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2006.08




今回の111cupは梅雨時の開催だったが、心配された天気は何とか持ってくれた

photo:なりと氏


 
シフトリンケージブッシュ交換続編

先月号で紹介したシフトリンケージケーブルのブッシュ交換だが、キチンと説明しろとお叱りを受けたので交換方法と所感を書くことにする。 樹脂ブッシュならではの小技が必要だったので、そのあたりは貴兄の参考になるかも知れない。

今回取り付けた樹脂ブッシュは精度が高く、取り外した純正ゴムブッシュの位置に取り付けるにはプライヤーなどを用い、若干圧入するようにして装着する必要がある。 また、リンケージのシャフトに対してもクリアランスはゼロなので、シャフトの位置出しが調整されていればリンケージやケーブルに負荷が掛からずに動作させることが可能だが、そういった細かい調整に1時間以上の手間暇を惜しむのであれば金属製のブッシュを取説通り取付ける方が気楽かも知れない。

さらに今回感じたのは元々の純正ケーブル位置調整がアバウトだと言う事。 ブッシュだけでなくピロボールとターンバックルが付いていれば、位置調整が細かく設定できると思うのでフィーリングはもっと向上するのでは、と思う。 だが、今の私にそこまで拘ってモディファイする気力はない。 今後不具合が起きたら考えよう。 そのあたりを純正のゴムブッシュは補ってくれていたのだ。

さて、前置きが長くなった。 では取り付け方法と注意点を書く。

これは純正ブッシュの取り外し前。 グリスアップしておいたので埃にまみれて見にくいと思うが、亀裂が沢山入っている。

取り外しは力業。 大きめのマイナスドライバーか、内装矧がしが有れば作業しやすいだろう。 面圧を大きくするためにコインドライバーなども有効かも知れない。 だが力業というほどの力は必要ない、少しコジッてやればヌルッと外れる。

外したブッシュはグサグサだった。 素早く、それも力が入ったシフトをすればするほどシフトが綺麗に入らない原因はこれだ。 ブッシュがつぶれていては正確な動作は出来ない。

まずはジュラコンブッシュをグリス漬けにする。 グリスは芋虫グリスなどで良いようだ。 気になる人は耐熱グリスならば完璧だろう。 また、金属ブッシュを利用するなら囓り防止の高価な耐熱グリスが必要かもしれない。

左側はまだ外していないノーマルブッシュ。 こちらのブッシュにも貫通したクラックが入っている。 このリンクは前後に動くので、作動時にはシャフトがブッシュに食い込んでいたのだろう。 熱に晒される箇所なので他の場所に比べてブッシュの劣化が早いのかもしれない。

それはさておき、右のジュラコン圧入。 私は素手ですんなり挿入できると思いこんでいたが、僅かなクリアランスも無く圧入する仕様のようだ。

そしてシャフトとのクリアランスもゼロ。 このリモコンケーブルの先端には自由度が少なく、リンケージのシャフトと綺麗に直交しないと素直に装着できない。 私の個体は多少コジリながら装着することとなったが、ここも圧入するような感じでプライヤーを使用せざるを得なかった。

スムーズに動いて欲しい場所にあって、圧入するようではシフトの動きが渋くなるのは当然のこと。 ただでさえサードからセカンドのシフトは好きではないのに、横方向の動きが渋くなってしまっては更にシフトミスしてしまう。

ここで車体の下から這いずり出て、フルバケに座ってシフトの感触チェック。 やはり思わしくない。

ニュートラル状態からレバーを左右に振ると動きが重たい。 今まででも軽くなかったのに更にフリクションロスが増えてしまった。

仕方ない、外して加工だ。

せっかく圧入したブッシュだが、リンケージから外してブッシュのみをシャフトに挿入。 だが素手ではスムーズに入らなかったので、シャフトを耐水ペーパーの#600で研磨。 次にピカールで鏡面加工。 すべすべして気持ちよい。

シャフトはこれで良いだろう。(まだ、この時点ではケーブルとシャフトの直交状態には着目していない)

次にブッシュの内穴研磨。 適当な棒ヤスリが無いので、ドリルの歯に耐水ペーパーを巻き付けてブッシュの穴に通してスイッチオン。 ブッシュが摩擦熱で熱くなるのは想定していたので作業グローブを付けて作業したのだが、それでも熱くなった。 だが、さすがにジュラコン、結構堅いし軽く擦った程度ではビクともしない。

