先月書くつもりだった5月の第二戦、もうずいぶんと前の話で申し訳ないが、今月はその話から始めようと思う。
ゴールデンウィーク前の週間天気予報では、こどもの日は晴れ。 毎年、こどもの日と体育の日は晴れの特異日とか。 が、前日夜の天気予報では当日午後から雨が降るという予報に変わった。
早朝から富士スピードウェイに向かうと、西に向かうに連れて厚く低くなっていく雲。 そして厚木インターを過ぎた辺りからポツポツと雨粒がエリーゼのフロントウィンドウに付き始めた。
大井松田インターから見える筈の富士山は雲の中で全く見えず。 それどころか辺り一面が霧の様相で見通しが悪い。 嫌な予感は的中し、誰もいない富士スピードウェイに到着すると其処は完全に雲の中。
100メートル先が見えない状況だ。
今回の集合場所は5番ピット前。 昨日までスーパーGTが二日間に渡って開催されていた名残が彼方此方に散見され、ここはどうやらタカタ童夢NSXのピットだったらしく作戦本部である仮設建物が残っていた。
霧は濃いものの雨は降っていない。 というか雲の中に居るような感じだ。 暫くして集まってきた仲間も霧で私の車が何処に止まっているか解らなかったという。
少し霧が薄れてきたのでヘアピン辺りの路面を眺める。幸いなことにフルウエットではない。所々稍濡れているという状況で、昨日走ったGT車両のラバーも残っているようだ。
これで路面が乾いてからサラッと清掃してくれれば最高のコンディションだ。 何とか天気が好転してくれたらなぁ....という気持ちが通じたのか、徐々に雲は薄れていき視界も開けて奇跡的に予選はドライで走ることが出来た。
気合いを入れてコースイン。
アウトラップは路面状況と車のコンディションのチェックから。
チンタラ走っていたら路面状況も解らないしタイヤも暖まらない。 それに私の短気な性格から、クリアラップを見つけてアタックなんて事は無理。ガンガン走るしかない。
少しリヤダンパーの縮み側が弱いのか、前後のバランスが悪いのか、リヤからブレイクしていきそうな感触がコーナーのアプローチで起きるのだが、クリップから踏んでいくとアンダーが強い。
全体的にバネレートを上げた方が良いのか? などと考えながら2周目に突入。 Aコーナーを曲がりきれずにハミ出しそうになった。 フロントの伸び側減衰はまだ調整代が残っているのでワンノッチ締めてみようか。
いや、そんな時間は無い。
予選は最初の4周までがタイヤとエンジンの美味しいところ。 ここを逃したらベストタイムなど刻めないのだ。 クソッ、もっと練習してセッティングを煮詰めておくべきだった。
現時点では今出来る最高の仕事をしなくては成らない。 フロントをワンノッチ締めるのは決勝にしよう。 結局、2周目はそつなく走ってタイムは4秒台。 これでは納得できない。 何としてでも3秒台は出したいぞ。
気合いを入れて3周目。 気合いとは裏腹に直線の伸びはイマイチ、1コーナーは少しブレーキングが甘かったが、タイヤがベストの状態なのでミスを補ってくれた。 よし、このままAコーナーを綺麗に行ければ期待できる。
と思ったのも束の間、ヨーを残しすぎて出口でカウンター。 これはコンマ数秒のロス。 しかもここは100Rへのアプローチで大事なところだ。 その他も彼方此方で小さなミスを連発したが、タイヤが一番良い状態だったためベストタイムとなった。(そのあと、うまく纏められたと思ったら最終コーナーでミスって台無し)
それから1時間後。 まだ持ってくれると思って予選で良くなかった点を踏まえて減衰変更。 もう少し前後とも堅めにしてロールスピードを抑える方向にしてみた。
上の画像では解りにくいと思うが、ピットロードに並んだ瞬間に雨。 しかも非常に強い雨。 あっという間に路面はウエット。 全エントラントの誰がこの事態を想定しただろう。
