毎度のことだがレース前日は熟睡できない。
この日も夜中の1時半頃に目が覚めてしまった。
まだ早すぎるのは承知の上だが、雨も降っていないようなのでユックリと下道で移動することにした。
サーキット近くのコンビニに車を駐め、朝食を買い込んで再び車に乗込みサーキットを目指す。
サーキット到着は午前3時半。 当然ながらゲートは開いていない。 守衛室には常夜灯がついているが周囲は真っ暗。 ゲート前に車を駐めてエンジンを切ると静寂が訪れた。
闇夜の静寂は恐怖心を呼び起こす。
ガサゴソと音がした。
あろうことか、目の前に目玉と思わしき物体が2体。 もしかして見てはいけないモノか? 思わずエンジンを掛けてライトをつけると野生の鹿だった。 寿命が縮んだ。 勘弁してくれ。
幸いにして雨は降っていないが、今日は相当についていない日らしい。 再びエンジンを切って仮眠につこうとすると、またもや何やらガサゴソと足音がする。 リヤディフューザー辺りから何かが擦っている音がする。 左側のドア下あたりにも何か居る。
するとリヤのエンジンフードにドサッと質量のある音。
振り返ると猫だった。
寿命が縮むとはまさに今日の日のような事を言うんだな。 予選や決勝の緊迫感などとは比べ物にならない。 それから一時間ほど経った頃、ライバル33号車登場。 当然ながら彼に数時間の出来事を斯斯然々....
さて、今日のレースは34台。 富士スピードウェイは広いとはいえ、4キロのコースに34台は結構な数である。 111cupのローカルルールで予選コースインは当日の来場順。 早起きは三文の得、の筈だが、今日は些か違うようだ。
過ぎたるは及ばざるが如し。
何事も適度な調整が必要ということだろう。
ところで、昨日から何度見たか数えきれないほどの雨雲レーダーと天気予報。 これが1時間おきどころか30分おきにコロコロと変わる。 晴れマークが有ったかと思うと雨マークが付いたり消えたり。
全く読めない状況だ。
予選の前に有料だが走行練習があり、私らの111cypからは相当な数のエントラントが参加。 この時期としては気温も低くコンディションは良かったらしく、自己ベストを更新した仲間も居たほどだ。
■予選
天候は何とか薄曇りで路面はドライ。 TiR軍団はワイパーを外している。 タイムアタックへの素晴らしい徹底ぶり。
私らの前に走行した他の予選組にトラブル車両があり、その回収に10分以上掛かっただろうか。
水温油温とも走行していないのにかなり上昇した。
ウインカーを左に点滅させてソロリとコースイン。 1コーナーをインベタで回り、7割程度のアクセル開度でアウトラップ開始。 コースコンディションは悪く無さそうだ。
最終コーナーを直線加速重視で立ち上がり全開。 4速まではいつも通りの加速だが、やはり5速に入れると途端に加速が鈍り最高速は200km/hに届かない。
タイヤは今年の第1戦から使用しているタイヤ。 8分山というところだろうか。 AD08Rは既に熱が入ってきたようでグリップ感に不安はない。
アタック開始。 と、この頃から日が出てきたようで眩しい。 コカ・コーラの入り口で目測を誤った。
サングラスにしておけば良かった。
この周はもうタイムは出ないが手綱は緩めない。 走り続けないとクリアラップは取れないのだ。
先日の練習走行で使用したタイヤよりはグリップが良い。 これならばターゲットタイムは2分3秒前半だな。
しかし悲しいことに上手くラップを纏められない。 上手く行ったと思ったら、どこかでミス。 最終ラップで行けると思ったら先行者が最終コーナーでタコ踊り。 残念ながらベストラインはトレースできない。
2分3秒8しか刻めなかった。
予選タイムのリザルトを見ると総合7位でクラス順では1位。 周囲の顔ぶれを見ると、やはりハイパワー車両が富士スピードウェイでは強いことが表されている。
タイムが同程度なハイパワー車と言うことは、彼らのペースに嵌ってしまうと直線で抜かれ、コーナーでは前に行けないという一番フラストレーションが溜まるパターン。これは幾ら頑張ってもタイムが出ないということだ。
