前日から解っていたが開幕戦は生憎の雨。
夜明け前に到着したエントラント達は、空から落ちてくる忌まわしいモノをドンヨリと暗い空を見上げ、白い吐息と共に今日のコンディションを嘆く。 昨日までの穏やかな天候とは打って変わり、今日は雨もさることながら気温が低い。
9時過ぎからの予選開始が迫ると雨脚は一層強くなり、曇り止めを施工していなかったエントラントも慌てて曇り止めをガラス全面に塗布。
昨年の富士スピードウェイで行われたレース時は、コースインした途端に激しい雨に叩かれたのだが、雨を予測していなかったエントラント達のガラスはレース中に曇ってしまって非常に見づらい状況となった。 そんな過去の苦い経験からエリーゼの雨天走行は曇り止めが必須。 この日も協賛のエボレックスさんが曇り止めを全員分持ってきて戴いたのでとても助かった。
そうでなくても雨漏りが酷いのだが、雨樋の無いエリーゼは僅かな開窓部からも容赦なく雨水が流れ込む。 この雨樋を作っておくと雨水の浸入を防ぐと共に、窓の曇りを完全に防ぐ事は出来ないが少し遅らせることが可能となる。
それとエンジンフードに開いた排熱口からの雨水にも注意だ。 これは浸入した雨水がプラグホールに溜まる事でリークするのだ。 雨ざらしで車を駐めておくのであれば何かしらの対策が必要となる。
結局予選は路面には何箇所も川が流れている状況へのコースイン。 恐る恐る走り出したエントラント達に厳しい路面状況を認識させるのは1周の周回すら要らなかった。
今回の路面は今までに経験がないほどスリッピー。 そしてその餌食となったのはオープニングラップで1台と2周目に1台。 私も何度かカウンターを当てる羽目になったが、その直後にエンジンが綺麗に吹けない現象が発症。 リークしたのかエアクリから水分を吸い込んでしまったかは解らないが、明らかにエンジンがバラついて綺麗に吹けてくれない。
そんなこんなで全くタイムが出ないのだが、モタモタしては居られないと気合いを入れて望んだ3周目、1コーナーで欲を掻いて少し奥までブレーキを遅らせるとアッサリとフロントがロック。 直ぐさまブレーキをリリースしようとしたがスポンジバリアが迫り、緩めても駄目だと判断してリリースせず。
ブレーキペダルをリリースしないまま、ロックしたフロントに虚しく当てている舵角もそのままに真っ直ぐコースアウト。 グラベルの中に「ズシャッ」という嫌な音と共に軟着陸。 スピードが大したこと無いのでスポンジバリアの手前で停止のは幸いだった。
エンストしてしまったのでセルを回してエンジン始動。 ギアをローに入れてクラッチを繋ぐが、駆動輪はグラベルの上で空回りするだけ。 残念ながら脱出不能だ。 車外に出なくてはと思ったが、1コーナーのポストに備えられた無線から「3台コースアウトしたため赤旗中断とします」と明瞭に聞こえた。
万事休す。
すぐさまポストからは赤旗が出され、私のコースアウトによって僅か3周で予選終了。 皆さんに申し訳ないと項垂れている暇もなくレッカー車到着。 筑波サーキットは対応が早い。 駆けつけたオフィシャルにリアの牽引フックの位置を伝えると、運転席でステアリングを真っ直ぐにするように指示されたので仰せの通りに。
こんな醜態は久しぶり。 シッカリと赤旗まで画角に捉えてくれた友人の配慮、この画像を見る度に如何にウデがないか証明しているようなモノで自分に腹が立つ。 オフィシャルから「逆走してスタンド横から退出して下さい」と言われたので、冷たい視線を浴びながらそそくさと退出。 ヘルメットを被っていたので解らなかったとは思うが、顔から火が出るように赤面していた筈。
まさにこれからタイムアタックと作戦を考えていたエントラントには、出鼻を挫かれる形と成って悔しい思いをされたと思う。 申し訳ありませんでした。 深くお詫び申し上げます。
更に申し訳ない事に、こんな状況にも拘わらず予選結果は2位。 しかし希有な予選は端から見れば面白い展開を予想させるスターティンググリッドとなり、頭を抱える者も居れば予想外の順位にニヤリとする者も居たらしい。