殆どの人が予選で掴んだ感触を元に、完全なるドライセッティングの筈。 30分の走行を想定し、ネオバの発熱を考えてタイヤの内圧も低めにしてある車両に対し、冷たい雨は過酷な状況を作ってくれた。
フォーメーションラップで路面のコンタクト具合を確かめるものの、やはり内圧を落としたタイヤでは如何に雨に強いネオバでも面圧が出ない。
しかし全員が同じ状況の筈。
これは逆に腕の見せ所か。 シグナルがブラックアウト、全車一斉にスタート。 ではない。 ミートポイントをしくじった車両のタイヤが虚しく空転しているようだ。 が、後続車達は冷静にクリアし接触は無かった。
オープニングラップでは路面の感触を掴もうと慎重に走る者と、果敢に攻めていく者とに別れたようだが、レース慣れしている猛者達は正に下克上。 下位の車が上位の車を食おうと狙う。
残念ながらクラッシュがあったが、彼以外は自分の技量の中で走り終えた。
(クラッシュ車両は状況判断に甘さがあったと言うことから111cupの規定により失格)
雨の富士スピードウェイ、直線では5速全開で200キロ程度のスピードに達するが、この素晴らしいウェット性能によって自信を持ってアクセルを踏めることに一同驚いた。
勿論、サーキットだから出来ることなのは承知の上だが、参加者はネオバのウェット性能が素晴らしいことが解った。 だが、もうウエットは勘弁して欲しい。
※予選と決勝の動画は動画ページ参照
もうウエットは勘弁して欲しいと思った第2戦に続いて第3戦も雨。 しかもヘビーウエット。
そして結果は完敗。
実は第2戦を終えてからバネを交換した。 5月号で考えていたことをメーカーと協議し、バネレートアップと減衰変更を行ったのだ。 前回のラウンドではフロントの減衰を使い切ってしまっていたし、もう少しフロントのロールを押さえたかったので。
今迄 F:350LBS(6.25kgf/mm) R:425LBS(7.59kgf/mm)
今回 F:400LBS(7.14kgf/mm) R:475LBS(8.48kgf/mm)
が、セッティングをする時間が中々取れず、某所で散歩しながらセッティングをした。 この時は中々良い感触だったのでソレをサーキットで試してみると酷いオーバーステア。 フロントの回頭性は非常によいのだが、それにリアが付いてこない。
何度もリアの縮み側減衰を弄り回してみるのだが、硬くしても緩くしても感触が良くない。 呆気なくリアがブレイクしてしまう。 ではと伸び側の調整をしてみるがこれもイマイチ。 何がいけないのか解らなくなってしまったのでユルユル状態から仕切り直し。
相変わらず足のセットは解って居ないのだが、多少マシなセットが何とか見つかった。 とは言ってもこの時期に筑波で6秒フラットという情けない状態だが。
そんな状態で臨んだ今回。 色々あってモチベーションは低かったのだが、早朝に起きてみると駄目押しのように雨天。 なんとか午前中は持ってくれたら予選で頑張ってアドバンテージを築こうと目論んだのだが見事に外れ。
前日のウチに用意する時間は有ったのに、何故か怠った雨対策。 仕方ないのでハードトップに雨樋作り。 これをしないと屋根に降った雨が室内に入ってくるのだ。
雨樋作りとは言っても大した物ではない。 私は建築用の幅広の養生テープをガラスの上に一本張る。 但し、その1本はベッタリと貼るのではなく下半分だけ接着させるのだ。 そして貼り付けていない上半分に更に養生テープを貼り付けてT字型にする。 勿論、Tの突起部分を若干上向きにしないと樋にならない。
こうすることでハードトップからの雨水を9割方逃がせるのだ。 ハードトップを装着している人は是非試して欲しい。 何故ハードトップに雨樋が付いていないのか不思議でならないが、空気抵抗を考えると多少の雨ぐらいは我慢しろと言う事なのだろうか?