様子を見ながら現物合わせ。 シャフトに何度かあてがいながら、スムーズに動作するサイズまで内穴を拡大。 これで良いだろうとケーブル先端に圧入して装着を試みる。 だが、素直に付かないでは無いか。

暫し車の下でパーツを観察。

ぼーっと見ること数分。 シャフトの位置がケーブルと直交していないことに気が付く。 そうか、これに無理が有るのか。 ということで 無理な姿勢で僅かな透間に潜っての作業は辛いが、ウォーターポンププライヤーで今度こそ力業。 リンケージを若干修正した。

少し入りやすくなったが、まだスコッと入るわけではない。 ケーブルに圧入することで内穴が縮まるのだろうか? 再びドリルで内穴拡大することにしたが、ガバガバになってしまっては悲しいのでチマチマと地道な作業が続く。

最終的に若干圧入する感触が残ったままの状態で装着することにした。 あとは使い込んで行くことで馴染んでくれることを期待して。

何度もプライヤーでケーブルを銜えたので先端部分が傷だらけ。 まぁ、こんな事も経験の一つ。 だが、裏を返せば現物合わせの出来るジュラコンの方が拘る人には向いているかもしれない。

拘る人はジュラコンで自分好みのクリアランスにすればよいし、簡単装着するなら金属ブッシュと言う事か。

 

さて、テストドライブ。 うむ、カチッとしている。 だが優しい感触が無くなった分、的確なシフトが要求されるというか、いままでゴムブッシュが助けてくれていた荒いシフトを受け付けてくれないような雰囲気はあるようだ。

後日サーキットで使用してみると、これは杞憂に終わってバッチリ。 全く問題なし。 もっと早く交換すれば良かった。 ゴムブッシュの方が感触が優しくて私は好きなのだが、売ってない物は仕方ない。 劣化したら早めに交換しないとミッションと懐を痛めてしまうので、手荒く扱った車両のブッシュは要チェック。

そうそう、アンダーパネルはリヤ外しのみで作業できるので追記しておく。 エリーゼの作業難点であるパネル外し、チョットでも少ない方が助かるのは皆さんも同じ意見だろう。

 

111cup第3戦

何とも情けないことに決勝のスタートでフライングしてしまった。 ということでレース開始前に私はペナルティ。 ホームストレートでペナルティの黒旗が振られ、ピットレーンに呼ばれるかと思っていたが何周経っても旗が出ない。 もしや見落としか? いや、これだけ注視してる中、それだけは有り得ない。

旗が出ないままレース中盤、競技委員決議が遅れているのか、それとももっと重いペナルティが課されるのか...などと考えていたら、私の車両が最終コーナーに差し掛かっても後続車の姿が見えない。 これはもしや以前課された15秒ルール適用か? 111cupのルールにより、同じクラス同士の車両が決勝レースに於けるトータルタイムで15秒以上の差が生じた場合は、次戦の決勝タイムに15秒加算されるというものだ。

今回のレースだけでなく、次回のレースにまでペナルティを課されては堪らない。 ということから決勝レースの後半は何とも歯痒いペースダウン。

 

と、決勝のあらすじを書いたところで話は当日の朝。

梅雨真っ直中の7/9、当日多摩地方の天候は雨。 パドックでウエットセッティングするには濡れた路面に横たわらなければ成らないが、それは避けたいので自宅からウレタンマットを持ち出し、雨が降る路面に敷いて減衰力を変更。

シトシトと雨が降る午前4時15分。 自宅を出発。

外環道に乗り西に進む。 空が明るくなってきた。 これは夜明けと言うだけではない。 雨もやんだ。 バックミラーに映る空は相変わらず暗いが、私が目指す方向は明るいし路面に雨が降った形跡もない。

何とかこのまま天気が持って欲しいと祈りながら筑波へ向かう。 いつも早朝なら1時間強で到着するのだが、時間帯が良かったのか道はガラガラ。 コンビニにも寄らずに一目散に目指したら1時間を切ってしまった。

が、到着すると既にエントラントが2名。 このまま天気が持つと良いね、とか、雨のセッティングなどの話をしていると続々と出場車両が到着。 あっという間に長蛇の列になった。

