平等院、御存知の通り十円玉の裏のアレである。 京都からも奈良からも少し離れているためか、今まで一度も赴いたことがなく、このチャンスを逃してはならない、と、大阪のホテルを七時過ぎに出て九時前に到着。 此処は八時半から開門ということで、ほぼほぼ一番乗り。 例によって私は人混みが苦手なので、辺鄙なところか朝早く行くしか無い。
朝いちで現地に到着したときには、人は殆ど居らず大正解と喜んでいたが、三十分もせずに修学旅行生がゾロゾロとやってきた。 慌ててパチリとしたのが、上の写真。 残念ながら、修理の人が写ってしまっているが仕方ない。
同じ敷地内にある平等院ミュージアム鳳翔館が良かった。 栗生明氏の設計だが、これは素晴らしい。 流石、日本芸術院賞を取った建物だけのことは有る。
コンクリート打放しを多用しているのだが、ご法度とされているピン角仕上げ。 コンクリートは角が欠けやすいので、一般的には面取りをするのだが、敢えてピン角仕上げ。 しかも難しい杉板の型枠を使いながらも、しっかりと型枠の継ぎ目を合わせて素晴らしい出来になっている。 EV入口のなんとシャープなことか。
これは設計者もさることながら、施工の大林組を褒めざるを得ない。しかし、残念ながら内部は一切の撮影禁止。 平等院のお宝が収められているのだが、建物の写真は取らせて欲しかった。
現在流通している一万円札の裏にある鳳凰像は、平等院の鳳凰。 現物を目の当たりにしたが、うっとりする美しさ。 私は古き良き美しいものが好きなのだ。
ということで、次は京都市美術館。 今は京セラ美術館というらしい。 訪れた目的はポンペイ展。 平等院は11世紀のものだが、ポンペイは紀元前のものも有る。 二千年も前に、素晴らしい文化を持っていたことに驚かされる。
こちらは写真可能なので、何枚か収めてきた。
米粒ほどのモザイクタイルによるモザイク画。 これは実際に見ないとわからないと思うが、とても仕事が細かくて素晴らしい。
こちらは透かし絵の大理石。 この写真を撮るのに随分と時間がかかったが、それほど皆さんも美しいと感じていたということだろう。
こちらも大理石。 相手が自然石なので一発勝負で仕上げなければならない。 それなのに、このクオリティ。 美しいものは何千年前のものだろうが、人を唸らせる。
金のブレスレット。 細かい細工が素晴らしい。 先程から素晴らしいを連発しているが、他の言葉が見つからないほどウットリする。 生活レベルが今よりも良いのではないかと錯覚してしまうほどだ。
裕福な家は台所があり、料理を作る人を雇ってワインパーティを楽しんでいたとか。 現在でも通用する楽しみ方だ。
こちらの建物も素晴らしい。 この縦リブ無しのガラスカーテンウォール、風景を邪魔しないガラスの収まりは圧巻である。 巾木なしで床とツライチというのも、よほど自信がなければ使えない収まりなのだが、見事である。
ここで人混みに疲れてしまったので、人がいないところへ移動。
嵐山へ。
嵐山の駅前は観光地なので、勿論パス。
天龍寺だけは見ておきたかったので立ち寄り。 ここは裏の紫陽花が綺麗なのだ。
なんとも素晴らしい発色。 ここまで綺麗な紫陽花は中々ない。
ここは人が割りと少ない有名な場所。
やはり人がいないと落ち着く。
こちらは清凉寺(嵯峨釈迦堂)。 此処は全く人がいなくて落ち着ける。 有名な寺よりも、こちらのほうが趣があると思うのは私だけか。 門に居る自転車の外人さん、この寺を選ぶなんて「通」ですな。
最後は俳優の佐々木蔵之介さんの実家、京都の造り酒屋を訪問。
試飲させていただき、純米吟醸を購入。 翌日には全て飲み干してしまったほど美味かった。 しかし、その後、帰りの新幹線に乗る時間がギリギリ。 購入した日本酒を入れた荷物を背負って、京都駅まで全力で歩いて全身汗だくで何とか間に合った。
ということをスタッフに後日話したのだが、タクシー乗ればよかったのにとか、日本酒は普通、宅急便で送るよねと言われて落胆。 暑さで思考回路が鈍ったというより、私の頭に柔軟性が失われているようだ。
経験したことのないほど早い梅雨明け、貴兄もご自愛あれ。