今年もシーズン開幕。 この日までに合わせようと思っていた足のセッティングは、私の能力不足により完全に迷宮に迷い込んでしまった。 藻掻けば藻掻くほどドツボに嵌って泣きたい程だ。
悪友達は三味線を弾いてると口を揃えるが、本当に何が何だか解らない状態になってしまい、そもそもセッティングとは何をどうすれば良いのかさえ解らなくなってしまった。
だが、レースだけは何とかしたい。 では何とかするにはどうすればよいか? 大は小を兼ねるでは無いが、迷った時はガチガチなセッティングしかない。
何年前だか忘れたが、ルマンにポルシェのワークスが送り出してきたマシンがガチガチの足で酷いピッチングを晒しながら予選と決勝を戦っていた。 有り得ない醜態を晒しながらもワークスチームはそれなりの成績を残した。
それとは雲泥の差があるが、幸いなことに筑波は路面のカントを上手く使えばヘタクソが乗ったセッティングの出ていないマシンでも何とかタイムを纏められる。
ということで今回は完璧なセッティングは諦めて、縮み側の減衰をグッと締め込んだ仕様で戦うことにした。 だが雨が降ったら一巻の終わり。 前日は神様に祈りながら床についた。
セッとした目覚ましより早くに目が覚め、徐に空を眺めると星空。 よし、今日は良い天気だ。 これならガチガチセッティングでも何とかなりそうだ。
そそくさと準備をし、明け方の高速道路を快調に滑って1時間程度で筑波着。 到着後間もなくゲートオープン、1番前に車を止めた。 すると次々に仲間達が集まってきた。
危ない危ない、もう10分遅かったら一番乗りは不可能だった。
今回は満員御礼のフルグリッド、早めに出走してクリアラップを上手く作らねばならない。 渋滞に巻き込まれないようにしなければ予選タイムは沈んでしまうだろう。
まだ出走までには時間がある。 何か忘れていないか? そうだ、今日はプラグを交換しようと思って持ってきたのだった。
私はプラグ交換を年に一回、エアクリーナーの清掃も年に一回にして居るのだが、昨夜エアクリーナーは清掃したが、プラグ交換は敢えて直前にやろうと思って持ってきたのだ。
このクリーナー、もう6年も使用しているのでスポンジが随分と劣化してきた。 何とか騙し騙し使っているがソロソロ限界。 このエアクリだけを売っている所が有るのだろうか?、エアクリだけ買い換えたい。
今回非常に汚かったエアクリ、ツインエアーの純正リムーバーを使用したら見事に綺麗になった。 一回目の廃液は凄まじい状態だったので、念のために二度洗いしたほど。
以前はマジックリンなど市販の洗浄剤を使ってみたのだが、全く綺麗に落ちずに逆にネバネバになって苦労した。 それがウソのようだ。 こんな事なら最初から純正品を購入しておくべきだった。
もし、同様の塗布材を使用している貴兄がいらっしゃるなら、ここはケチるべきではない。 クリーニングには純正品を使うことを強くお勧めする。 自然に優しいという塗布オイルとリムーバーなので浴室で洗浄しても大丈夫なのもポイントが高い。
一方、プラグ。 こちらも限界だった。 歯石のような付着物が付いており、これが剥がれて燃焼室に落ちたらと考えるとゾッとする。
話が横道に逸れすぎた。
さて、今回もタイヤの空気圧は悩み所。 まだ日も昇って間もないので路面は冷えている。 外気温も其程高くない。 と成ると、冷間で1.9キロスタートで良さそうだ。 3周目に温間2.2と成るよう狙ってみる。
さて、出走の時間になった。
トップで飛び出してイツモ通り全開...にはしない。 今回はフルグリッドということから全開で走り出すと、メインストレートに戻ってきてもまだ全車がコースインしていない可能性があるからだ。
今回は最終コーナーから全開。
前日に清掃したエアクリーナーに防塵オイルを塗布しすぎたか? エンジンのピックアップがイマイチ良くない。 メインストレートに戻ってきたが最後尾は見えない、よしよし、2周目もクリアラップだ。 と、意気込んで1コーナーへ勢いよく侵入したらブレーキングでタイヤがロック。 クルマはスポンジバリヤへ向かっていく。(動画参照)
ヤバイ。
何とか途中でグリップが戻ったので嫌な汗を少しかいただけで済んだが、こんな所でクラッシュしてリタイヤは格好悪すぎるし、頭が悪すぎる。
気を取り直してアタック再開。
だが、どうにもタイヤのグリップとエンジンのピックアップが良くない。 タイヤはもっと空気圧を上げておくべきだったか?