ところで、飛び出した3台は全員世田谷モンキーズ。 恥ずかしい3台はスタンド横の洗車エリアでグラベルの洗い落とし。 もう大丈夫かと、洗い終わってスタンドの前でブレーキングしたら大量のグラベルを撒き散らしてしまった。
これは駄目だとアンダーパネルをダビデ店長さんに取り外して戴き、私は自分で撒き散らしてしまったスタンド前の清掃に向かった。 偽善者の私は竹箒で何とか迷惑を掛けない程度に清掃をアピールしてパドックに戻ると、店長さんは友人達2台の清掃中。 雨の中全身ずぶ濡れになっての作業、本当にありがとうございました。
決勝。
まだ相変わらず降り続いている雨のため予選時と同様にライトオンでのコースイン。 フォーメーションラップで各々が路面状況を確かめるべく、ウェービングやブレーキングでタイヤを暖める。
私は予選で欲を掻いて雨対策をしたセッティングが裏目に出たので、決勝では走り慣れたドライのセッティングに変更。 レベルは低いかも知れないが、車の動きは解るはず。
5秒前のボードが出されて間もなくレッドシグナル点灯、そして消灯。 全車一斉にスタート...とはならず、私の車は後輪を虚しく空転させ、背後に居る数台の車両が邪魔者を避けるように激しい水しぶきを上げて横を掠めていった。
4台に抜かれて2位から6位に後退、完璧にスタート失敗。 しかしアドレナリンだけは全開で11号車の後ろで1ヘアにアプローチすると、彼はハザード炊いて減速。 慌てて側方の逃げ場を確認して11号車をパス。 ミッションのケーブルクリップが外れたとのこと。
話は変わるが、ここは上記のようにタイラップで外れないように留めておく方が良い。 因みに私は毎年念のためにタイラップを交換しているので永久に持つかは解らないが、1年程度なら耐えられるようだ。
さて、レースの方は好スタートを切ったポールポジションの33号車と素晴らしいスタートで4位から2位にジャンプアップした24号車がオープニングラップをミス無くワンツーで消化して2周目に突入。
44号車は1コーナーを慎重に回っている。 そこに一瞬の隙があったのでS字で横に並んで1ヘアのアウトから仕掛けてみた。 インに飛び込んで来るかと彼の場所を空けておいたが、入って来なかったので難なくパス成功。
目前はパワーの差で不利なE3クラス24号車、37号車には裏のストレートでパスされて3位に下がっていたらしい。 その24号車は80Rでブレーキランプ点灯、ここがチャンスと私はラインを変えてアウト側からパス。 背後の44号車も24号車を裏ストレートでパス。
上位2台はコンディションの良くない路面のためペースが上がらず。 しかしそのためトップグループは団子状態で1ミスが命取り。
2番手の37号車はコーナー出口で挙動が乱れるようで、格上クラスなのだがイツモのようなキレがなく先頭の33号車と私のE2クラス車両に挟まれたまま。 まだまだアドレナリン全開な私は今日の37号車が苦手としている1コーナーで仕掛けると、アッサリと37号車は進路を譲ってくれた。
これでライバルの33号車とのバトル開始。
イケイケ状態の私は最終コーナー進入がオーバースピード。 テールを大きく外に振りながらも何とか態勢を整えると、その隙に33号車は差を広げる。 かに見えたが、たまたま周回遅れが現れてペースダウンを余儀なくされ、差が縮まった私はラッキー。
この機を逃さず再び33号車とデールツーノーズ状態。 最終コーナーの立上りで仕掛けて1コーナーのインを差したが、33号車も一歩も譲らず。 よし、そうこなくちゃ。
ラストラップ前の最終コーナーで少しミスった33号車、ここしかないと私は1コーナーへ並んで進入。 S字で何とか交わしてパス成功。 最後は慎重に走って何とかゴール。
ウエットはもう懲り懲り。
※車載動画はイツモの所からご覧下さい
1ヶ月前に見たときも濡れていたが、洗浄してサーキットを練習走行後に再度見ると再び其処は濡れていた。 其処と言うのはミッションのブローバイガスが抜ける所。 ミッションケースの上にオイルが少し漏れている。
