理想的な脚が欲しいと書いたのは先月。 それから程なくして脚を新調しようと決意し、もう一度私の要望点を纏めてグローリーさんと協議する事となった。
グローリーさんには先月号に書いた事をもう少し具体的にして伝えてみた。
01.ダンパー全長調整式
02.低圧ガスダンパー(10kgf/f未満)
03.ストローク確保(1G状態からダンパーシャフト有効で30mm以上)
04.減衰力独立調整式(3way)
05.指定バネレート(F:6キロ R:7.5キロ)
06.ヘルパースプリング無し
07.プリロード調整可能(ロックナット付)
08.ダストブーツ装着
09.車高指定(F:90mm R:94mm)
10.無給油タイプピロボールマウント
11.減衰グラフデータ提出
12.オーバーホールや仕様変更には迅速対応
そして最後に「私が購入できる範囲の価格」という条件を付けた。
程なくしてグローリーさんから連絡があり、フォースなら全ての注文をクリアできると言う内容だった。 では会ってみましょうと言う事になり、後日、担当者と協議するとともに現在の状態を確認していただいた。
まずは上記条件の確認から。
...問題なし。
では現状確認。
装着していたクァンタムを外して採寸しているのはフォースの担当者。
計測は全長だけでなく、直巻きバネの自由長、内径、ケース長、バンプラバーの種類とサイズ、ダストブーツのサイズ...と言う感じでメモを取っていた。
フォースはナイトロン社のダンパーを使用しているのだが、英国製のメーカーと言う事でエリーゼの生まれ故郷と言う事もあり、母国ではデータ取りが済んでいるとのこと。
そのデータ取りというのは勿論サーキット走行を前提としたモノで、タイヤの種類別は勿論としてバネレートや車高バランスまでデータが揃っているという。
そこで私の要望するバネレートを提示すると、ラジアルタイヤを履いたエリーゼでのサーキット走行を前提とするとレートが低いと言う。
だが私が出来る範囲でテストした結果ではフロント6キロ、リヤは7.5キロというのが扱いやすい筈だ。 先方の推奨するレートはフロント400
lbs(7.14キロ)+リヤ500 lbs(8.93キロ)。
今回使用するアイバッハのレート表を見ると、私の希望に近いレートが有った。 今まで内径60mmで探していた時は7.5キロというレートが無く断念していたのだが、2.25インチのバネならば細かくレートが分かれていて充実している。
そのような経緯の後、最終的に選んだレートはフロント350
lbs(6.25キロ)+リヤ425 lbs(7.59キロ)と成った。
ここで一つ疑問、なぜフォースさんは前後バネの自由長を合わせないのだろうか? ダンパー的には前後とも6インチで装着可能な筈だし、そのほうが後々のセッティングでもバネの使い回しが出来て便利だと思うのだが?
これは聞き忘れたので次回にでも担当者に聞きたいと思う。
そんなこんなで注文が終わり、納期を確認すると10日間程度で仕上げられるとのこと。 素晴らしい。 ゼロから作って10日間とは。 更に2日前に電話があり、予定通り納品できそうですという連絡までしてくれた。 (これ、とても大事な事)
そして試作品完成。
第一印象は「派手だな」。(笑)
クァンタムは妖艶な紫色のアルマイト加工が大人っぽく色気があって大好きだった。 フォースのケース本体は薄いブルーグレーで品があって好み。 バネはアイバッハということでレッドなのは仕方ないがスプリングシートのゴールドとレッドの組み合わせが私には些か派手に感じた。
重さはクァンタムとほぼ同等。 アルミのケースを使って内部にオイルが充填されていると似たようなモノに成るらしい。
ま、そんな細かい事は私にとってはどうでも良い事。 まずは取り付けて走ってみないと。
ここで第一関門。
別タンク式と言う事で、ダンパーだけヒョイと交換という訳にはいかない。 と言う事は、オーバーホールの度に別タンクも外さねばならないと言う事だ。 だが、タンクをアームに固定したくはない。
オーリンズなどはタンクをアームに固定してあるのが標準らしいが、様々な固形物や液体が飛来してくるアーム付近には取り付けたくない。 アームを見れば一目瞭然なのだが、私のアームは酷く腐食している。 そんな所に精密部品を晒しておくのは真っ平ゴメンだ。
では何処に付ける?
