都内を出る頃は悪くない天気だった。
だが、予報は荒天。
それも、かなりの荒天。
ただでさえ練習もしていない状況でテンションが上がらないのに、これから大雨が降るという方面に、雨漏りのする実用性のない車でサーキットに向かい、雨の中を200キロ近い速度で走らねばならない。 なんとも酷い罰ゲームだ。 ぶつけるリスクもあるが、雨の中を走ると壊れるという危険性も有る。 出来ることなら棄権したいぐらいだ。
いつもより少し遅く現地に到着すると、いつもの33号車の前に18号車。 随分と元気が有って宜しい。
実は東京インターから東名高速に入り、大井松田インターで降りて国道246を登ってくる道中は雨粒には当たらなかったのだが、富士スピードウェイの近くに来たらポツリポツリ。 やはり富士スピードウェイは山の天候。 東では曇っているだけでも、西の最終コーナーは雨という場合もある。
次々と集まるエントラント、互いに「雨は嫌だねぇ」と口にする。 が、今日はジャパンロータスデイ。 天気さえ良ければ、年に一度のこの日を楽しみにしているロータスオーナーも多いらしい。 そんな方達も少しずつ並び始めた。 すると、門番の方が「111cupの方は邪魔に成らないよう此方に並んで下さい」だって。 私らは邪魔者扱いらしい。
ピットに車を納め、暫くするとポツリ・ポツリがザーザーとなり、あっという間にご覧の有様でしかも寒くて帰りたくなった。
予選
予定時間に成ったが車を誘導する気配がない。 レース装備のままアイドリング、無駄にガソリンを消費していく。 一体どれだけ待たせる気なんだ、と、余りに何も情報が無いため事務局に八つ当たり。 何が起きているのかぐらいは正式アナウンスがほしい。
どうやらコンディションが劣悪すぎてレースの予選を中止するか否かの判断に時間が掛かっていたようだ。 そして、とうとう苦渋の判断をサーキット側が下した。 その結果、なんとも遣る瀬無いことに追越し禁止の走行会となってしまった。 つまり、予選としては成立しないということ。
仕方ないので気持ちを切替え、どんな状態なのかと走ってみたが、私的には其程でもない。 これならウエットのアタックは可能だ。 だが、私の背後に居た某氏は途中で居なくなった。 どうやらコースオフしたらしい。
前を走るのは宿敵33号車、前回苦杯をなめさせられた相手なので走行会といえども全力で追う。 しかし彼はテンションが上がらないようで、安全マージン×2の走り。
やはりこのようなコンディションではアクシデントを避けたいのはご尤も。
決勝
正式アナウンスが発表され、本日、我々のレースは中止。 本来、レースの時間帯としていた枠は走りたい人のみ走る走行会となった。 しかし追越禁止は解除していただき、各自のスキルに合わせて自由に走って良いことと成った。 他の枠は大名行列であったことに比較すると、我々への対応はレース活動をしている者への信頼か、ご高配を賜ることが出来て嬉しかった。 然し乍ら、此処で半数程度が走行を辞退。 リスクを負いたくないと言う気持ちは十分判る。
私は雨の練習など進んで実行などしたことはないが、今回は折角なので走ることにした。
が、とんでもない大雨にあたってしまったようで、3周目に100Rにて盛大にスピン。 シフトアップしようとした瞬間に、川を横切ってしまいトラクションを失った。 幸いにして何処にも当たらずに止まってくれたが、これがレースだったら何台も巻き込んでの多重クラッシュだったかも知れない。
気を取り直して走行を再開したが、あまりの豪雨に道には厚い水膜が出来、川どころではなく池ができそうな程。 タイヤが何度もハイドロプレーニング現象を起こした。 これはさすがに危険と判断してピットに向かうと、サーキット側も同様の判断を下したようで赤旗中断と成った。
一瞬の判断ミス、それがこのような結果と成る。 判断ミスもウデの無さ。 どうか貴兄はこのような状態に成らぬように。
やはりと言うか、当然ながらと言うべきか、ジャパンロータスディのパドックは閑散としていて、各種イベントも悉く中止。 だが、噂の311だけはお披露目された。 お披露目は良いが、ドライバーはたまったものではないだろう。 見ていて気の毒、お疲れさまでした。