今回も古い車たちと一緒に1日を楽しむのだが、古い車は渋い色が多い。 そのため私らのエリアは華々しく感じる。 でも、デザインの良さは彼らの車の方が上かなとも思う。 以前にもオースチンを紹介したが個性的なのだ。 暖かみも感じられる。 これはもしかしたら幼少の頃、絵本などで見たスポーツカーというものと一致しているからなのかも知れない。

さて、この日のスケジュールは予選も決勝も私らのグループがトップ。 8時過ぎには予選開始となるのだが、サーキットは今にも降り出しそうな空模様と昨夜降ったと思われる雨で部分的に濡れている。 そんな路面を眺めながらタイヤの空気圧で悩む。

まぁ、これは毎回の事なのだが、何気なく相手の状況を盗み見してる人もいれば、あっけらかんと「エア圧、幾つにする」と聞いてくる人もいる。 路面状況と天候からいつもより少し高めだろうと腹を括り、エアをセットした。(これが失敗だった)

 

予選

予定時刻が迫った。 良い走行イメージだけ心に描いてピットレーンに並ぶ。 Pラップの電源を確認し、ビデオの電源をON。 締め上げたウィランズのハーネスを再度引っ張ってみる。 カッコつけてるわけではない、緊張しているので何かしていないと気が済まないのだ。

先日交換したシフトリンケージのブッシュも少し気がかりなので、スムーズに入るか無意味な動作を繰り返しているとシグナルがグリーン。

前にいる25号車はE3クラス。 ガンガン走ってクリアラップを有効に使うかと思ったら、1コーナー過ぎたところでラインを空けた。

私に前を走れと?

ここで思いっきり走り始めるとコースイン最後列の車両に追いついてしまうので、若干ペースを押さえつつバックストレッチまでは適当に流す。 タイヤのグリップと路面状況の確認をするため、最終コーナーはほぼ全開で走行。

既に適切なグリップが出ている。 少しエア圧が高かったか。 これではタイヤの美味しいところは正味4周だろう。 それまでにベストラップを叩き出さねばならない。

幸いにしてクリアラップは確保できているが、最近リヤのトラクションが思ったとおりに掛からない。 右コーナーでは少し進入速度を上げると途端にリバースしてしまうし、出口ではアンダーが強い。

これでは突っ込みで頑張る事が出来ないので早めに加速に移れる走り方をし、テールを沈める必要がある。 だが、私の好みのセッティングは奥までブレーキを残して旋回する方法。 だからそのセッティングで早めにブレーキをリリースすると、フロントから荷重が抜けてアンダーになる。

これは強めのキャンバーも有りそうだ。 有る程度コーナリングGが掛かってロールすることを前提にしてあるので、進入で強めのロールがないとタイヤの外側が接地しない。

セッティングを見直す時期に来ているのか? いや、リヤダンパーの左右の動きが違う気がするし、締め込むノッチ数も5秒フラットが出せた頃とは数段違っている。 やはりダンパーが抜けてしまったらしい。

そんな訳で、今日の目標タイムは5秒5。 今日の天候は7月にしては涼しい26度、ベストのコンマ5秒落ちが出れば大満足だ。

1周目は6秒1。 最終コーナー出口のアンダーが強い。 少しオーバーステアの現象が出るので若干アンダー目に振ったのが失敗か? いや、もっとインに早めについてクリップ手前から全開で駆け抜ければアンダーでもタイムは出るはず。

問題は今の状態での理想的な走り方を出来るかどうか。 いつもの走り方が身に染みついているが、ここで違う抽斗を作らないと。

2周目は5秒7。 1コーナーでトラクションが逃げてしまった。 おそらくコンマ数秒のタイムロス。 1ヘアピンでも同様のミス。 ステアリングの角度が一定になっていないのがミスしたことを伝えている。 ここで焦ると駄目なのだが...