一般的にはロールケージの斜行バーにタイラップ止めらしいが、高温になるエンジンルームに晒すのも思わしくない。
...やはりトランクルームしか無いな。
まずはインナーフェンダーを外して何処を通してトランク内にタンクを入れるか検討。 ホースが思ったより長くないので最短ルートを考えないとトランクにすら届かない。
余りやりたくはないが、トランクのサイドにホールソーで穴を開けるしか無さそうだ。 購入したての頃、トランクリッドが外れてフードが開かなくなった際、トランク内に手を入れるためにサイドに大穴は開けてしまってあるのだが、残念ながら位置が違って利用できない。
私の車両が初期型エリーゼかエクシージならばトランクはアルミの隔壁で出来ており、比較的簡単にトランクにアクセスできるのだが、111S以降はFRP一体式となっているのでトランク内に引き込むためには穴を開けざるを得ないのだ。
まぁインナーフェンダーが有るのでモロに塵芥などがトランクに入る事は少ないと思うが、そうは言っても僅かな透間から入ってくる程なので、今までよりは確実にトランクは汚れるはずである。 これも仕方ないと諦めるしか無さそうだ。
ここで取り敢えず仮装着。
おっと、その前にバネを固定しなければならない。
通常のフォースはスプリングシートは固定しない方法らしいのだが、私は以前のクァンタムで固定リングが有るにも拘わらず緩んでしまってバネが遊んだ事があるので、固定用のリングを作成して貰って装着した。
まずはプリロード調整から。 とは言っても当然の如く、基本はゼロタッチ。 今回も僅かにバネに触れる程度で締め付けておいた。 序でなのでリヤだけでなくフロントのバネも全てゼロタッチで固定。
では仮装着の作業に戻ろう。
...やはりリヤはホースが足りなくてトランク内の意図した位置にタンクを装着できない。 これでは減衰調整の度にタンクを外さないとダメだな。 そうなると簡単にタンクの脱着が出来る方法を考えなくてはならない。
フロント側はどうだ? こちらはパンク修理材の位置が良い所に有って上手い具合に収まってくれた。
これならばワンタッチで脱着が出来てベストだ。 このホルダー、何処かで売っていないだろうか?
りやはこれが限界。 これでは調整部分を触る事が出来ないので、何れにしても脱着式にしなければならない。 仕方ないのでベルクロ(マジックテープ)を使用した。 今回のベルクロは裏面に両面テープが貼ってあるタイプで、♂側のみをタンクに張って内装カーペットに咬み込ませてみた。
このタンク、それなりの重量があるので激しく走ると取れてしまいそうだ。 やはりアタッチメントを作らねばダメだろうな。 フロントもヒューズボックス側にはホルダーが無いので取り敢えずはベルクロ留めとしたが、やはりアタッチメントが欲しい。
と、ここで時間切れ。 まぁ何とか装着は出来たので良しとするか...と思った時、フォースの担当者さんが「今日はミハエル・クルムが出社していますので試乗させて下さい」と言ってきた。
なぬ? あのミハエル・クルム氏が私の車に乗ってインプレしてくれるのか?
今まで私の車を他人に貸した事は殆ど無い。 一番最初は師匠、そしてロドスタ乗り時代の崇拝してた人、あとは数人の友人だけ。 何れも信頼できるウデを持った人だけ。
数秒考えたが、プロが乗った意見を是非聞きたい。
ということでキーを渡して私の車はグローリーさんから去っていった。
待つ事1時間弱。 フォースさんの事務所はグローリーさんと同じ区内。 ということは30分ほどは乗ってくれたのか?
