような依頼を今後もしていきたいと思っている。 これは他の仕事も同じだと思っていて、私は建築の設計、その中でも特殊な分野の意匠設計が得意なのだが、意匠設計は多少出来ても空調設計や電気設備設計は少しかわからない。 やはり、餅は餅屋に頼むべきなのだと思う。
ということで、メーターを外して友人が新設計してくれたのモジュールと改造してくれたメーターを取付けた。


電気系の工作は苦手だが、一般的な「切った貼った」までなら何とかなる。 ワイヤーストリッパーとハンダゴテは電子工作が得意な友人からお古をいただいているので、それを使って電工ペンチでカシメたりまでなら出来るが、コネクターのピンを抜いたり刺したりする特殊なピンセットまでは持ち合わせていない。

何とか完成したが、メーターの取付ボルトがすんなりと入ってくれずにイライラ。 なにか良い方法は無いものか、と友人に聞いてみたら、千枚通しで一旦通路を確保してからボルトを入れると比較的楽にできるらしい。
千枚通しかぁ、うちには無いから工具屋で手に入れておくか。
そうそう、友人が「メーター、沢山ついてるんだね」と言っていたが、全てサーキット走行に必要なものばかり。
左の端に少し見えているのはNTKの空燃比計、その下にはスマホを利用したラップタイマー。 スマホのラップタイマーは今でも表示が見やすいLAP+をこれまた古いGPSである747Proと共に愛用している。 リアルタイムでベストタイム更新の可能性がある予測だと画面が青くなり、過去の周回より遅い予測だと赤い画面になるのは非常に秀逸。
私はこれを超えるラップタイマーを知らない。 何と言っても見やすい、そして予測タイムが正確。 デジスパイスが有名で私も嘗ては使っていたが、わかりやすさではLAP+が一枚上手だと思っている。
話が逸れたので戻そう。
次にメーターの左に装着しているのは油温計。 此処には嘗て、大森の油温計を付けていたが壊れてしまった。 当時金欠で仕方なくオートゲージのメーターを自分で取り付けた。 この油温計、どうも10度ほど低く表示されているようだが、それが解っていれば問題ないので、スモークのカバーは宜しくないがそのまま使用している。
メーターの上にあるのがPZ RACINGのシフトライト LT200というAmazonで売っていた安物、任意の回転数で簡単にセットできるバイク用だが、クルマでも全く問題なく使えているし、何と言っても安かった。 今はモデルチェンジしてLEDが眩しくなく成ったようだ。
メーターの右は今はなき大森の油圧計。 もう随分と長い時間使用しているが、全く問題なく動いてくれている。 通常の設置だとハンドルで隠れてしまうので、逆さまにして使用している。
右端はデフィの燃圧計、これが有ったおかけで燃料ポンプの不具合に気がついた。
その下にあるのはナポレオンの電波時計・温度計・電圧計。 正確な時間はレースのスケジュールには必要だし、サーキットのスポーツ走行でも必須。 電圧計はバッテリーの状態やオルタネーターの不具合が現れる。 温度計は室内温度がわかって、熱中症の予防に役立っている。