と、そんなことをしていたら5時を過ぎてしまった。 いつもならとっくに高速道路に乗っている時間だ。 焦りながらエンジン始動。 が、こんな時に限って電気系のトラブル。 アイドリングが高い。 実は前日から調子が悪く、スロポジのリセットやらAACバルブの分解清掃やらを施したのだが、解消されていないようだ。
くそっ、時間がない。
仕方ないので例の儀式。 再びスロポジのリセットを試みる。 そしてイグニッションオン。 セルを回してエンジンに火を入れる。 よし、今度は始動状態が良かった。 調子がよいときの始動は軽やかに弾けるように1,500rpm辺りまで吹き上がりながら目を覚まし、徐々に回転数が下がってくるのだ。
ところが調子が良くないときは空燃費が高いような重たい始動で、辛うじて1,200rpm程度までしか回転が上がらない。 こんな時は時間が許す限りスロポジリセットを何度か行って回復するまで待った方が良い。 この状態で走らせるとセーフモードになるようで、アイドリングが1,500〜2,000程度まで上がったまま下がってこなくなるし燃料が濃くてエンジンが重たい。
何とかエンジンは目覚めてくれたようだし、雨樋も作ったので筑波へ急ぐ。
もう5時を少し回ってしまった。 が、大抵急ぎたいときに限って様々な事が私を襲ってくる。 まずは前にいる車だ。 制限速度をシッカリ守って走っている。 世間的には悪くないことだが、果たして一般道で制限速度を守って走ることが正しいことなのだろうか?
と、イライラしていたら曲がって行ってくれた。 程なく外環道に乗り、一般的なペースで常磐道を目指す。 もう5時15分だ。 これでは守谷のサービスエリアへ5時半には間に合わないな。 世田谷モンキーズの面々は大抵5時半に守谷集合なのだ。
バイパスで酔っぱらい運転と思われる危険な車がフラフラしていたので抜くに抜けずペースを乱したり、朝食が摂りたくなったので途中でコンビニに寄ったりして、結局筑波に到着したのは6時15分。
案の定、到着したら世田谷モンキーズの3人組が先着。 そして湘南組の一人もいるので私は5番目。
雨足は相変わらず強い。 ふとコースを見ると所々に水溜まりと言うか川が出来ている。 劣悪なコンディションだ。 仲間達は階段下の辛うじて雨の当たらないところに椅子を並べて陣取っている。
程なくしてテントを持った事務局の車両が到着したので皆で手伝って設営。 これで何とか屋根が出来たが、全エントラントの荷物が置けるほどのスペースは作れない。 私は事務局のワゴン車の荷室に荷物を置かせていただくことにした。
そんなことをしていると仲間が次々に到着。
みんな開口一番に私が一番乗りじゃないのかとからかっていく。 引きつりながら「ははは」と愛想笑い。 やはり無理してでも早く出るべきだったな。
雨脚は一向に弱くならないが予選の時間が近づいてきた。
今回は前回の富士では曇ってしまった窓に対策を講じてある。(汚いキーボードはご容赦) 雨の中で皆んなで使い回したのでラベルがボロボロになってしまったが、これが今回大活躍。 私が使用しているオイル屋さんから「使ってみな」と戴いたものなのだが、これは強力。
今まで使用していた曇り止めはギラギラして見にくいだけだったが、これは今までのタイプに比べるとギラギラ度は少ない。 そして持続時間が長い。 さすがに丸一日は持たなかったが半日であれば支障無し。 前回の富士では室内を真っ白にしながら走ったのだが、今回は全く白くならずに走りきれた。
市販されているのかどうかは解らないが、興味があれば直接エボレックスに問い合わせいただきたい。
そうそう、エボレックスさんのメインはエンジンオイル。 今まで使っていた試作品は10w-30程度の製品だったのだが、さすがに夏場では油圧の低下が不安になり、今回から調合を20w-50にして貰ったのだが、やはり粘度が高いと油圧が掛かって安心だ。
時間が来たようだ。
トップの33号車がゲートに向けて車を動かし始めた。 続いて37番、45番、36番と続いて私の番だ。 今回はアタックタイムが僅か10分しかないので精々6周しかできないだろう。 とにかく集中するしかない。
シグナルが変わって33号車が咆哮を上げる。 乾いた良い音。 一方、私の車は汚い音。 実は私の車はマフラーを交換する時期が来ている。 最近感じているパワーダウンもマフラー内部の内部のパンチングメタルが破損しているからなのかも知れない。 何とか資金を捻出して制作しなくてはならないのだが、何かと今年は要り用で。
などと余計なことを思いつつ1コーナーを曲がろうとしたら36号車が私に前に行けと合図。 了解了解。 危ないヤツはサッサと何処かに行ってくれということだろう。 ありがたく先に行かせていただく。 と、その先にいる45号車も先に行けと合図が。 私、相当嫌われているのか?
