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2005.11



111cupRd.5、ポールポジションは獲れたのだが


 
クァンタムのオーバーホール


先月のレース後記で書いたように、フロント左ショックがスカスカだった私の車両、このままではレースは愚か普通に走るのでさえダメだ。 レース終了後ダンパーを取り外し、購入したグローリーさんを通してクァンタムにOHを依頼した。

この足には非常に満足しているので仕様変更は無し。 というより私は減衰力の変更調整をオーダーできるほどの知識はない。 ただし、新品の時からダストブーツが装着されていないのが唯一気がかりだったので、今回は装着できないかメーカーに質問書を添付しておいた。(ノーマルのコニもブーツ無しだったりする)

ダストブーツが有るのと無いのとでは劣化の進行具合が違うはず。 以前オーバーホールした時はロッドに何か堅いモノがぶつかって傷が付き、それが原因でシールが破損してガス抜けした経緯もある。

しかしクァンタムからの返答は、ブーツを付けるためにはバネの直径を1サイズ上げて欲しいとのこと。 いやいや、これは困る。 同じレートのバネでも巻き数や鋼材の太さが違うとスペック上は同じ反発力を持つバネでも特性が変わってしまうからだ。

しかしメーカーさんが今のままでは装着できないというのでは仕方ない。 何かを流用して取り付けられないか考えてみることにした。 ブーツの寿命は短くても良いのだ。 バネに干渉せず、飛来物を避けてくれさえすれば。

何が流用できるだろうか?

東急ハンズを2時間以上さまよった割には収穫無し。(違うモノは購入したのだが人混みの中で疲れて挫折) 仕方ないので再度クァンタムさんに何とかして欲しいと要望を出し、オーバーホールを依頼した。

おぉ、薄手の蛇腹が装着されて戻ってきたではないか。 これで寿命も長くなり、くだらないトラブルの種も回避できるだろう。 しかし、出来るなら最初から付けてくれれば良かったのに。

 

111cup最終戦

いよいよ111cup2005も今回が最終戦。



私の戦っているE2クラス、第4戦終了段階でライバルと同ポイントの首位。
つまり、今回のレースで先にゴールした者がシリーズを制するということ。

実は私、昔からプレッシャーにはとても弱いのだ。

音楽のテストで歌わせられたり沢山の人の前で発表なんて事になると、ガラス製の小さな心臓がバクバクと高回転してブロー寸前。 人生においての大事な試験や試練となると腹の具合まで悪くなる始末。(思い出すだけで腹がゴロゴロしそう)

そして、こう言う時に限って大失敗をやらかすのが私である。 何度辛酸を舐めてきた事か。 ということで、今回は用意周到に1ヶ月前から準備開始。 体調の管理まで気にしていたつもりだったが....

−−−序章−−−

レース当日の朝、例によって目覚ましが鳴る前に起床。 まずは気になる天気。 早速テレビで天気予報をチェック。 どうやら「もしかしたら降るかも知れない」という微妙な状況のようだ。 何とか持ってくれよと祈りながら、入れたくない傘を入れつつ持参荷物を最終チェック。

そうだ、交通情報も見ておかないと。 前回のレース当日、高速道路と一般道で事故が有り、その影響で予選に間に合わない人が続出。 今回は今のところ大丈夫のようだが、この先も大丈夫とは言い切れないので30分ほど余裕を見込んで6時少し前に出発。

こう言う時に限って道路状況は一般道・高速道とも順調、1時間ほどで筑波に着いてしまった。 この時の時刻は7時を少し過ぎたころ。 誰か居るだろうと思っていたが、サーキットには111cupのエントラントだけ誰も居ない。 前回あんなに遅刻者が居たのに、懲りてない面々だな。

しかしポツンと私だけ居るのは嫌な感じだ。

暫くしてイツモの仲間がゾロゾロと集まってきたが、「また一番乗りですか〜」....言うと思ったよ。 顔を見るや否や、私に対するプレッシャー攻撃が始まり111cup最終戦が始まったのであった。


−−−予選−−−

今回の111cupは予選・決勝ともタイムスケジュールの末端。 いままでは朝一の好コンディションで予選をし、午前中に決勝を済ませ、ランチで解散という実に私好みの時間配分だったのだが、予選も決勝も古いクルマの後と言う事で路面コンディションが気になる。

数日前にコソ練した時、お昼前という時間帯でも5秒中盤をコンスタントに出せていたので、予選はクリアラップが取れれば良いタイムが刻めると思っていたが、路面コンディションが悪ければ駄目なのだ。

そんな時、「今日はスケジュールが10分ほど前倒しで進行しております」とアナウンスが有った。 ちょっと早い気もするが15分前に用意を完了させた途端、「111CUPに出走の方は準備が出来ましたら...」と更なるアナウンス。