それはそうと、ピットレーンで傘をさしては駄目だろう。 それが幾ら報道関係者でも、だ。 もし、風で煽られて傘がコース上に飛んでいったら、そして其処で屋根なしの車が偶々走っていて、傘の突先がシールドめがけて飛んでいったら、、、、犬をリードに繋いでピットレーンを歩いている大馬鹿者は雨だから居なかったが、晴れていたらそのような非常識な人が居たかもしれない。
特に雨は視界が非常に悪くなることも有るので、飛んでいきそうなものを持ってピットレーンには近づかないで頂きたい。 注意されたからといって、傘を手に持って見学していた人が居たが、それでは無意味なのだ。
まったく、何をしに行ったのか解らない一日であった。
なお、今月もレースは組み込まれており、再び戦いの場は筑波サーキットに戻るのだが、もう雨は勘弁だ。
先月は屈辱的、路面が悪すぎて行程の途中で引き返すという羽目に陥ってしまったが、今回は念入りに調査して向かった。
■ 4/2 東国文化歴史街道(R122)、日光、東古屋湖 7時間 340キロ
関東地方の山道も漸く凍結の心配が無くなった箇所が増え、それではと取り敢えず近場のキャンプ場で少し鄙びた所をチョイス。 私は人が沢山居る所は苦手なのでね。 風光明媚な所も嫌いではないが、人が沢山居ると長居したく無く成るので、行くなら早朝。 私のライフスタイルはそんな所から定着してきたのかもしれない。
ルートに目新しい所は無く、
国道254→国道17→国道122→国道120→国道461→東古屋湖→国道4、と言う極平凡なルートを走行。 国道122号の途中から少し楽しい道になるのだが、まだ山は冬の装いが多く残っており、緑が少なく寂しい感じ。 これが新緑の季節になると俄然楽しくなるのだが仕方ない。 この時期、国道122合は数少ない凍結し辛いルートなので。
私のバイクはモノトーンなので、このような寂しい景色にも不釣り合いではないようで。
でも、やはり渋さよりもこのような暖かみの有る構図のほうが良いな。
ということで、漸く山間にも春がきたという感じが伝わるだろうか。
■ 4/3 大名栗林道、東名栗林道 4時間 180キロ
一方、先月タイヤをトライアルタイヤに交換したセローは林道へと出かけてみた。
此方は春めいた感じがしないのは標高が高いからだろう。 新緑が待ち遠しい。 初のトライアルタイヤは初心者にも走りやすかった。 次回からも此れを履いていこうと思う。
■ 4/9 那須塩原、南会津、大内宿、羽鳥湖 9時間 470キロ
次は私の好きな茅葺屋根を巡ってきた。
いつぞや、岐阜の白川郷と富山の五箇山に行き、昨年は京都のかやぶきの里へ行ってきた。 あの時は福井で泊まるはずだったが、シルバーウイークをナメていて、まさかの日帰り1200キロという強行軍と成ったのは記憶に新しい。
実は関東に近い所にも合掌造りではないが茅葺きの家が軒を連ねているところがある。 福島県南会津の大内宿へ行ってきた。
大内宿は会津城下と下野の国(日光今市)を結ぶ32里の区間の中で会津から2番目の宿駅として1640年ごろに整備された宿場町らしい。 昭和56年4月18日、重要伝統的建造物群の指定を受けることになったそうだが、思っていたよりも観光地化されすぎているような気がした。
今回は大内宿も良かったが、その周辺の道が頗る良かった。
このような感じで朝も早目なことから、観光客も未だ疎ら。 やはり観光地散策は早朝に限る。 朝9時の大内宿に人混みは少なく、人嫌いな私に耐えられる範囲内だった。
そんな大内宿のすぐ近くの畦道、何となく畦道の感じというか佇まいに惹かれたのでトコトコと進んでいくと、道端に蕗の薹や土筆などがニョキニョキ。 蕗の薹は成長が進んでしまったのが大方が、未だ若いのを探して天麩羅にして美味しく戴いた。 春のオトナの味に酒が進む。
やはり景色的には早春というよりも晩冬という感じだが、足元には春の訪れを感じる。
■ 4/23・24 白河、南会津、会津若松、喜多方、米沢、山形、天童、グリーンバレー神室キャンプ場 片道9時間 450キロ
ゴールデンウィークに企んでいるソロキャンプツーリング、その練習のために限りなく秋田県の山形県北部に向かった。
1泊して900キロ弱、各々9時間ずつ。
猪苗代湖あたりは何度も足を運んでいるが、其処から北側は足を踏み入れたことのない道。 西吾妻スカイバレーを走ろうかと思っていたのだが、今回は先を急いだ。 また次の機会、暖かくなってから走りたいと思う。 先日冬季の通行止めが解除された蔵王エコーラインとセットで楽しむのも手かもしれない。 蔵王には標高1000メートルという高地にキャンプ場もあるので夏が良さそうだ。