ここでステアリングを修正したことで更にタイヤのエア圧が更に上昇したらしい。 最終コーナーではフィーリングが更に悪化していた。

3周目は5秒9。 先程失敗した1コーナーを更に失敗。 学習能力がないというか解ってないというか、なんとも情けないがラップタイムはミスを数値で叩きつけてくれる。 一度崩れ始めたドライビングはその後も修正できず、早々にアタックを終了させようと思った。 だが、背後から340Rの63番が来た。 彼に引っ張って貰えるかと淡い期待をしつつ追走。

すると今度は前方に48番が現れた。 頂上決戦の始まりか? 後ろから1周に渡って拝見させて頂いたが、二人とも本当に上手い。 それとセッティングの上手さ。 二人のドライビングは少し違うのだが、その個性と特性を生かしたセッティングを施してあるのだろう。 えっ?と思うシーンもあったが、両者ともアクセル踏んでいける車両を作っているようだ。

今年のE1クラスは48番が独走かと思ったが、63番の車両変更で俄然面白くなった。 出来れば少しでも私も彼らの戦いについていきたい!..のだが。

結局、私は2周目の5秒7がベストタイム。 2周目で美味しいところが終わってしまうセットアップでは駄目と思っても後の祭り。 それにやはりダンパーが変だ。 前にもレースでダンパーが終わっていることに気が付いた時が有ったが、今回もどうやらリヤダンパーのどちらかに不具合が生じているようだ。

予選動画はこちら。

 

 

決勝

先程私の目の前で素晴らしい走りを見せてくれた2台がフロントロー。 そして右前にはゼッケン1を付けたスポーツ190が居るのだが、今日の彼はエキマニが割れてしまってパワーがイマイチらしい。 だが、イマイチな車両でも総合3位に居るところが素晴らしい。

レースクイーンが1分前表示を出した。 エンジンの掛かりが少し悪くて焦ったが、グリーンフラッグでフォーメーションラップ開始。 しっかりと前後のタイヤを暖めて臨戦態勢OK。

再び自分のグリッドに着き、ギアを1速に入れてエンジン回転を上げた。 ところがこのとき、クラッチの踏込がほんの僅かに甘かったようでジリジリと車が動いてしまった。 慌ててブレーキを踏んだが万事休す。

フライングだ。

まもなくレッドシグナル点灯・消灯。 だが、そんな時に限って本当のスタートは悪くなかったりする。 とりあえずレースに専念しようと1コーナーの進入までに開き直る。 メインポストから次の周には黒旗が出されてピットスルーか何らかのペナルティが課されると思うが、楽しめる時に走っておかないと。

私の願いは「楽しく走る」こと。 沢山の人達とサーキットで真剣な走りを出来ることが嬉しいし、楽しいのだ。 車種は関係ない。 大排気量の車でもハイテク車両でも、ビンテージでも良いのだ。 車によって楽しみ方も色々だろう。 真剣に楽しんだ結果がタイムに現れれば更に嬉しいし、皆さんと走ることで走りのスキルがアップすれば最高だと思っている。

レースは48号車 63号車 1号車という順当な状態で周回が始まった。 私の背後にはエンジンの調子がイマイチという6号車。 やや遅れて33号車。 それ以降はミラーで確認する余裕がなくて解らない。

やはり前を走る1号車は美しくない排気音を轟かせている。 いつもならヨシムラのチタン特有な甲高い音を響かせているのだが、今日は野太い音だ。

イツモより加速が鋭くないようだが、スキがあれば容赦なく刺させて戴く。 と思った第二ヘアピンで彼のタイヤがロック、だが刺せる程のスキではなかった。 そしてそのストレートエンドで車の腹下から火花がキラリ。 更にエキマニが破損したか?

エキマニがどんな折れ方をしたか解らないが、中速トルクが薄いようだ。 そんな最終コーナーで外に孕む1号車を見ながら、いつもより一段と大事なメインポストを見る。

黒旗は出て無い。

ということはペナルティ無しか?...いや、厳しく(ペナルティを)取ると言ってたから、何もお咎め無しと言うのは有り得ない。 イカン、こういう思考が判断と操縦を鈍らせるのだ。 目一杯行こう。

1コーナー、1号車はココでも外に孕んだ。 すかさずインに切り込む。 1号車は途中からグリップが戻ったのか、インに切り込んできた。 私の加速のほうが鋭いかと期待してアクセル全開だったので急接近。 危機一髪、慌ててブレーキング。

背後の6号車さんゴメンナサイ。 ヒヤッとした筈。 冷静なつもりでいたが、私の判断が甘かった。 若しくは攻め方が拙かったか?

