ゴルフ7のGTIを入手したことは先月記載の通り。 山道を軽く走行してみたのだが、唐突に流れたり、頻繁にトラクションコントロールが介入したり、どうも今ひとつ限界域の動きが掴みづらい。 お買い物車としては少し硬めの足ではあるものの、足回りのセッティングはとても良く躾けられており、綺麗に前後のタイヤが接地してくれる。 だが、もう少し仲良くなるために袖ヶ浦フォレストレースウェイに持込んでみた。
と、その前にオイル交換。 前のオーナーにいつオイル交換したか聞いてみたが、記憶にないと言われてしまった。 メーカー推奨の交換サイクルにしているとの事から、15,000kmで交換していたとすると、13,500kmは走行しているということか。
ディップスティックを抜いてオイルレベルを見るとロアレベルより5mmほど上だった。 しかも真っ黒。 メーカー推奨のオイルを入れて、ディーラー任せだとしても気持ちよくない。 レースの副賞で頂いたスピードマスター製エンジンオイルが有るので変えてしまおう。
車をスロープに乗せて下に潜り、オイルパンを見ると樹脂製で驚いた。 コストダウンなのだろうが、樹脂が熱に強いとは到底思えない。 樹脂が経年劣化で割れることが有るのを承知の上で採用しているとしたら、このメーカーの考え方には賛同できない。 長く乗ることを全く前提としていないのではないだろうか。
樹脂製のオイルパンに樹脂製のドレンプラグ、当然ながら再使用禁止。 悪路で腹を打った際にオイルパンが当たったり、サーキットで縁石に乗って腹を擦ったりした場合、金属製ならば凹んだり傷がつく程度で済むのと思うが、樹脂では破損する可能性大だろう。 放熱性も良いはずがない。 インマニも樹脂製なのだが、マフラーの次に熱を持つエンジンに樹脂製パーツとは驚いた。 私の考えが古いのだろうか。 今は熱に強く、長持ちする樹脂があり、それを採用しているのだとすれば素晴らしい、のだが。
ドレンプラグは再使用するつもりで下に潜ったのだが、まさかオイルパンが樹脂製で交換用のドレンプラグも樹脂製とは思っても見なかったので仕方ない、今回は上抜きでオイル交換しよう。
ところで、オイルエレメントは何処に有るんだろう。 と、探しても見当たらなかったのでネットを検索。 なんと、オイルの注入口の傍、しかも上向きで付いてやがる。 これでは交換のたびに周りを汚してしまうではないか。 そしてもう一つ、オイルのフィラーキャップがねじ込み式ではなく、ワンタッチタイプになっているのだ。 注入口からのオイルにじみが多いと聞いては居たが、面圧が掛からない仕組みだから当然だろう。
エンジンカバーの下にはDOHC16バルブ+ターボエンジンが居るのだが、樹脂製パーツが多くてエンジンの造形美の欠片すら感じられない。 ラジエター側に出っ張っているリブ付き樹脂パーツがインマニ。 その左側に大きな六角が見えるのがオイルエレメント。 交換の際、上から工具が嵌められるのは良いが、上に外したらオイルが滴るのは明らかだと思うのだが。
インマニの下に冷却水のウォーターポンプとサーモスタットが入っているハウジングが有るらしいのだが、これも樹脂製。 これが厄介物らしく、頻繁に水漏れを起こすらしい。 エンジンの熱で変形し、しかもディーラーで交換すると14万円もするらしい。 ゴルフは部類で分けるとしたらファミリーカーだと思うのだが、車のことを知らない人が入手し、ディーラーから冷却水が漏れてるので交換しておきますねと言われ、14万請求されたらサラリーマンのオトーサンは3ヶ月小遣い無しになってしまう。
私のは幸いにして今の所は無事のようだが、いつ発症するかヒヤヒヤしている。 サーキットで酷使すると発症は早まるだろうな。 サクッとオイル交換だけのつもりが彼方此方に癪に障ることが有って愚痴愚痴書いてしまった。
さてオイル交換だが、エンジンオイルは4リッター缶1つでは足りず、5.5Lを入れて丁度だった。 因みに抜いたオイルは5リッター未満。 今月のライドモーターワークス、ブログでオイル量について書いているが、私もオイルは目一杯入れる事にしている。 クランクがオイルを叩くほど非常識な量を入れる訳ではなく、ディップスティックの上限より少し上辺りまで入れるようにしている。
サーキット走行時に強い横Gが掛かった際にオイルが偏ってストレーナーから吸えなかったらアウト。 富士スピードウェイの100Rなど、強い横Gが長く続くコースを走る車両などには、態々バッフルプレートをつけているオイルパンに交換している車両が有るのはそういうことだ。
私はサーキットに行く日のエンジン始動前、必ずディップスティックのマックスまでエンジンオイルが入って居るか確認する。 当日が雨の予報であれば、前日に確認。 必ず確認してからエンジン始動。 そして車を少し動かし、車が居たところにオイルやクーラントなどが漏れていた痕跡がないかも必ず確認。
僅かな時間を惜しんだり、面倒だと思うのならばサーキットを走る資格が無いとさえ思っている。 これで車を多少酷使しても耐えてくれるなら安いものだろう。
序なので少し話を加えておこう。