ところで毎回のように書いている減衰設定はベストセットをマダマダ模索中なのだが、ドライであれば何とか攻められる足にまでは成ったと上の方に書いた。 だが、今回ほどのヘビーウェットでは硬すぎるのは誰が見ても解ること。 では何ノッチ何を緩めればよいか。 全く見当も付かないので縮み側のみ1ノッチ緩めて見たのだが、これでは足りなかった事が1ヘアを曲がって解った。
ロールが無さすぎる。
ステアリングを入れるとタイヤが路面を引っ掻くように滑るのがステアリングを通して手に伝わる。 こんなにグリップしないのか。 もう1ノッチ縮みを緩めるべきだった。
だが時間がないのでピットには入れない。 仕方ないのでこのままアタックするしかないのだ。 それにしても今日はヘビーウエット。 今までこれほどのウェットな筑波は経験がない。 以前、一度台風並みの雨天で111cupが開かれたことがあったのだが、怖じ気づいて出場しなかった。 あの時と同じような降り具合だ。
筑波はコーナーにカントが付いているので当然の如くイン側には水溜まりが出来る。 なので通常のアウト・イン・アウトでは駄目だ。
空気圧はドライであれば温間で使用したい圧に設定してみたが、果たして正解かどうかは解らない。 一般的には空気圧を上げてタイヤを尖らせて接地面積を減らすのがよいと言うのが一般論だ。 それにしてもグリップしない。 一体、どうやって走ればタイムが出るのか見当も付かない。
と、ふと気になって電光掲示板を見ると72号車がトップタイムを出している。 72号車は同じクラスのライバル。 小さなことをチマチマ考えている場合ではない。 とにかくやれるだけやってタイムを作らないと。
仲良く走っている33号車と37号車。 まずは後方にいる37号車からパスさせていただく。 そして33号車。 よし、クリアラップだ。 気合いを入れて走ったつもりだがP−LAPの表示は愕然とする18秒台。
確かウエットでも15秒では走れたはず。 これでは勝てない。 しかし薄氷を踏むような走りしか受け付けて貰えない状態ではタイムなど出ない。 何とか17秒台が精一杯。 結局17秒5がベストだったが、最後まで電光掲示板には72号車の上に73番が灯る事はなかった。
負けた。
呆気なく終わってしまった予選からパドックに車を駐めると、私の足は72号車へ。 失意のまま72号車のドライバーに負けたよと素直に話しかける。 そして私は17秒5だったと言うと、彼も17秒5だったという。 そんなに僅差だったのか?
