第1戦から僅かひと月、今年の第2戦は慌ただしかった。
そして、見事に撃沈。
開幕戦で戦った感想、それはクラスを上げたので仕方ないのだが、圧倒的なパワー不足。 E1クラスの車両は200馬力クラスなのに対して私の車両は僅か143馬力。 その代わり車重は760キロと軽いことは武器なのだが、流石に非力すぎる。
元々E2クラスに於いても私の車両は非力で、富士スピードウェイなどでは苦戦を強いられていた。
このひと月で私の車に何が出来るか考えてみたが、丁度仕事の繁忙期と重なり、練習に出掛けることも儘成らなかった。 少し焦りを感じた私、エキマニやらエアクリーナーを評判の良いものに交換してみることにした。
此れが抑々の間違い。
仕事でもそうだが、一か八かではなく、検証に基づいた実証が得られなければ戦えないのだ。 其処を今回は怠ってしまった。
話は唐突に飛ぶが、友人のエリーゼはスタンダードベースのシリーズ1、それにVVCに装着されているのと同等のカムシャフトを入れ、エキマニはジャンスピードのスモールボア、そして某社のエアクリーナーという仕様。
これに試乗させて戴いたのだが、その戦闘力の高さに驚嘆。 確実に私のVVCより速くて扱いやすい、しかもエンジンのフケが爽快。 眼から鱗とは正にこういうこと。 複雑な機構で繊細なVVCが馬鹿らしくなるほどの動力性能を、気軽に扱えるスタンダードエンジンベースで味わえるなんて。
友人の快い申し出により、先ずはエアクリーナーを借り、それだけを交換して筑波を走ってみた。
タイムは逆履きタイヤの5分山で1分4秒7とマズマズ。 但し、些かにピーキーな出力特性を感じたので、太いエキマニからスモールボアのエキマニに交換してみることにした。 因みに、この時のエアクリーナーはダクト装着をしてコールドエアを吸えるようにしたのだが、特徴的なファンネル形状をしているので、それでは駄目らしい。
スモールボアのトルク型エキマニを装着し、エアクリーナーの先端もフリーにして近くまでコールドエアを導いた。 これで走ってみよう。
筑波でテストを敢行したかったが、残念ながら枠がないため袖ヶ浦へとテストに行った。 結果から言うと、同様に逆履きタイヤでタイムは1分14秒7。 半袖で居られる気候からするとマズマズだが、トルクは感じられるものの、エキマニはラージボアの方がパワー感が有った。
以上の結果から、ラージボアのエキマニに先端フリーのエアクリーナーという仕様でレースに臨むこととした。
・当日の朝
いつものように2時半に起きて4時頃に到着。 漸く空は明るくなりかけており、鶏も鳴いている。 夜が明けるのが早くなったな。 寒くはないが湿度が高く、窓を閉めていると直ぐにガラスが結露して曇ってくる。
少し仮眠。
低音が目立つ可愛い爆音に目が覚めた。 ミニクーパーが数台やって来たようだ。 そう、今日はジャパンミニデイのイベントが筑波サーキットにて開催され、その中に111cupは組み込まれているのだ。
私の後ろに数台の111cupエントラントも並んでいた。 暫し談笑していると、ポツリポツリとエントラントが増え、やがて開門時間と成った。 この時既に20数台。 今日は31台でのレースとなるが、概ね皆さん基本的に早起き。
朝日が射してきた。 今日は暑くなりそうだ。
・予選
いつものように先頭でコースイン。 インフィールドは様子を見ながらバックストレートで全開。
選択を拙った、パワーが無い。
いつもならストレートエンドで最大167キロ程度、160キロ後半は出るのに、150キロ台しか出ない。 2ヘアの立ち上がりが拙かったかと2周目に気合いを入れたが、やはり161キロしか出ない。
これでは到底、タイムなど出ない。
パワー的には丁度E3クラスと同等で、いつも譲ってくれる車両も中々追い抜いていかないので譲ってくれない。 最後の最後で漸く4秒台が出せたが、これが今の私の目一杯。 完敗。
余りに酷くて落込んだ。
いつも笑顔で接してくれるレースクィーン、この日の私は「近寄るな」オーラを出して拒絶。 スミマセン、器の小さい人間で。
予選結果、最近のリザルトではワーストの総合10位。 嘗てのE2だとしてもクラス3位。
(表の下部が切れてしまったがご容赦を)
エアクリーナーが原因なのは明確。 今まで使用していたエアクリーナーを持ってくれば良かったと思っても後の祭り。 しかし時間は有る。
熟考の末、エアクリーナーを撤去して直吸とすることに。 勿論、異物を吸い込んだらトラブル必至。
主治医は本気かと目を丸くしていたが、自己責任、リスクは承知の上での愚行に及んだ。
・決勝
不甲斐ない結果のスターティンググリッドに着くと、シグナルが遠かった。 いつもの景色とは違う。 だが、不思議と緊張感は無し。 失うものがないのだから当然か。
スタートは私としては普通、つまり一般的に見るとイマイチ。 白エクのゼッケン4、スーパーチャージャー付にアッサリと抜かれ、例によってポジションを1つ落とす。 そしてデンジャラスな1コーナーへ。
前回に続き、今回も車が安定しない77番に注意しながら、白エクのゼッケン4をパスして1コーナーをクリア。 1ヘアに向かって此処最近速くなったガンメタNAエクのゼッケン5を追いかける。 イン側に鼻を押し込もうと思ったが、流石最近乗れてる成長株、そう簡単には扉を開けてはくれない。
それにしても皆、1ヘアイン側のゼブラを踏みすぎだ。 ドライバーズミーティングで走路外走行を意図的に行ったらタイム剥奪と煩く行ってるのに、だ。 敢えて誰がとは言わないが、心当たりの有る方は十分に反省して欲しい。 事務局も毅然とした態度で公正なる裁定を下さなければ、お咎め無しと判断されてしまう。 正しい者が馬鹿を見るのは避けなければならない。