あまり言い訳するのは見苦しいが、やはり右コーナーの挙動がおかしい。 実は少し前から街乗りで段差を通過する際、左の後ろからクシュンクシュンとダンパーがよく動く音が聞こえていたのだが、レース後にショップに持ち込み、ダンパーを手で縮めてみると明らかに左右の縮み方に差が生じていた。 この事は雑記に書くので興味が有れば目を通して戴きたい。

決勝動画を見て戴くと解るかも知れないが、とにかく車が言う事を聞いてくれない。 更に、それを何とかしようとしてジタバタ足掻いているので舵角が安定しない。 見苦しい映像だがご容赦を。 だが、ダンパーが少し抜けただけで、ここまでアンダーやオーバーが現れるということが解ったのを収穫としよう。

結果的には左後ろの縮み側が抜けていたのが解っているので、そういう目で見ると挙動が理解しやすいかも知れない。 右コーナーの入り口でオーバーが出やすいため、なるべく直線的にブレーキングをし向きが変わる前からアクセルを入れている。 だが、アクセルを入れることによってフロントの荷重が抜けて後ろに移るため、今度はアンダーステアに成る。

そんな我慢の走りをしていたが、背後にいる6号車に私の弱点を完全に読まれたようで、最終コーナー入り口で連続してプレッシャーを与えてくる。 まるで「いつでも刺せるぞ」と車に書いてあるようだ。 もし後ろ向きにビデオカメラが設置されていたら、彼の余裕が解るはずだ。

悔しいがスキを突かれたら潔く引くしかない。

ここで見た目は総合5位に後退。 が、後続車が全く見えない。 もしかしたら15秒以上の差がついてしまったかも知れない。 111カップ独自のルールにより、同じクラスの1位と2位のトータルタイム差が15秒以上有ると次回の決勝タイムに15秒加算される事になっているのだが、それを適用されると非常に苦しい事になる。

ということから後半は若干手を抜いて走ったが、映像的にはお見せしたくないのでカットさせていただいた。 

決勝映像はこちら。

 

 

雑記

ハブベアリング

嬉しくない定番である交換部品のハブベアリングだが、交換時期の目安となるのがベアリング廻りの汚れ方。

常に綺麗に掃除している貴兄だと判断が付きにくいのだが、私のようなズボラなメンテ車両だとハブキャリア(アップライト)にベアリングから漏れだしたグリスがベットリ出て、そのグリスにダストがへばりついてジトッとした汚れになっている。

あくまで経験則だがコノ汚れ、何となく薄汚れているなという程度では交換時期には至って居ないようだ。 それが見た目に埃まみれになっていると要注意。 念のためにローターを外してハブを素手で回すことをお勧めする。

この時点で「ゴロゴロ」感覚があればご愁傷様。 ベアリングは既に表面が剥離して下地が出ているはず。 スルスルっと回るのであればまだ大丈夫。 回り方が堅い場合は新品同様かゴロゴロする寸前。 暫くしたら再チェックだ。

ハブベアリング交換経歴を3回ほど持つ車両の場合、次に注意するのはボールジョイントとブッシュ。 ボールジョイントもハブベアリングと同様、封入しているグリスが流れ出すので周囲の埃が油っぽいなら交換時期かも知れない。

今回のようにハブベアリングを交換する際にはポールジョイントのガタも必ずチェックし、ガタが有れば躊躇せずに交換すべき。 だが、このジョイントは外すのが一苦労。 特殊工具を使っても作業には多少時間が掛かるので、それなりの心構えで交換すべき。

そうそう、以前書いたがステアリングラックも結構ガタが出やすい。 今回のようにジョイント部分を総点検する際は序でなので停止状態でタイヤを左右に動かしてみて戴きたい。 この時ステアリングが回る前にラグがあったりコクッと来たら残念ながらガタ有り。

酷くなるとトーが変化するので微舵をあてた時のフィーリングが良くないし、直進安定性が悪くなる。 アライメント調整したのにステアリングセンターが出ない車両は大抵これが原因。 すぐに実害が出るわけではないし、パーツだけで15万もしたと思うので中々思い切れないとは思うが、コーナリング中に勝手に蛇角が変化するのは気持ち悪い。 それに万が一、ステアリングラックが走行中に破損したら恐ろしい事になる。

これは交換前のハブ回り。 今回はフロント右だけ交換する。 余裕が有れば全輪交換した方が良いのだが、結構高価な作業なので私はいつも摩耗したベアリングだけ交換してもらっている。 大抵の作業は自分で行うプライベーター(ウィークエンドメカニック)を自負しているが、油圧プレスは持ち合わせていないし、取り外してしまうと車庫に戻せないので作業は今回もグローリーさんにお任せ。