2周目もまだクリアラップを取れているが、タイヤのグリップが乏しい。 タイヤの暖め方を失敗したようだ。 これでは3周目でもタイムは出ないかも知れない。 そんな事を考えながら走っていると最後部の車両達が見え始めた。
これでは益々タイムが出ない。 あれ? 先程メインストレートに戻ってきた時に計測ランプが点かなかった気がする。 また筑波の方でスイッチを入れていないのか?
3周目になって少しグリップが出てきたが、これではまだベストではない。 しかしエンジンは少し回るようになってきた。 余分な塗布オイルが吸い込まれて燃え尽きたか?
それはそうと、やはりP−LAPが動作しない。 以前にも有ったのだが、これは意図的にスイッチを入れていないのだろうか。 しまった、ドラミの時に主催者に確認すべきだった...、今となっては後の祭りだが。
4周目ではグリップがほぼ満足のいく状態となったが、クリアラップが取れずに悶々。 いつもなら6周程度走ったら退場するのだが、この日はなかなかクリアが取れずに結局最後まで走ってしまった。
手にしたリザルトを見ると、タイムはギリギリの4秒台。 過去ベストの4秒4には遠く及ばないが、今のセッティングからすれば上出来か。(予選動画は動画室参照)
さて、今回も長い昼休みを経て決勝が迫ってきた。 私の鬼門であるスタートで大きなミスをしなければ良いな、と思うだけで心臓がバクバクする。 相変わらずプレッシャーには弱い。
少し時間が押しており、規定の時間より20分弱遅延しているようだ。 仲間達がエンジンに日を入れたら主催者から遅延している旨を伝えられた。
いよいよ決勝開始。 まずはコースインしてフォーメーションラップ。 ラジアルタイヤは暖めるための行為をしても無駄と言うが、私はそうは思わない。 シッカリとウェービングやブレーキングをすると明らかにタイヤのグリップが向上すると思うし、これをやらないとオープニングラップで危ない思いをするとさえ思っている。
スタート5秒前。 私はエンジンを4000回転にあげてシグナルを待つ。 ブラックアウト、何とか悪くないクラッチミートが出来た。 一方、眼前のポールポジション63番はスタート失敗。 私は行く所が無くなり仕方なくアクセルを緩める。 すると、今年最大のライバル11番が私より前に出てアウトから仕掛けようとしている。
真横にいるように思ったが、上の画像を見ると車両1台半ほど離れている。 とにかく1コーナーのアプローチで引く訳にはいかない。 頑張ってイン側をキープする。 11番も無理に鼻をねじ込んでこない。 私の居場所を確保してくれている。 ありがとう。
クリーンなバトルによって1コーナーは私が先行。 よし、このまま最後まで行くぞ。
ヘアピンを立ち上がった所で先頭グループはご覧の通り1列となったが、中盤以降は混戦模様らしい。 勿論、私は自分のポジションしか解らない。 この画像を拝見するとヘアピンでイン側に飛び出してしまった車両が居たようだ。
だが、冷静な判断でクリアしたようで混乱は無かったと聞いた。 素晴らしい。
11号車は次のダンロップ下で僅かにミス。 それによって私との間隔が開き、そのままその差が縮まることなく淡々と走って何とか私が辛勝。
一方、トップの2台はオープニング後の数周は6番が63番を押さえて周回。 もっと足回りを煮詰めてエリーゼの美点を最大限に引き出せるように成れば、この2台に付いていけるだろうか?
いつか総合優勝を飾りたい。 その日が来るまでセッティングは続けるが、正直な所、一度プロに乗って貰って基本的なセットを出して貰おうかなどと少し弱気になっている。 その一方で、昔のように峠を猿のように走り回ってセッティングしてみようかとも思っている。
サーキットでは限られた時間の中で試行錯誤しなければ成らず、私のやり方では時間が足りない。 半日ぐらい使ってジックリやらねば私は結果を出せないらしい。
(決勝動画は動画室参照)