喜多方あたりから米沢への道は中々景色も良くて楽しめた。 山形県は今頃が桜満開、動画の中でも彼方此方で桜の木が見えるが、東京では既に緑に覆われている桜も北上するに連れて、散り際で桜吹雪の中を走ったり、満開だったり、まだ満開に至らないところすら有って満喫できた。 特に山の中にひっそりと咲いている山桜が儚げで私は好きだ。
山形県の主要国道である国道13号線、栃木県でいうところの国道4号線と同等で殆ど楽しい所は無かった。 少し癒やされたのはサクランボ畑の中を走ったことか。 流石サクランボの町、山形といったところか。 いや、まだ有った。 それは雪を被った標高の高い山脈の眺め。 これは普段目にすることのない光景な事から、思わず見入ってしまった。
そう、この「普段目にすることのない光景」これを見たくて旅に出ているのだ。
それでも、2週間前に福島を走った時と比べても、春めいているは明らか。 木々に新芽が出ており、畦道にも沢山の小さな命が成長しているのが見て取れた。
そして初となるソロキャンプツーリング、行った先は山形県の北端。 グリーンバレー神室という町営のスキーリゾート。 非常に小じんまりとしたスキー場でリフトは1つしかないのだが、町営としては頑張っているとおもう。 某ホームページに、此処のキャンプ場は良いと書いてあったので行ってみたのだが、なんと今年4番目の客だそうで、此の日は私だけの貸し切り。
通常なら人混みが嫌いなので喜ぶ所だが、熊が出ることも有ると聞いてしまったので些か心もとない。 しかし、それよりも参ったのはブユの大群。 まさか、もうブユが大群で襲ってくるとは思わなかった。 幸いにして暑くない時期なので、長袖・長ズボンとインナーキャップで防護。 それでも手や顔を目掛けて飛んでくる大群には辟易。
これでは食事もできない。 実は昼食抜きで走り続けてきたので空腹なのだ。 早く近くの地元スーパーで購入した食材を調理して胃袋に入れたい。 ビールも飲みたい。 数えきれないほどの大群が、標的は私しか居ないので容赦無い攻撃を仕掛けてくる。
少し離れたところのトイレに行くと、其処までは追いかけてこなかった。 だからといって、誰もいなくてもトイレの前で調理をしたくはない。 此処は綺麗な清流の横にあるキャンプ場なので、ブユにとっては最高の環境なのだろう。
そうとなれば、早々にテントを張って蚊帳状態の中で過ごすしか無い。
前室の有る一人用としては少し大型のスノーピーク、アメニティドームSを購入して良かった。 このテントは前室があり、其処には料理をする程度の広さが有るのだ。 早速フライシートを被せたら、中には入り込んだブユを追い出してファスナーを閉じた。 実はフライシートと地面の間に隙間が有るのだが、そのあたりからは入ってこなかった。
これで一息つける。
先程購入した地元の野菜、雪うるい。 雪うるい成るものを貴兄はご存知だろうか。 恥ずかしながら私は知らなかった。 山形県産の比較的メジャーな野菜らしい。 見た目に旨そうだったので1袋購入したが、僅か98円で二握りほどの量がある。 その他にもやしも1袋購入した。 こちらは40円だったかな。
その他にシマチョウを購入したので、先ずはそれをフライパンで焼いた。 御存知の通り、シマチョウは油の塊。 焼くと物凄い量の油が湧き出てくる。 私、ホルモン系はウェルダン目が好みなのでシッカリと焼くので余計そうなるのだろう。 未だに脂っこい食事が好きなので仕方ない。
余りに油が大量に出るので、滲み出た油で肉を揚げているような状態となり、前室では有るが、油が飛び散ってテントを汚してしまった。 極力テントに掛からないよう、前室の真中で程よく肉が焼けてきた所で腹に入れた。 腹が減っていれば何を食べても旨いはずなのだが、今回はしくじったらしい。 あまり旨くなくてガッカリ。 しかし、雪うるいは美味だった。 生でガブリと齧ったのだが、臭みのないネギの食感で歯ごたえが良い。
肉は旨くないが、コイツのお陰で何とか食べられる。 しかし、此等ばかりだと飽きてくるので、途中から肉もやし炒めに変更。 先程のシマチョウの脂でもやしを炒める。 これはなかなか旨かった。
さて、ではメインディッシュ。 まだ残っているシマチョウを炒めながら、焼きそばを投入。 そして其処に少し残した雪うるいともやしも入れて塩焼きそばを作ってみたのだが、これは旨かった。 ビールが進む。 1リッターほど呑んだ所で少し日が暮れてきたので外に出てみると、あれほど居た大群のブユは皆無。 これでフライシートを開けられる。