外す前は一見綺麗に見えたハブキャリアだが、見事にグリスが流出している。

特に裏側辺りの汚れが酷い。 これを見逃さないように。

センターボルトを外すとご覧の通り、汚れの原因はコレ。 グリスが流れ出てしまっている。 これで潤滑能力が落ち、焼き付いてしまうらしい。 このベアリング、国産のハブのような形状だと随分コストを抑えられると思うし、寿命も長いと思うのだが。

チェック方法の一つとして、ローターを外した状態でハブを手で回した時に違和感なければ交換時期は未だ来ていないのだが、グリスの流出具合によっても交換時期が迫っているかが予測できると言う事も覚えておいて損はないと思う。

それともうひとつ。 この部品もアタリが出るまではサーキット走行などの激しい走行は控えた方が良いと思う。 長持ちさせるには一般道で馴染みをとり、その後にサーキットへ持ち込むべきだろう。 ローターにジャダーが出るのと同じく、新品状態で過酷な条件に晒すのは変なアタリがついてしまう可能性があるので得策ではないと考えるからだ。 だから私もレース後に交換したと言うわけだ。

 

 

雷雨

7月の連休初日、東京の武蔵野地方は激しい雷雨に見舞われた。 その日の私は上記ハブベアリングの交換のため、横浜のショップに朝一から車を持ち込んでいたのだが、天気予報を信じて屋根無しのオープン。 それも幌さえ積まずに出かけたのだった。

なんだかんだで作業が終わってショップを出たのは昼前。 1時間チョットあれば帰宅できると踏んでいたが、連休初日で都内の環八はトンデモナイ大渋滞。 東名高速の用賀インターあたりで渋滞にウンザリしていりると空は曇り始めた。 強い日差しが無くなって助かったと思ったが、空の色は相当ヤバイ色に見る見る変化していく。

これは絶対に雷雨のパターン。

かといって幌も持っていないし、屋根付きファミレスも近くにない。 有るのは私の車両が乗り越えられないような段差付きの駐車場。

少しでも帰路を急ぐため環八から横道に逸れたが、時既に遅し。 フロントウィンドウにポツリと大きな水滴が1つ。 大体にして大きな水滴が降ってきた時は尋常ではない雨量の前兆。

何とか23区から武蔵野地域に入った頃には空は更に真っ暗になり大粒の雨、街灯も暗さで点灯している...と思った瞬間に空に閃光。 ウワッ、と思うまもなくドシャーンと轟音。 すぐに一粒が5ミリは有るんじゃないかという雨粒になり、それが凄い勢いで襲ってきた。

為す術無し。

おそらく時間にして30分。 帽子を被っているので辛うじて肉眼での視界は効くが、車内は既に水溜まりでバスタブのよう。 持っていた荷物を少しでも濡れないようにと窓下の前部に移動させたが、瞬く間に車内の水深は30ミリ。 おそらく時間あたり60ミリ以上の降雨量だろう。

私の車は雨漏りした水を抜くためにフロアに水抜き穴を開けているのだが、降っている雨が尋常な量ではないので水嵩は更に上昇。 と、目の前30メートルほどのビルに落雷。 つんざくような炸裂音に身の危険を感じた。

一般的な乗用車は落雷を受けても窓が閉まっていれば安全なのだが、屋根無しの車では助からない。 と思ったら、今度は背後に落雷。 全身に鳥肌が立った。 回りの車から私に向けて痛い視線が突き刺さっているが、それどころではない。 落雷の恐怖が上回る。

やがてラジエターに直撃している雨でフロントフードからは湯気が上がりはじめ、それがフロントウィンドウを曇らせた。 何故かワイパーで払拭できない。 まるでオーバーヒートした車両のように派手な湯気。 これも周囲から視線を集める一因だ。 車内の水嵩も増える一方。 これで電気系がショートして停止したら一大事だ。

しかしすでにPラップのセンサーは水没。 踵はおろか、足首まで水位が上昇。 バケットの中はとっくに股間まですっぽりと水没している。

長く感じた雷雨も下火になり、少し安堵したところで交差点を右折したら、車内の水がザザーンと音を立てて波打った。 先程までは雨音が酷くて聞こえなかっただけなのだが、もう全ての荷物が水に浸かっていた。