すぐさまエンジン始動、ゲートに直行!
へへへ、一番乗り♪

よし、これでクリアラップを確保しやすい位置でコースイン出来そうだ。 そんな私の後には、今シーズンE1クラスチャンプを早々と決めたKさんや、ライバルの○○さんなど手練れが続々。 ちょっとプレッシャー。

定刻10分前にシグナルグリーン。
予選開始。

最初の1周は様子見だ。 2周目か3周目にベストタイムを出すためタイヤのグリップは高めておくのだが、今回は欲を掻いてエア圧を低くしすぎたか? グリップは悪くないがフィーリングが悪い。

ん?、1コーナー脱出時にシミーが出る。 まるで激しいフラットスポットが出来てしまったタイヤで走っているようだ。 フロント伸び側減衰がオーバーホールで強まったか? ハブベアリングにガタが出て、加速でフロントの荷重が減った時に支障が出てたりして。

イカンイカン、細かい事は考えずにドライビングに集中しよう。

3周目が終わった時点でPラップによるとは5秒9辺り。 しかしPラップの表示ってこんなに薄かったか? もしかして電池切れ? 勘弁してくれよ。

そんな薄い表示のPラップを見ながら、これは納得のいくタイムでは無いと思いながら4周目のS字で電光掲示板を横目でチラリ。 ゼッケン1が私の上になった。 まぁコレはいつもの事。 なのだが、何故か今日の私は沸々と湧き出る闘志を押さえきれない。

先日のスポーツ走行で走った時より頑張っているのにタイムが上がらないのが納得いかない。 あの時と違うのは路面コンディションと搭載ガソリンの量。 曜の時はガソリン満タンで5秒6を連発したのだが、今日はガソリン半分なのに何故5秒後半しか出ない?

更に闘志が沸いてきた。

全コーナーでブレーキングを奥まで頑張り、最終コーナーではクリップに付けなかったものの構わず手前から全開。 これで漸くPラップは5秒88を示したが、この時点でマダ時間は半分ある。 やはり納得いかない、もう少し攻めてみよう。

しかしクリアラップがそんなに取れるはずもなく、やがて目の前には目一杯で走ってると思われる雰囲気の車両が現れた。 恐らく私が背後から迫っている事に気付いていない。

オフィシャルがブルーフラッグをバタバタと振っているが気付いていない。 次のコーナーでもオフィシャルが合図しているが、全く譲ってくれる気配無し。 今まで一緒に走った事のない車両なので、彼?のスキルも不明。 インに顔出しすれば気付いてくれるかな...

ダンロップ下に向かってノーズを出そうとした瞬間、フッと脳裏に嫌な予感が炸裂。 引いて大正解。 あのままノーズを出したら今頃は恐ろしい事に成って泣いてる筈。 頼むからフラッグだけは見て欲しい。

そんな怖い車両をやっとパスしたと思ったら、前方には予選にも拘わらずバトルしてる車両が2台。 またまた変な車両に引っかかってしまったらしい。 しかし、なぜ予選で熱いバトル?

お互いの走りは気にしてても、それ以外は見てないんだろうな。

オフィシャルさんは健気に青旗を振っているが、この人達は全く動じる気配なし。 特に1台は「邪魔すんなよ」って挙動に表れているし。 こいつらもアブネーな、と思ったら片方の車両はスッと譲ってくれた。 おぉ、貴殿はちゃんと見ていたのね。 もしかして、この兄ちゃんに指導する意味でのバトル? だとしたら貴殿はスゴスギ。

しかしコイツ(もう「コイツ」って表現で十分)、1周近くも青旗振られるってのは如何なものですかね。 もしかして意地に成っちゃってる? 正式なレースだったら抗議モノだぞ。 それとも私を嫌っての行動か?(笑)

やっと譲ってくれた。

そしたら背後にピタリ。 コイツ、譲ったのではなく背後についてヤル気満々でやんの。 よし、このバトル買ってやる!(おいおい、さっき予選なのにバトルしてるって嘆いてたの誰だよ)

後に付いた野郎はミスしながらもパワーを生かして着いてくるではないか。 なんだか1周先導して攻略方法を教えてしまった感じ。 バトル状態だから大したタイムは刻んでないが。

「このヤロー」と思った瞬間、ヤツが1コーナーでタコ踊りして決着♪ しかし時間の方も終了時間。 最後は予選でなくバトルで消費してしまった。 まだまだ私もレベルが低くて情けない。