これぞキャンプだ。
仄暗い感じにテント内のボンヤリとした明かりが良い感じ。 街灯も着いたので真っ暗闇ではないのが嬉しい。 これで満天の星空のもとで焚き火でもしながら焼酎を煽ると最高なのだが、残念ながら曇り空。 でも、自宅から持ってきた芋焼酎は少し頂いた。
残念といえば肴。 立ち寄った地元のスーパーで肴になるものを購入してくればよかった。 まだ時刻は18時。 肴なしでは焼酎を飲み続けるのは少し辛い。 仕方ないのでスマホの中に入れていた青空文庫をテント内で読みながら焼酎をチビリチビリ。
程なくして睡魔が襲ってきたので、炊事場で冷たい水を使って歯磨き。 用を済まして息を吐くと、吐息が白かった。 冬用のシュラフを持ってきて正解だな。 元来寒がりなので、市販の廉価版冬用としては最強のモンベル#0。 これでも薄着で寝たら少し寒さを感じたので、私は真冬のキャンプは無理だろう。
テントに戻り、先程の#0に潜り込むと睡魔が再び襲ってきた。 時刻は20時。 少し早いが寝てしまおう。
山から鹿がなく声が聞こえた。 ふとスマホを見ると24時。 4時間ほど寝たようだ。 傍を流れる川の音しか聞こえないと思っていたが、自然が豊かなので鹿くらいは居ても不思議ではない。 熊と幽霊、そしてDQNさえ出てこなければ問題なし。 動物や幽霊より、人間が一番たちが悪い。 もう少しアルコールを入れようかとも思ったが、これで翌朝に寝過ごしては嫌なので、先程の炊事場にてキンキンに冷えた水を少し頂いてシュラフへ。
イツモの通り、3時半に起床。 この時期だからまだ明るくはないが、何となく東の空にグラデーションが掛かり始めている。 またまた炊事場に行き、うがいと洗面。 これで目が覚めた。
撤収が先か朝食が先か、検討の結果、朝食を先に摂ることとした。
3食で170円の焼きそばが2食余っている。 そして雪うるいはまだ沢山余っているが、とても一人で食べきれる量ではない。 そうとなれば朝食は塩焼きそばの雪うるい入り。 フライパンにサラダオイルを垂らし、ガスバーナーで熱し、程よく熱せられた所で食材投入。 焼きそばのほぐしが上手く行かないので、水を注入してほぐしつつ焼いて出来上がり。
実はこてっちゃんも購入していたが、朝からこてっちゃんを食べる気に成らず。 2食分の焼きそばで腹は満足。
さて、では撤収しようか。 空は既に明るくなっており、野鳥が彼方此方で囀り合っている。
先ずはペグを全て抜いて洗浄。 次にフライシートを剥がしたが、私の吐息と内外の温度差による結露水でビッショリ。 だが、乾かしている時間はないので、ホムセン箱の中に畳んで放り込んだ。 次はインナーテントなのだが、此方も結露でグッショリ。 同様に畳んでホムセン箱へ。 あとはグランドシートだが、今でもなくズブ濡れだった。
用を足して歯磨き、そして色々と積んできたキャンプ用品を隙間なくホムセン箱に詰め込んだ後は厄介なシュラフの梱包。 化繊のシュラフなので綺麗に畳まないとコンパクトに成らない。 何とか格闘しながら容積を小さくしてコンプレッションバッグに詰め込んだ。 ここで時刻は6時。 急がずにユックリと朝食を摂り、炊事場で洗浄などしていたことも有り、思いの外、時間がかかっている。 これでは次回の朝食には時間を掛けずに行う方法も検討せねばなるまい。
山の上の方へ800メートルも行くと、カタクリの花が満開で綺麗だよと常駐の管理人から言われたが、なんと砂利道の山道。 とてもではないが、荷物満載のW800で登っていくのは無理。 こんな事なら昨日の明るい内にブユから逃れるためにも歩いて登っておけばよかった。
仕方なくUターンしようとしたらバランスを崩しかけてタチゴケしそうになった。 此処でコケてたまるかとフルパワーで持ち直し、何とか堪えたが、コケてたら凹んだだろうな。 気持ちもタンクも。
さて、残ったのはゴミだけ。 昨日のスーパーで頂いた袋に詰め込んで、シートバッグの上部にゴムで括りつけて出発。 おっと、その前にキャンプ場の許可証プレートを受付に返さなくては。 この時間帯は管理人常駐とは書いたが、8時半から17時までが勤務時間帯とのことから不在。 許可証を返却ボックスに入れて出発。 ブユさえ居なければ400円と格安な利用料金で快適なキャンプ場だと思う。