そして雨は上がった。 暑さ対策のタオルに水を浸して車外で搾りながら走行。 あと少しで自宅というところで空からは太陽が覗き始めた。 ちくしょう。

とにかく早く水を汲み出そうとしか考えず、全身ズブヌレのまま排水作業。 当然、バケットにも水溜まりが出来ていたが、余裕がなかったので水を有る程度汲み出した所で写真を撮ることに気が付いた。

これでは悲惨さの1/100も伝わらないか。

青空の下で太陽を恨みつつ、降り込んだ雨水を取り除くため数時間費やすこととなった。 友人が雨が降り込んだ車体を一日放置したらカビと臭いで酷いことになった話を聞いていたので、徹底的に車内の水分を除去。 どうしてもバケットだけは湿り気がとれなくて大変だった。

天気予報が晴れると言っても今後は絶対に幌を積んで行くべきだ。

 

 

リヤダンパーO/H

上の方で書いたとおりダンパーが逝ってしまっていた。 それを確認するためレースの翌週、ジャッキアップしてダンパーを外し、人力でダンパーのシャフトを押し下げてみた。 縮みの減衰状況を見ようと試みたのだが、手で押しただけで明らかに押し縮めるのに必要な力が左右で違う事に愕然。

こんな状態で走っていたのかと嘆くとともに、これほどの状態に成らないと気が付かない自分の鈍感さが情けない。

縮み側だけでなく伸び側も調整ノッチを回して確認してみたが、今回はリヤ左の圧縮側が抜けていたようだ。 だが、前回のオーバーホール時にダストブーツを装着したためブーツの中は非常に良い状態で、ダストシールからオイルが漏れた形跡はもとより埃の進入も殆ど無かった。 今回は使用頻度による寿命らしい。

見た目では全く解らなかったが、手で感じるほど劣化していたこのダンパー。 そうか、右コーナーでパタンと車が倒れ込んでオーバー・アンダーになっていた理由はコレか。

前回の走行時、倒れ込み速度を抑制するためにリヤの減衰を1ノッチ締め込んだのだが、装着しているクァンタムは1ウェイの減衰調整で、それも伸び側しか可変でないため劣化した縮みを補う事は出来なかったようだ。

リヤを確認した後、フロントを外して確認したのだが縮み・伸びとも左右一緒。 ノッチを数段締め込んで縮めたシャフトの伸び具合をチェックしたが、ウットリするほど差違は無し。 このクォリティだからこそ、少しでも異変があったら感じ取れるように成りたい。

ただクァンタムはオーバーホールに時間が掛かるのと、費用が高いのがウィークポイント。 少しでも早く仕上がるようにと、独自の減衰で販売している購入元のグローリーさん経由でオーバーホールを依頼。 ただし、フロントは懐具合が厳しいのでリヤだけにした。

更正に出したのはリヤだけだが、リヤだけノーマルサスペンションにしたのではバランスが悪くなるだろうと思い、久しぶりにノーマルのサスに前後とも戻した。 ...こんなに車高高かったか? ノーマルはタイヤとフェンダーの間に拳が縦に入る。

低く構えた姿勢に見慣れているのでメチャクチャ格好悪く感じる。 乗り心地は良いが、これでは散歩に行く気にもなれない。

 

 

林道ツーリング 

梅雨の合間を狙って林道ツーリングに出かけた。 今回は以前走った林道大名栗線から脇道に逸れてみた。 梅雨の合間と言う事で路面に所々水溜まり。 ガレガレも苦手だが、ウエットな粘土はもっと苦手。 偶に現れる水溜まりにドキッとしたが、この林道は砂利ベースなので私のような初心者向き。 大きな轍と所々にある土砂崩れに気をつければ景色を楽しみながらトコトコとツーリングが出来る。

向こうに見える稜線から1時間程。 グルッと名栗湖の回りをまわってきたようだ。 地図に載っていない今回の道、まだ作っている最中のようで、いいペースで走っていたら突然終点。

この砂利はアスファルトの路床に成るのかも知れない。 どうりでフラットで走りやすい筈だ。

オフロードの走り方を解っていない私に、今回同行した仲間が私のライディングにアドバイスをくれた。 オフロードでのコーナリングはタンクの直後に座るようにし、フロントタイヤに体重を掛けてリーンアウト姿勢でアクセルを開けながらターンすると扱いやすいらしい。