しかし、これは彼らにも逆バージョンで、折角直線で追い抜いてもコーナーで刺されてベストラインが取れない。 ということで双方にとって此れは上手くない状況。 当然ながら各々の癖もあるのでかなり走り辛い筈。
※車載動画は手ぶれ補正スイッチを入れないのが常識なのですが、他の撮影で使用した時の設定のままになっており、実際の車の挙動とは違う動きが介入して非常に見辛い映像となってしまいました。 申し訳ございません。
■決勝
鬼門のスタートは相変わらず。
やはり案じたとおりの展開。
順位を一つ上げて6位で1コーナーをクリア。 得意とするコカ・コーラと100Rでは私のペースではなく前者に追いつく。
が、ヘアピンからの立ち上がりで前者が失速。 どうやら、その前の車がシフトミスしてトバッチリを食ったらしい。 すかさず私は300Rを大外刈で格上車両をパス。 これは上手く決まって気持ち良かった。 シケインまでに5位へ浮上。
昨年一度も勝てなかった53号車の背後へ来た。 が、イツモの走りと違ってブレーキングもラインも変だ。 ブレーキングが甘すぎる。 これではコーナリングスピードで稼ぐ私に打つ手なし。
※走行後に伺った所、ブレーキにトラブルを抱えていたとのこと
最終コーナーの立ち上がりで横に並んでも、その後の直線で帳消し。 見る見る遠のいていく。
パワー差がありすぎてスリップに入れない。 と思っていたら進路を変えられてしまった。 これは入れてくれる気は無さそうだ。 尤も、入れそうになかったが。
今度は先程パスした97号車が近づいてくる。 格上車両なのだから当然なのだが、なんとか1コーナーのブレーキングを頑張ってでも前に居ないとコカ・コーラと100Rでマーシンを築けない。この周は何とか逃げ切ったが、53号車の不調は深刻なようで私はアクセルを開けられない。
マージンを築けなかったのでストレートで追いつかれ、順位を1つ落とし6位に後退。
その後も同様な状況となり、今度は更にハイパワーのスーパーチャージャー車両77号車に追いつかれた。 コーナーで抜き倦ねいていると211NAの63号車にも追いつかれてしまった。
こうなると辛い。 五月蝿い33号車も背後に居るし、気を抜くとその後方から虎視眈々と狙っている5号車にも食われかねない。
77号車に何度もプレッシャー掛けたが、ヘアピンで63号車がイン側から仕掛けてきた。 77号車が怯んでいる内にアウト側から此方も仕掛け、3台でヘアピンに進入。 痺れる瞬間だ。
だが、結局は次のストレートでアッサリと先行され、赤い33号車が私のウイングが巻き起こした風を利用して吸い寄せられる。 こうなると1コーナーのプレーキング勝負。 負けず嫌いの突っ張り合い。
互いにレイトブレーキングとなりクリップから大きく外れる。
苦しいラインで走る33号車はアウトに孕み、更にアウトに居る私は万事休す。 クラス2位の総合9位にまで後退。 インフィールドは空力武装した私が有利だが、流石にそう簡単にはそのラインをトレースさせてくれない。
100Rでアウトから行こうと思ったが彼はミドルから進入したのでインを狙う。 だが追い抜くまでのアドバンテージはなく、引かざるをえない。
次の勝負どころはシケイン入口のブレーキングか
最終コーナーのライン取りしかない。
だが300Rの加速では空力が足枷となって攻め入る余地なし。 差が広がる。 13コーナーでは詰め寄れ、ネッツでも追い立てられるのだが並ぶところまでには進めない。
やはり最終コーナーしかない。
彼はタイムの出るラインを選択したのでイン側ががら空き。 これなら先に入れる。 グイッと少し強引に鼻をねじ込んで立ち上がる。 これはお互いに何度も戦っていて信用できるから出来る事。
既にチェッカーフラッグは振られている。
いくら空力が足枷になるとはいえ、ストレートの半分で抜かれるほどのパワー差は無いはず。 何とか僅差でゴール。 総合8位、クラス1位で終了。
※車載動画は手ぶれ補正スイッチを入れないのが常識なのですが、他の撮影で使用した時の設定のままになっており、実際の車の挙動とは違う動きが介入して非常に見辛い映像となってしまいました。申し訳ございません。