嫌な話は此処までにして話を元に戻そう。
ダンロップ下への進入で水色77番がフラついてガンメタ5番が堪らずブレーキ、此処で私は咄嗟の判断によりラインを変えた。 空いているイン側へ飛び込み勝機あり、これで5番をパス。
エアクリーナー無しの直吸いにより、肝心のパワーは何とか戦えるレベルに戻ったと思う。 よし、これなら暴れられる。 戦えるぞ。 次のターゲットは水色の77号車だ。
ところが、この77番はスーパーチャージャー付きなので直線が滅法速い。 しかも重量があるためブレーキングポイントが速くて、真後ろに居ると私の車両が特徴を活かせるポイントを全て潰してくれる。
歯痒さ全開。
77号車は動きが安定しないようので攻めどころは有る、早めに決着を付けて上へ行きたい。 が、何度もコーナリング中にブレーキを踏まざるをえない状況を作られ、此方も失速。 ぐぬぬ。
そんな事をしていると当然ながら成長株の5号車が隙を付いてくる。 このポジションでは前も後ろも気にしなければならないので非常に辛い。 特に私の車は直線の伸びが劣るので、最終コーナー入り口は気をつけねばならない。
と、思っていた矢先に5号車がイン側を攻めてきた。
此処で引いたら負けなので、1台分を残して進入。 が、少しイン側に切りすぎたようで、5号車を慌てさせてしまった。 申し訳ない事をした。
やはり一時も速く77号車を料理しなければならない。
次の周、1コーナーで失速した77号車のイン側を突いて綺麗にパス。 本日これで3台目のパス。
次は去年までのライバル、赤い33号車。
奴の走り方は熟知しているので攻めどころも解っている。 だが、奴の車も直線が矢鱈と速いのでインフィールドの前半で抜いておかないと最終入口でやられてしまう。
ところが今回はアッサリと紳士的に1コーナー進入で譲ってくれた。 クラス違いに成った事で私はバトル相手では無くなったらしい。 確かに絡むとお互いにタイムロスになる。 何れにしてもアリガトウ。 車内から感謝の意を表す。
さて、次は本来のライバルたる上位クラス。 視界には捉えられるので、差は3秒程度だろうか。 97号車と19号車はバトルをしているのでペースが上がらないようだ。
このとき、私のタイムは5秒を少し切る程度、決して速くないタイムだが、それでも徐々に2台が近づいてくる。 もしかしたら勝機が有るかも知れない。 今回のレースは12周とスプリントなので周回遅れは少ないが、それに乗じて何とか私の入り込む余地が作れれば最高なのだが。
それにしても予選で4秒1を出した97号車と4秒フラットを出した19号車が此の位置に居るのは不思議だ。 後から聞いたのだが、オープニングラップの1コーナーと1ヘアで接触が有ったらしい。 それでこの2台はこの位置に居たのだろうか。
私のポジションからでは何が起きていたのか全く理解できない状況だったので、あとから接触に対してどう思うか問われたが、私は回答できる立場にないのでレギュレーションに沿って対処するのが良いのではと応答した。
(こちらも表の下部が切れてしまったがご容赦を)
結局、あと1秒半までは近づけたのだが、そこまで。 しかし、同じクラスのトップとはラップタイム差が1秒とは絶望的。 元々勝てるとは思っては居ないが、箸にも棒にも掛からないとは正にこういうこと。 蚊帳の外で戦っているように思えて虚しい。
私に甲斐性があれば資金を投じてVTECエリーゼ仕様として、ゼッケン16と戦ってみたいのだが、残念ながら現状で一杯イッパイ。 妄想は余計に虚しくなるので、今の仕様で何処まで行けるのか追求しよう。
それにしても今回は先程の接触によって綺麗なレースとは言い難い状況と成ったようで、嫌な気分だ。 先に述べた走路外走行もそうだが、接触は最も避けたい事象。 其れ以外にも予選時にクリアラップを作るために極度のスロー走行など、勝つ為には何でも行うというような行為は謹んで戴きたい。
何度も書いているが、この111cupはクラブマンレース。 皆さん所有の愛車を傷つけることなく、自走で参加し自走で帰宅する。 接触は双方とも失格というペナルティを課しているのは、危険が予想される時は引くべしということと、怪しい時は1台分空けろということ。 その他のレギュレーションも推して知るべしだし、記載されてていなくてもお互いを尊重するという基本的な考え方を理解した上で参加して欲しい。
確かに、一時期は存続の危機があり、レギュレーションという敷居を大幅に下げてエントラントを増やした。 今更元のレギュレーションに戻したら走れなくなってしまう車両が多くなるし、弄る楽しみも理解できるので否定はしないが、コッソリと見つからないように車両の性能を上げたり、記載されていない戦闘能力向上方法を用いるのは控えて戴きたい。
何が何でも勝ちにこだわるならば、草レースの111cupではなく、そのようなレギュレーションとなっている他のカテゴリーに出て欲しいと切に思う。 また、ショップの総力を掛けて早いマシンを作るのはビジネスモデルとして必要なのかもしれないが、些か行き過ぎた行為が見受けられる。
例えばだが、私の車両より直線の速いE3車両が歓迎されるのか、そのあたりもよく考えて欲しい。 事務局から出場を拒否されたりしたらお互いに嫌な思いをすると思うし、他のエントラントからどのように見られているかというのも考えたほうが良いのではないだろうか。