クルム氏の意見はこうだ。
「ロールアンダーが出ている」
「前後ともバネレートを1キロ上げると良い」
「減衰は前後とももう少し締めると良い」
ロールアンダーか。 これは私も解ってはいるのだが、あまり硬いバネにしてしまうと荷重移動が適切に出来ていないとトラクションが掛からないから嫌なのだ。 特にリヤはコーナーのクリップ辺りでブレーキからアクセルに足を載せた時にテールがスッと沈んで欲しい。
そんな事も有って今までは7キロのバネを使っていたのだが、これはリヤダンパーの縮み側減衰が硬くて僅かなアクセルコントロールではトラクションが掛からなかった事が元々の原因。
それを誤魔化すためにレートを落としたのだが、今回のダンパーでは縮み側はハイスピードとロースピード各々の減衰調整が出来るので、上手く調整すればレートの高いバネでも制御できるかも知れない。
具体的なレートを問うと、このように応えてくれた。
現状 F:350lbs(6.25キロ) R:425lbs(7.59キロ)
提案 F:400lbs(7.14キロ) R:475lbs(8.48キロ)
ここでグラグラと私の心は揺れ動き、担当者さんに「そのバネ用意して下さい」とお願いする事となった。(笑) だが残念な事に475のバネが国内に在庫が無く、海外から取り寄せないと成らないという。
実は私の注文した425のバネも国内に在庫が無く、海外から航空便で取り寄せたとのこと。素晴らしい。 でも、今回は船便にして欲しいと言われた。(笑)
まぁジックリとセッティングする予定ではあるから構わない。 届くまでに今の仕様を味わっておけばいい事だ。 それよりなによりアイバッハのバネは25lbs刻みなのでキロのレートで言うと0.5刻みでラインナップされているのが素晴らしい。
さすがフォーミュラ用。 これならベストなレートが見つかるはずだ。
と、某所に書き込みをしたら、ハイパコも特注対応でレート設定してくれるはずと言う意見を戴いた。 そうか、ハイパコは特注対応可能なのか。 ちょっと興味があったのは事実。 ハイパコはID60だが、フォースはバネの内径が60ミリでも対応できるのがよいところ。
でも今回の私はアイバッハで行く。
さてと、クルム氏から駄目出しされたところで帰宅しよう。 脚を変えて初めて乗る私のエリーゼ。 どんな事を最初に感じるだろうか?
そうそう、その前に備忘録。 脚を交換している間に、序でだからとトーリンクの緩みをチェックしたのだが、なんと左側が緩んでいた。 前回チェックしたのはイツだったか忘れたが、以前緩んだのも左側だったような...そろそろハブベアリングが逝く前兆か?
話を元に戻そう。
ショップを後にして私は都筑インターから第三京浜に上がった。 ここのランプは筑波で言うと80R程度。 3速全開で行けるとは思うが此処は公道。 3速のハーフスロットルでクリア。
ロール角僅かで曲がってくれた。
あとは残念ながら一般道を普通に走っただけなのでインプレらしい事は無し。 ただ、乗り心地は硬い。 というか跳ねる。 内圧が少し高いフォースのダンパーではあるが、縮み側の減衰調整をする事によって乗り心地は改善するとは思うが、これでは街中では辛い。
あまり時間がないので次回の111cupまでにはツルシのままで出る事となるが、色々と調整することで私の意図した走りが出来れば最高だ。 そして私の想定したバネレートとクルム氏の推奨バネレートとの比較も楽しみだ。
ということで筑波1000で試走。
が、後述する大トラブルの発生により数周しか走行出来なかった。 だが、その数周で特性というか問題点だけは朧気ながらも見えてきた。
縮み側が圧倒的に硬い。
荷重移動で車体が沈まないのだ。
具体的に書くと入口ではアンダーステア、そして荷重を掛けたままステアリングを入れて横Gが掛かるとオーバーステア。 縮み側の減衰を最弱にしてもブレーキングでノーズダイブは僅か。
コーナー出口ではアクセル入れてもテールが沈まないのでトラクションが掛かりにくい。