アドバイスを元に意識して前よりに座りながら、コーナーの内側に足を出してアクセルを少し多めに開けて走ってみた。 するとフロントに荷重がかかるためアプローチがシッカリする。

フロントのトラクションが良いので思い切ってアクセルを開けられる。 怖いからと言ってゆっくり走ると路面の轍にハンドルを取られる。 有る程度のスピードを保ってギャップの上を飛んでいく感じで走ると良いようだ。 なんて書くとオフロードライディングの達人たちには鼻で笑われるか。

ガレた所で石を弾き飛ばしながら走ったり、コーナリングでテールをスライドさせたりして走るのが楽しい。 勿論、ここも公道なので対向車が来る。 この日もバイクとすれ違ったし、自転車で林道ツーリングしている人もいた。 ブラインドコーナーでは自分の車線内で注意深く走ったのは言うまでもない。

次回は先日走った時に違う枝線が有ったのをチェックしているので、それを走ってみようと思っている。 関東近郊にも地図にない林道は絶滅危惧種だが残ってはいるようだ。 そんな地図にない道を探して走るのも楽しい。

 

 

今月の整備記録

エンジンオイル交換 59,500km 2006.07.08 MOTUL 300V CHRONO 10w-40
右前ハブベアリング交換 59,900km 2006.07.15

ベストラップタイムの記録
 
各々の目標 筑波2000:1分04秒 (ラジアル)  筑波1000:39秒(ラジアル)
  FSW:2分03秒(ラジアル)  もてぎフルコース:2分16秒(ラジアル)
FSWショートコース:33秒5(ラジアル)
 
筑波サーキット
 コース2000
1分6秒683(2002.03 ロードスターでの公認記録)
 215/50−15 アドバン A048 (Mグレード)
 1928ccエンジン+ソレックス44 足廻り改

1分4秒192(2004.03 エリーゼの公認記録)
 195/50−15・225/45−16 A048 (Mグレード)
 クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+マフラー

1分5秒095(2006.03 エリーゼの公認記録
 195/50−15・225/45−16 Neova AD07
 
クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+アローレーシングマフラー

 
 
筑波サーキット
 コース1000 
41秒709(2002.05 ロードスターでの公認記録)
 215/50−15 アドバン A048 (Mグレード)
 1928ccエンジン+ソレックス44 足廻り改
 
 
日光サーキット 44秒129(2001.03 ロードスターでの公認記録)
 205/50−15 BS RE540S ソフト(Sグレード)
 エンジンノーマル(ロムチューンのみ有) 足廻り改
 
 
富士スピードウェイ
 旧コース
1分55秒28(2002.04 ロードスターでの非公認記録)
 215/50−15 アドバン A048 (Mグレード)
 195/55−15 BS RE540S ソフト(Sグレード)
 1928ccエンジン+ソレックス 44 足廻り改 ※手計測データ

1分50秒772(2003.02 エリーゼの非公認記録)
 195/50−15・225/45−16 A048 (Mグレード)
 クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+マフラー

富士スピードウェイ
 新コース
2分05秒243(2005.05 エリーゼの非公認記録
 195/50−15・225/45−16 Neova AD07
 
クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+アローレーシングマフラー
富士スピードウェイ
 ショートコース 
33秒6(2004.04 エリーゼの非公認記録)
 195/50−15・225/45−16 A048 (Mグレード)
 クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+マフラー

33秒706(2006.04 エリーゼの非公認記録)
 195/50−15・225/45−16 Neova AD07
 
クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+アローレーシングマフラー

 
ツインリンクもてぎ
 フルコース
2分16秒479(2004.11 エリーゼの公認記録)
 195/50−15・225/45−16 A048 (Mグレード)
 クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+マフラー
 
 
ツインリンクもてぎ
 東コース
1分52秒006(2003.10 エリーゼの公認記録 ウェット)
 195/50−15・225/45−16 A048 (Mグレード)
 クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+マフラー
 
 
エビスサーキット
 東コース
1分09秒228(2003.10 エリーゼの公認記録)
 195/50−15・225/45−16 RE−01
 クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+マフラー
 

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