サーキット走行時、貴兄は各種ワーニングや後付メーターの確認を怠って居ないだろうか。
私はサーキット走行時、コーナーを立ち上がる際に燃圧計・油圧計・油温計・水温計を必ずチラリと見る。 空燃比計と水温は数字なので老眼には厳しいのだが、その他のメーターは針式なのでイツモの所を針が指していれば問題なし。 これが針式の利点。 慣れてくると、針の位置が僅かに異なるだけでも見分けが付くようになる。 先程、空燃比計のことを書いたが、空燃比計は直線の全開加速時に時々見る程度。
各種メーターの値、僅かにでも通常と異なればアクセル踏むのをやめる。 調子が悪くなってからでは手遅れなのだ。 鈴鹿を走った際、燃圧計が半メモリ違っていた事に気づいたことでエンジンを壊さずに済んだことも有る。 燃圧が足りないということは、燃料が足りなくなり空燃比が薄くなるということ。 過給器付エンジンほどシビアでは無いが、薄い混合比で全開にするとデトネーションを起こしてエンジンにダメージを起こさせやすい。
油圧計は更に重要。 油温が上がり、油圧が落ちたら何が起きるか考えて欲しい。 流石にレース中に起きてしまった場合は状況によって判断せざるを得ないが、深刻な状況であればレースを諦めた方が良いとさえ私は思っている。 潤沢な時間とお金が有るならば別なのかも知れないが、エンジンを壊してしまってからでは出費も時間も莫大にかかる。 私は大切な車を壊したくない。 僅かな車の異変に早く気づくことが大切だと私は思う。
話が逸れ過ぎた。
袖ヶ浦フォレストレースウェイへ向かったのだが、なんと小雨が降っている。
ご覧のように、路面は全体的にシットリと黒くなっている。
混んでいる1枠目は何れにしても走るつもりはなかったので、2枠目まで待機することにした。 すると、太陽が出てきてくれた。 そして路面も何とか湿っている程度にまで回復。 これなら走れそうだ。
車の仕様はスポーツモードを選択し、先頭に並んでコースイン。 全くのドノーマル、果たしてどのような挙動を見せてくれるのか楽しみと不安が入り交じる。
コースインした1周目は直線だけ全開にし、タイトな4コーナーに向かってゆっくりとステアリングを入れたのだが、唐突にリヤがブレーク。 背後に居たロードスターが驚いて私の車から離れていった。 いやいや、私も驚いたよ。 でも、カウンター当ててアクセル入れたら直ぐに収束。 ほぅ、割と良い子じゃないか。
まだタイヤが暖まっていないと唐突に来るのね、了解、もう少しタイヤを温めましょう。
2周目まではブレーキも7割程度にし、3周目からは徐々にペースアップ。 限界がわからないから本当に徐々に。
コースインする前、どのモードで走るか迷って「スポーツモード」にしたのだが、これが大失敗。 コーナーの立ち上がりだけでなく、綺麗に4輪流してニュートラルステアでクリップを通過するコーナーでもトラクションコントロールが入ってしまい、アクセル入れても前に進まない。
4コーナーやヘアピンでは丁寧に走っても車が勝手にブレーキ掛けてしまい失速。 便所コーナーに理想的な姿勢で入っても、トラクションコントロールが働いてアンダーステア。 ストレス溜まりまくり。 用心してスポーツモードにしたのだが、次回からはトラクションコントロールは全解除だ。
感覚的には1周で2秒程度はロスしているように感じた。
屈辱的なタイムに落胆。 20秒切れないのか、220馬力も有るのに。
一番、負荷が少ないと思われるリヤの右タイヤでさえ、この有様。 どんなタイヤでもサーキット走行をすれば溶けると思っていたが、街乗りタイヤがこれほどまで溶けないとは。 ブレーキローターは凄まじい色に変わってしまったし、パッドは白くなっていた。
赤線は先日の111cupでの予選ベスト、青線はGOLF7GTIのベストタイム。 (グラフをクリックすると大きな画面で見ることが出来ます)
180馬力のエリーゼと220馬力のゴルフ、パワーウェイトレシオが如何に重要なのかが解る。 勿論、タイヤもブレーキもゴルフは街乗仕様なので同じ土俵で比較するのはナンセンスなのだが、コーナーの立ち上がりで駆動が路面に伝えられなかったのがグラフの線に現れており、如何にモドカシイ状態だったのがよく分かるかと。
一方、DSGによるシフトチェンジはロスなくスムーズに速度が乗るのが解る。 2コーナーは全開で行けるのか躊躇したのもグラフに現れていて恥ずかしい限り。 そうそう、エリーゼだと15分で私がヘロヘロになるのだが、ゴルフだと30分全開でも何とも無かった。
3コーナーの高速ブレーキングでは少し車がなーバスな動きをするので、少しマージンを取って走ったが、あとは全開。 メーターに油温が表示できるので、コースイン前から気にして見ていたが115度で安定。 水温も90度で安定。 燃費はリッター5キロ(笑)、そういえば燃料満タンにしていたのも失敗だな。
水漏れは不安だが、これで少しはゴルフと仲良くなれた気がする。 次はトラクションコントロールを全て解除して走るとどうなるか。 実はトラコンなしでは余計にタイム出なかったりして。