ネオバでのベストタイムは目標から遙かに遠いトホホな41秒。 とは言ってもトラブルで数周しか出来なかったが。
このような経緯を担当者に話し、早速対策を講じて貰う事となった。
私はガス圧が高くてダンパーが突っ張っているのではないかと問うたが、10キロのガス圧でもしなやかな特性を作り出す事は可能という。
ガス圧を下げる事は出来るのかと聞くと、技術的に出来ない事はないがキャビテーションが起きて性能を維持するのが難しくなると言う。
性能が維持できなくては困る。 解りやすく言うと頻繁にオーバーホールが必要なダンパーでは堪らない。 ということでガス圧はメーカー推奨値を維持する事とした。
とにかく強く要望したいのは縮み側の減衰。
ブレーキングでバネを押しつぶし、タイヤを路面に押しつける事が出来なければ意図した動きが出来ない。 だが、押しつぶしたバネはアクセルオフでヒョコッと伸びて貰っては困るのだが、今回はバネが縮んでくれなかったので伸び側の減衰が適切かどうかの判断は出来ていない。
出来ればサーキットでは必要十分な減衰力を発揮しつつも、街乗りでは調整ダイヤルを回す事によってコンフォートな乗り心地を生み出してくれれば最高だ。
さて、先方の技術者は私の注文に対し、どのような提示をしてくるのだろうか。 非常に楽しみである。 そう、こういう行為を楽しむというのが正しい方法のはず。 満足できる脚が出来ていく過程を楽しんでいこうと思っている。
今度は大騒ぎしたトラブルの顛末を報告したいと思う。 まずはバックミラーに注意しつつ、車載動画を見て頂きたい。
1コーナーにアプローチした瞬間にテールスライド。 オーバースピードによるテールスライドではない。 何が起きたのかとカウンターを当てながらバックミラーを見る。 ..白煙を上げて居るではないか。
ここで起こっている事態を理解。
咄嗟にイグニッションをオフとし、車はコースから待避させて芝生エリアに。 4点シートベルトのクイックリリースを捻ると共に車から降りてエンジンフードを開けた。 よく聞くと私の激しい息づかいが録音されている。 それほど気持ちが高揚していた。
もし火災が起きているなら消火しなければならない。
フードを開けてみると、どうやら白煙の原因は水蒸気のよう。 オイルではない。 場所的にはエキマニ辺りから盛大に出ている。 ガスケットが抜けたか?
視線を移し、メインポストを確認。
まだ赤旗は出ていない。
私自身はコースの外へ待避しなければならない。 少し歩いて振り返ると消火隊がやってくるのが見えた。 コースは赤旗中断となっている。 そこで私はクルリと歩く方向を変え、車に向かって戻った。
オフィシャル達がエンジンフードを開ける。 もう白煙は僅かだ。
徐にオフィシャルが言った。 「オーバーヒートですね」と。
だが私は、ガスケット抜けではないでしょうかね...と返した。
トラブルの直前はメーターを見ていないが、水温は正常範囲だった筈。 一気にクーラントが抜けたのであれば、瞬間的に水温上昇も十分有り得るが、待避する瞬間に油圧と油温はチェックしたが正常値だった事を明確に記憶している。
牽引車に引かれてパドックに戻るが、周囲の視線が痛い。(走行時間を短くしてしまって申し訳ありませんでした この場を借りて謝罪致します)
車から流れ出るクーラントが悲しい。
だが落ち込んでいても事は進まない。 気を取り直して主治医のグローリーさんに電話し、積車で筑波まで来て頂くように依頼。
すると今日は道が空いていたようで2時間ほどして積車と共に社長さん到着。 ここで奥多摩で何度かお会いした事のあるFD3Sな方々に手伝って貰って搭載完了。(ありがとうございました)
そして私とエリーゼを乗せて車は横浜の工場へ。
到着するや否や、取り敢えず水を入れてみましょうと社長さん。
(私はエンジンオイルを抜いて見たい)
まずは水を入れてみた。 するとエンジンから出されるクーラントホースから水が噴出。 もしかしてホースの断裂だけ?