正式リザルトによると、彼は1分17秒528で私は17秒578。 5/100秒の負けらしい。
ここで決勝の作戦を考える。 まずはタイヤ。 これは解らないのでリスクを背負わないためにも今の内圧のままで良し。 いつもの温間圧を冷間で確保。 ステアリングは入っていくのでフロントの減衰セットは問題ないようだが、かといってリアの減衰だけ弱めると前後バランスが崩れるので前後とも更に1ノッチ緩めて見ようか。
と、緩めたら空が少し明るくなってきて雨脚も弱まった。 なんだよ、それ。 と、アタフタしていると皆んなに笑われた。
待てよ、今色々と弄っても決勝は四時間以上も後だ。 車のセットは後にしよう。 時間がありすぎるのでサロンに上がって走っている車を見学。 コースにはアルファロメオのジュリアなどが走っている。 見た目に早いぞと思ったら私らと殆ど同タイム。 が、グングンとタイムを上げて15秒台まで削ってきた。
失礼ながらアルファロメオがこんなに走れる車だとは知らなかった。 カッコイイじゃないか。
それはそうと腹が減ってきた。 何もすることがないので飯を食いに行こうと皆んなを誘うと10時半になったら行こうと言う事になった。 まだ10時か。 長い一日になりそうだ。
食事も終えたが時間もあることだし仮眠を取ることにしたのだが、ウトウトしていると頭にザバッと水しぶき。 何事かと驚いて目を醒ますと、隣のテントに溜まった雨水を抜こうとしたら私に直撃したらしい。 今日はトコトンついてないようだ。
何もすることがないのだが何となく嫌な予感がしたのでエンジンを掛けてみた。 が掛からない。 アイドリングしてくれないのだ。 しまった、エンジンフードの排熱メッシュに雨避けのビニールを掛け忘れた。 エリーゼはミドシップなのでエンジンルームに容赦なく雨が降り注ぐのだ。
そしてこれがプラグホールに入ってリークしてしまう。
すっかり忘れていた。 そういえば皆んなはフードにカバーをしたり、傘を置いたりして居るではないか。 こんな根本的なことを忘れてしまうなんて。
仕方ないのでエンジンを始動させて水分を蒸発させるしかない。 私の車両だけが静まりかえったエリーゼのパドックで爆音を撒き散らす。 何をやっているのかと皆んなが寄って来て恥ずかしかった。
10分ほど暖気させただろうか。 やっとアイドリングしてくれるようになり、運転席から降りることが出来た。 そう、アクセルを離すとストールしてしまうので今まで運転席から出られなかったのだ。
まだエンジンには少し振動が出ている。 少し失火しているようだ。 プラグが駄目になったら厄介だ。 もう少し回転を上げて暖めてやろう。 内部が壊れかかっている煩いマフラーのせいで汚い音を撒き散らすしかない。 静かに休んでいた皆んなに申し訳ない事をした。
さて決勝の時間になった。
結局いつもと変わらないグリッド。 1位の席には神様は座らせてくれないらしいが、今回は常勝のE1が居ないのでトップを取ることは可能だった。 悔しい気持ちが沸々とわいてきた。 よし、頑張るぞ。
午前中よりはマシだが、それでも完全なウェット。 雨脚も傘をささなければ成らない状況に変わりはない。 減衰は結局少し弄った。 予選で硬いと感じたので更に1ノッチずつ前後とも縮み側を緩めてみた。
レースクイーンが寒そうにカッパを着て1分前のボードを掲げる。 グリーンフラッグでフォーメーションラップ開始。 スタートの練習こそしなかったが、何となくソレっぽいスタートを切ってみた。
グリップしない。
どうやってスタートするのがベストなのだろう。 最大トルクでミートするとミューが低いのでホイールスピンするのが関の山。 かといって低回転でミートさせると、例の持病がでてパラついたりしたらアウトだ。
と、少し考えたのだが、走り出したらブレーキを暖めることに専念。 すっかりスタートのことは頭の中から消えてしまった。
グリッドについてクラッチペダルを踏んでギアを1速に入れる。 おっと、フライングにならないようにサイドブレーキを引くんだった。 そして回転を4000弱に上げてシグナル点灯を待つ。
5秒前が表示された、もうすぐだ。 一番緊張する一瞬。 ブラックアウト、よしっ、クラッチミート。 するとエンジンストールしかけたので慌ててクラッチを踏み直して再ミート。 ところが今度は唐突に繋いでしまったのでホイールスピンして車が前に進まない。
最悪。 次々に抜かれていく。 3台に抜かれた。 やっと1コーナーで背後につく。 2位から5位にダウン。 なんてことだ。 一体、何を失敗したんだ?