ブローバイガスの所から出ていると言う事はオイルの入れすぎか内圧の上昇、若しくはオイルの劣化か。 出来ればオイルの入れすぎで有って欲しいが、それは無いだろう。 オイルの劣化だと嬉しいのだが。
と、思って居るだけでは確認出来ないので、入れていたミッションオイルを抜いてみた。
今まで抜いたミッションオイルの中では最悪の状態。 ギラギラだし、汚れている。 前回いつ交換したのか覚えていない。 これでは駄目だ。
いつもはニューテックのNC70を愛用しているのだが、今回はテストでルブローレンのGM-2をHRSの通販から購入。 勿論ニューテックは素晴らしいオイルだが、いつも同じでは進歩がないので、一部の人々から評判が良いこのオイルを入れてみる事に。
届いたオイル、こんな缶に入っているとは吃驚。 まぁ確かに油性ではある。 だが2リッター缶が届くと思って居たのに、こんな形で量り売りするとは思わなかった。
因みに私はミッションオイルの注入は地球の引力を利用している。 シリンダー形式の注入器はどうしてもシリンダー内に残るし、スロープを利用して下に潜る私には下から注入するのは辛い。
ニューテックは硫黄系の独特な臭いがしたが、このルブローレンは酸っぱい臭いがする。 ミッションオイルでこんな臭いは初めてだ。 粘度は思ったよりあるが、オメガのミッションオイル程ではない。
そうそう、レース後に洗車したら再び大量のグラベルが車から出てきた。 コースアウトしたら洗車は念入りにした方が良いようだ。
最近少しエンジンが重いしオイル消費も始まってしまった。 私の悪癖でシフトダウン時のオーバーレブが原因だと思う。 エンジンに負担を掛けた結果がピストンの首振りやライナーの摩耗に繋がっている筈。
使用していて不具合が起きた事のない並行モチュールは現在殆ど安価ではなくなっている。 湯水のようにオイルを使用する私にとって、エンジンオイルは気安く交換出来る価格でなくては困る。 ルブローレンのミッションオイルもニューテックより安いので、安くて問題がなければ万々歳なので入れてみたというのが正直なところ。
過去に使用したエンジンオイルで高温に晒された後の油圧持続性、エンジンの静粛性など個人的に満足出来たオイルはモチュールの他には2つしかない。 それはSilkoleneとFuchsで、モチュールを含めてどれもエステルベースのノンポリマーというのが共通事項。
ということで個人的にエステルベースでノンポリマーという条件は絶対なのだが、それで調べてみたら今まで何となく毛嫌いしていたメーカーに該当する商品が有る事が判明。
どのメーカーも良い事しか書かないので使用しないと真相は不明だが、それにベースオイルの種類やエステルのブレンド具合など記載したら敵に塩を送るようなもの、明記する筈など無いのだ。 ただ、個人的にはポリマーが配合されているオイルは一度熱が入ると途端に油圧が落ちる傾向があったので避けたいと思って居る。 ということで、このメーカーのオイルがイケテルなら安価な並行モチュールを入手出来るまでは凌ごうと思って居る。
翌週、筑波サーキットでルブローレンのテスト。 と、そのまえに街乗りの簡単なレポートをすると、オイルが冷えているととても渋くてローとセカンドには入りづらかった。 なんだか嫌な予感。
筑波のスポーツ走行開始後暫くはニューテックと変わらない感じでとても調子よい。 これなら大丈夫。 と、安心してガンガン走る。 あと5分で走行終了という頃、一気にシフトフィーリングが悪化。
シフトダウンでセカンドに入らなくなった。
このオイル、私の車には合わない。
そして走行後のミッションケースを見ると(フラッシュ焚いて撮影したので解りづらいと思うが)矢印のボルト辺りからオイル漏れ。 先日はブローバイガス抜きの装置から漏れているかと思ったのだが、該当箇所からのオイル漏れは一切無し。
となると漏れているのは何処だ? もしかしてミッションケースにクラック? 今月号での検証は時間切れ。 速報は落書帳に乗せるが、オイル漏れの原因がミッションケースのクラックだったら.....