赤い矢印の位置から元気よく水が出ている。
ご覧の通り、この箇所はエキマニの熱が直撃している。 ノーマルでは遮熱板が有って多少なりとも保護されているのだが、以前に炎上した際に遮熱板は炎と消火器の粉で再使用することは出来なくなり、取り外したままだった。
外したホースを見てみるとパックリと断裂しており、更に手で裂け目を引っ張ってみると簡単に裂け目が拡大した。 完全に熱でやられており脆弱になっている。
油断は禁物。 ここでエンジンオイルを排出。 オイルに水が混じっていればエンジンご臨終だ。
結果は良好、大丈夫らしい。
では残るはヘッドの歪み。 クーラント抜けて走ってしまったらアウト。 まずは断裂したホースを修理し、クーラント充填。 新しいエンジンオイルを入れてフィルターを交換。
エンジン始動。
少しガラガラ言ってるか? が、社長曰く「大丈夫だよ」
私は心臓バクバク。 神様、お助け下さい。
随分昔の話になる。
若気の至りで購入してしまったポルシェ911のSCS78年式。 正に世の中はバブル絶好調の時、景気は絶好調で仕事も順調。 (今にして思えば、随分と無責任な仕事をしていたと思うが)
好景気に気が大きくなり、ポルシェでも乗ってみるかと決心したのだが、その時点でポルシェの知識は殆ど皆無。 現代に於ける自分ならばネットを駆使して知識を蓄え、どのような事に注意して車を選べばよいか、そしてどんなショップが存在しているのかを調べるだろう。
購入したポルシェは、当時信用していた人の紹介で購入したのだが、ここから悲劇は始まった。
400万ほど支払って購入したものの、車は絶不調。 今になって振り返ると悔しくて腹が立って情けなくなるが、とにかく不具合だらけなのに購入先の人は一切責任取らない。 そういう人に限って口は達者。
まぁ騙される私が愚かだったのだが、折角購入したからと更に紹介されたショップで修理を依頼したら驚愕の価格提示。 しかも戻ってきた車は全く直っていない。 挙げ句の果てに高速道路を少し飛ばしただけでオーバーヒートで更に修理。
結局、年収全てを注ぎ込んで修理したのに一度も完調な走りは無し。 最後は二束三文で売却し、もう二度と外車の中古は購入しないと心に決めた。
その時代はユーノスロードスターやGT-Rという愉しいクルマが次々に送り出された時期。 しかし、まだ車のこともショップとの付き合い方も解っていない私はGT-Rで再び同じような轍を踏んでしまう。
ショップを信頼していると裏切られ、ショップも金にならないと見ると掌を返したように態度を変える。 そして勿論、責任など取らずに次の手を薦めて更に金を取ろうとする。
世の中にある車のショップとはこんな人ばかりなのかと唖然とした。
頭の中に描いた楽しい車との生活を想像し、ショップに依頼して出来上がった車は気を遣うだけの愉しくないクルマ。 多少は速いかも知れないが、意図していたものとは全く違う出来映えにガッカリ。
ショップに嫌われないようにと、不満があっても口に出来ない雰囲気。 そしてまた悪循環。
そのような事からショップに出すのが嫌になり、自分の手でやろうと決めた。 だが知識など殆ど無し。 このまま初めても挫折するのはあきらか。
そんな折りにある人と知り合い、その人にメカ的な事を色々と教えて貰った。 元々興味がある事なので教えられたことは吸収。 色々と物事を考えるようにもなった。 そして仕組みも少し解るようになって初めて車弄りが趣味と言えるようになった。
全ては自己責任。
勿論、一流のショップが正しく仕上げた車には敵わないが、自分の手で作った車なので悔いはない。 上手く行かなければもう一度やり直せば良い。 そして更に考えるようになった。
そんな車との付き合い方をしていくと車雑誌を信用しなくなった。 雑誌に踊らされていた事にも気付き、単に新しい記事にだけ目を通すことにした。 雑誌やマスコミはあくまで参考程度。
そうこうしていくウチに、エンジンチューニングには興味が薄れていった。 いつでもドコでもキーを捻ればエンジンが始動し、同じエンジンで車のセッティングだけで綺麗に速く走る事が楽しくなってきた。
チューニングのレベルが高ければ高いほどエンジンの寿命は短い。 エンジンをチマチマと作るのも嫌いではないが、私は走っている方が好きだと悟った。
ここでロードスターからエリーゼに乗り換えた。
インテークポートのスロート形状や、ハイリフトカムの組み込み。 ベースサークルを調整してカム山の逃げ加工。 そんな言葉が大好きだった時期も有ったが、ノーマルをベストな状態で唄わせてやる事で十分に楽しい。
車との対話を始めたのはこの頃。
荷重をどのようにタイヤに伝えるか、荷重をどのように移動させるか...など難しい課題が沢山あることを師匠から教えて貰った。
4つのタイヤに掛かっている荷重をどうすればベストになるか。 そんな事を言われても最初は何を言っているかさえ解らなかった。
貴兄は車との対話を楽しんでいるだろうか?
ステアリングから伝わるフロントタイヤのグリップ感、腰に響くリヤタイヤの撓み。 ブレーキングで伝わるタイヤの潰れ具合。 そんな事にを気にしながら車と付き合う方法も有るのだ。
車との接し方は様々。 それこそ千差万別だ。