2014の111cup最終戦を走ってから一度も走っていない。 いや、走っていないどころか車に乗ってさえ居ない。 ダンパーを外すために少し動かした以外は。 ダンパーの話は後述する。
この時期、レースはシーズンオフなのだが、タイムアタッカーな方々はシーズンインとなる。
空気がキンと冷え、吸気の充填密度が上がるとともに気温が下がることで冷却的にも有利と成る。 しかし一方で地熱との気温差により、晴天なのに路面はウエットという腹ただしい事も生じやすく成る。
私の経験だと11月と2月にベストが出ることが多い。 だが、上記のように条件が整わないと悔しい思いをする。 前日との気温差、当日の気温、湿度、気圧、路面コンディションなどなど、天気以外にも幾つもの要素が絡む事に加え、サーキットはいつでも走れるというものではない事から、そう簡単にはベストコンディションは得られない。
ということで、そう容易くタイムは出ないが、だからこそベスト更新はこの上ない喜びを齎すのだ。
さて、私はというと、この時期は毎年仕事が大抵繁忙期となり、走れる時間がなくなる事も伴って車趣味は来年の構想を練る時期でもある。
今冬は先ず、3年使用して調子を崩していたダンパーのオーバーホールと、仕様変更に取り掛かることにした。
私のダンパーはナイトロンと呼ばれる前、フォースの時代に購入した全長調整式の3ウェイダンパー。 そのフォースの時代を含め、何度か減衰変更を依頼したが私の思うようなしなやかな特性を持たせることは出来なかった。
走っている間に減衰が変化してしまうし、もう、このダンパーには愛想が尽きた。 とは言っても先立つモノがなく、買い替えは出来ない。 ノーマルダンパーは有るが戦闘力は皆無。 あれはダンパーをオーバーホールなどに出す際に仕方なく使うものだ。
一方で、ナイトロンのオーバーホールを担当しているのは埼玉県の春日部にあるテクニクスというショップ。 4輪の世界では知らない方も多々居ると思うが、2輪の世界では名が通っている。
此処はナイトロンだけでなく、ホワイトパワーや2輪各社純正ショックのオーバーホールも恙無くこなしてくれる。
検索すればわかると思うが、此処の評判は上々。 有難いことに私の自宅から行けない距離ではない。 一縷の望みを掛けてみるか。
伺ってみると、先方の担当者が私を覚えていた。 余程面倒な客で、記憶に残っていたのだろうか。 全てのナイトロンダンパーにはシリアルナンバーが刻印されており、そのナンバーで履歴も残っているとのこと。
前回のオーバーホールでも私の理想としている動きが再現できなかったこと、左リヤのダンパーが走行中に減衰ノッチが変化してしまうこと等をお伝えし、私の一番の希望である縮側の立ち上がりを可能な限り滑らかにすることは無理を承知で注文をした。
1週間後
不具合の生じていた1本は、シムの位置がずれていたと連絡が来た。 基本的に連絡はメールだ。 先方も忙しいだろうし、私も仕事中に趣味の話は出来ない状況が多いため、これは良いと思う。 但し、微妙なニュアンスは生の声で伝えたい。 これは仕事でも同様だろう。
減衰のグラフが添付されていた。
先に述べた今回の要望に答える仕様変更は、今までナイロンでは試したことのない仕様だという。 ダメ元で始めた今回の仕様変更。 今まで通りでは私の意図する性能は得られない。 上手く行かなくても試したい。
2週間後
手元に届いた。 そのダンパーを手で押して見る。 体重を掛けずにスッと沈み込んだ。 そう、私の欲していたのはこの感触。 2本目、3本目と試し、最後の一本で突っ張り感を感じた。 駄目だ。
ダンパーを車に積んで春日部へ向かった。
「この3本は良いのですが、この1本だけが突っ張り感が残っているのです」と言って先方の技術者に伝えた。 残念なことに、私のダンパー担当者はその日は休みだった...
3週間後
調整が終わったということでダンパーが届いた。
前回と同様、手で押して見る。 ...駄目だ4本とも突っ張っている。 何も改善されていないどころか、改悪だ。
早速、週明けに担当者に電話した。
あの時、担当者が不在の時に依頼した私が悪かったのか、怒りを抑えつつ、私の依頼した内容とは違う内容で仕上がっていた事を伝えた。 やはり微妙なニュアンスは直接技術者に伝える必要がある事を痛感した。
その週末
担当者が居ることを確認して春日部へ向かった。
4本のダンパーを持込み、私の欲している性能を再度伝えた。 しばらく腕組みをして黙る担当者。 此処で投げ出すようなら用はない。
暫くして、試したいことが或るとラボの方に1本のダンパーを持っていった。 技術者たるもの、そう来なきゃ。 暫し後、「これでどうでしょう」。
「大分良くなったと負いますが、もう少し縮みの立ち上がりを緩やかにできませんか」と私。
再びラボに篭もる担当者。
「これで如何でしょう」
ダンパーを押す私。 「了解です、これで試してみます」
直ぐに帰宅し、装着開始。
別タンク付きダンパーの脱着は面倒。 別タンク無しならば2時間も有れば交換は完了するだろうが、5時間も掛かってしまった。
途中で石跳による傷防止の対策などに時間がかかった。 こんなことは次回でよかった。
何とか装着するところまでは漕ぎ着けたが、遅い時間と成り、車高調整まではたどり着けなかった。 というところまでが昨日の話。
肝心な車高調整とフィーリングチェックは来月号までお待ちいただきたい。 だが、此処まで大騒ぎしておいて結果が出なければ合わせる顔がないのも事実。 さて、今回の仕様変更は吉と出るか凶と出るか。