動画を見ると、どうやらサイドブレーキを下ろせなかったように見える。 私は下ろしたつもりが、ボタンが押し切れて居なかったようで解除されていなかったのかも知れない。 フライングよりはマシだが、それに次いで格好悪いミスだ。
起こってしまったことは仕方ない。
ここから追い上げるぞ。
まずは赤い33号車。 直線の伸びは互角。 コーナーの進入と立上りで若干のアドバンテージは有るようだが、まだタイヤが信用できないので鼻をねじ込むのは危険すぎる。 相手の些細なミスを見逃さないようにしよう。
1コーナーのブレーキングが甘かった。
ここですかさずインに鼻を入れて立上りでパス。
上手く行った。
次は52号車、E3の車両だ。 彼は雨に強いのは数年一緒に戦ってきているから承知している。 だが、こちらのほうが25馬力多いので負けるわけにはいかない。
立上りの直線で楽に行けると思ったが甘くなかった。 彼は上手に120馬力を使っている。 低速トルクが私のよりも厚いのだが、それをうまく使って立ち上がっていくのでパスできない。
こうなったら格好良くないがバックストレートで馬力にものを言わせてパス。
よし、残るは2台。 両方とも今回のタイムが拮抗しているE2車両だ。 負けるわけにはいかない。 41号車はシリーズ2のVVC搭載車両。 若干重いので立上りではコチラにアドバンテージが有る。 ギヤ比もクロスしていないので私の方が有利。
彼の車の方が重いので、ブレーキングと立上りでうまく躱すしかない。 勝機はある。 雨で10周に減らされているが、まだ始まって3ラップ目。 どうやら私の方が若干タイムが良さそうだ。 アウトラップを含めた数周でタイムを纏めるのは比較的得意とするところ。 早いうちに仕掛けたい。
と、思ったら最終コーナーの入口でアッサリと譲ってくれた。 あはは、危ないヤツだと思われているらしい。 スタートラインの所で「ありがとう」と合図。
あとは1台、トップを行く72号車のみ。
彼とは今まであまり絡んだことはないが上手なのは解っている。 車も全く一緒のシリーズ1の111S。 彼の車はフロントスポイラーと160ウィングで武装しているが、今回はベタベタの車高にして足回りもセッティングを変えたと聞いている。
相手にとって不足なし。
今回は初手合わせだが既に私はアドレナリン大噴出。 ちょっと尋常でない精神状態に陥っているが、それは今だから解ること。 そのときの私はスタートの失敗で一瞬真っ白になったが、徐々に順位が上がってきたことで絶頂になっていたようだ。
先程から何度も滑ってカウンターをあてているダンロップ下に向けてステアリングを入れたが、入口で僅かにテールが出たのか体が勝手にステアリングを一旦戻して2度切り。 その瞬間にアクセルを抜いてしまったらしくリアのトラクションが抜けた。
カウンターで修正できるかと思ったが、思ったよりも慣性が強くミューも低いのでトラクションが戻ってこない。 こうなったらブレーキを踏んでコース内で留まる方法を考えるしかない。 フルブレーキング。 と、同時にクラッチペダルを踏んでエンスト防止。
よし、うまくコース上に留まった。
後続車も来ていない。
今なら再スタートが可能だ。
80Rに向けて1速を全開にしたところで、先程パスさせていただいた41号車に再び抜かれてしまった。 が、まだアドレナリン噴出が継続しているようだ。 その周の最終コーナーで先程と同じようにパス。 折角72号車の背後まで迫ったのに、もう殆ど車影は見えなくなってしまった。
さすがに次の周からはダンロップ下には怖々と進入。 同じ箇所で何度もスライドしてるのだからもっと早くライン取りを変えるべきだった。
結局、6秒差を付けられて完敗。
※決勝の動画は動画ページ参照
・リヤブレーキキャリパー
リヤのブレーキキャリパーが変形してしまった。 その結果、ご覧のようにパッドが思いっきり偏摩耗するようになった。
突然変形したわけではない。 何度も何度もサーキットで酷使しているウチに擦動部分が変形し、スリーブにガタが出てしまい、それが更に他を磨り減らすという悪循環に陥ったようで、結果的に85,000キロの使用で再使用不可能な状態となっていた。
以前、友人にリアキャリパーのオーバーホールキットを買って貰った事があり、それを利用して修正できないかと思ったのだが、スリーブ内部まで磨り減ってしまったら手の施しようがないらしい。
こうなる前にオーバーホールすることをお勧めする。
どうなったらオーバーホールかというと、パッドが偏摩耗擦るようになったら必要なのではないかと思っている。 但し、キャリパーサポートというか、リヤのアップライトの材質が芳しくなく、万力に固定してウォーターポンププライヤーなどで力を加えると簡単に変形するのだ。
なので、何らかの力が加わってここが変形するとキャリパーも駄目になってしまうので要注意。 諄いようだが、もしリヤパッドが偏摩耗するようであれば原因を突き止めた方が良いようだ。
・フロントキャリパー
コチラはパッドを止めるピンを押さえるβピンが抜けやすい。 以前も外れてホイールを傷つけた事があるのだが、レース前日に主治医が飛び出しているピンに気づいてくれた。
もし気づいていなかったら、どうなっていたことか。 このβピンも定期的な交換が必要なのかも知れない。
一方、こちらのキャリパーは少し開いてしまったようでパッドが偏摩耗するようになった。 こちらも簡単に交換できる価格ではないのでもう暫く今のまま使用するつもりだが、使用限度はどのくらいなのだろうか。
・スピードセンサー
リヤハブを破損した際、ドラシャが規定値外のブレかたをしたようで、スピードセンサーのピックアップを破壊してしまった。 このピックアップは非常にデリケートに出来ているので、少しでもギャップが広がったり損傷があると正しく速度表示をされなくなる。
スタックのメーターはこういうところは敏感に出来ているようで、速度計がスムーズに動かなくなるので精神的に苦痛となる。 そうならないように偶にはスピードセンサーやピックアップも清掃して状況をチェックしてやって欲しい。
・オーディオ
車両購入時とほぼ同時に購入したアゼストの廉価版ヘッドユニット。 喧しいエリーゼの中で良い音楽を聴こうなんて微塵も思っていなかったのだが、こんな私でもiPodを所有するようになり、そうなると車内でもiPodを再生したくなった。
調べてみると最近はUSBメモリーを直接刺して読み込める機種も有るようだ。
コノ時点ではまだ私も自分のiPodは所有して居らず、ただ草臥れたヘッドユニットを交換したいという気持ちだったのだか、どうせならばとUSBを搭載した機種を検討していた。
色々と調べてみた結果、クラリオンの廉価版なDXZ385USBという機種はiPodも直接繋げるし、USBメモリーも直接繋げて14000円程度。 友人も購入して調子がよいということで私も真似して購入。
が、私が使っていたiPodの第4世代は接続できない機種だと後から知って愕然・落胆。 だが私のミスでiPodのハードディスクを壊してしまってiPod
nanoを購入。 喜び勇んで接続してみたモノの、iPodから音楽を流すと何故か素人の私でも解るほど音質が良くない。
所がUSBから直接データを読ませると非常によい音がする。
iPodからデータを送れるのが売りなのに、音質的に我慢できないので結局USBメモリーにお気に入りの曲を入れて聴いている。 iPodを繋ぐよりも手軽だし、ランダム再生が出来るので同じメモリーを刺していても飽きない。
そうそう、メモリーのアクセスランプが点滅するので、もしこのタイプで行くのであればアクセスランプが控えめなタイプが気にならなくて良いだろう。