しかし電光掲示板を見上げると、私のゼッケンが一番上に輝いてるではないか。「やった、ポール奪取」




−−−予選終わって−−−

案の定、気の知れた仲間達がヒト言・フタ言を伝えに来た。

某輩:「やったね、ポールじゃん」
kmps:「ありがとー」
某氏:「これで今日はポールトゥーフィニッシュでケムさんの優勝だねぇ」
kmps:「いやいや、そんなことあり得ませんから」
某氏:「またまたぁ、その気な癖に」
某君:「ケムさん絶対狙ってますよねー」
某様:「もう優勝したようなモンじゃないですか」
某殿:「ブッチギッて優勝して下さいね♪」
kmps:「ぉぃぉぃ・・・・・・・・・・・」

という感じ。 ニヤニヤしながら矢継ぎ早に重圧を掛けに来て下さる貴方達、本当にイイ仲間達だよ。

しかし、
「スタートさえ上手く行けば何とかなるかも」

などとヨカラヌ事を心の中で考え始めてしまった。 今回はもう二度と有るか無いかの大チャンス。 格上を食っての総合優勝なんてカッコ良すぎ。 そんな妄想に浸り始めたのが数時間後に起きる事へのプロローグだったのかも知れない。


−−−決勝−−−

さて、いよいよ決勝の時間が迫ってきた。 まだ多少浮ついているが、そんな自分に落ち着くよう言い聞かせながら車に乗り込む。 そしてゲート前に車を並べ、私らの前に行われるレースのスタートシーンを何気なく見ていたのだが...

レースがスタートし、て競技車両がインフィールドへ来たと思ったら、1ヘア出口辺りで激しいオイルスモーク。 而も尋常な量ではない。 辺り一面が真っ白になるほどのオイルスモークなのだ。 当然メインポストでは赤旗が掲げられレースは中断。 すると目の前に古いアルファロメオが止まっていた。

そのアルファをオフィシャル達がパドックへと押し下げると、路面には嫌な光を放つオイルがベットリ。 それも私のスターティンググリッドを含めた通過ライン。 コース整備員達が大量の大鋸屑を手にとってオイルに掛け始めたが、その量たるや半端ではない。 何しろ1ヘアからメインストレートまでレコードラインに撒散らしてくれたのだから。

今回は可成り前倒しで進行していたが、これで一気に時間の余裕が無くなってしまった。 そして私の心理状態も異常な高ぶりを刻み始め、自分の心臓の鼓動が聞こえるほどだ。

私のグリッドにオイルたっぷり
レコードラインがダメ
レース再開が不明

なにもこんなに一気に起きなくても良いのに。 と思っているとイイ仲間達がここぞとばかりに更なるプレッシャーを.... もう平常心なんて何処かへ行ってしまった。

微笑みかけた女神が「べーっ」と舌を出して嘲笑ってるのか、私を試しているのか。 どうやら簡単には事を進めさせてくれないらしい。

そして大幅に変更されたスケジュールも漸く111cupの決勝時間となり、まずはコースインしてウォーミングラン。 やはり予想通りレコードラインにオイルが乗っているようだ。 

ウェービングをしながらオイルを踏まないように気を付ける。

ダミーグリッドからグリーンフラッグが振られ、今度はフォーメーションラップ。 再びウェービングでタイヤを暖める。 今回は少し念入りに直ドリを入れながらタイヤに熱を加えてみた。

そして、全車グリッドに付きレッドシグナル点灯・・・・ブラックアウト。



あ゛ーーーーっ、ホイルスピンしちまった〜

しかもストール寸前。 大失敗の2度発進だぁぁ



オイルに乗ってしまったかどうかは定かで無いが、此程にスタートでホイルスピンしたのは初めて。タイヤにオイルが多少付いてたのかも知れないが、焦りが招いた結果だろう。

当然、後ろの車両に並ばれてしまい、そのまま併走で1コーナーへ。 ヘルメット越しの左耳にゼッケン20の気合いタップリなスキール音が響く。 しかし此処は私も意地でインベタのギリギリコーナリング。

そのままお互い1歩も退かずに1ヘアに。 しかし私は当然アウト側。 ここには大量のオイルがある所。 ダメだ。 悔しいけど引くしかない。 これは自分の失敗が招いた結果、背後から冷静に黄緑のゼッケン20を攻略して隙をつくしかない。

前を行くゼッケン20の車両、2ZZという190馬力のトヨタエンジンを積んだ通称エクシージ2。 前回のレースで私の前を走っていた111Rと基本的には同じ動力性能なのだが、この車両は2ZZの弱点と言われている中間トルクの無さを補うため、S氏の選択で市販のクロスミッションが装着されているのだ。

その実力はダンロップ下と2ヘアまでの加速で明確になった。 ノーマルのギア比であれば多少もたつくので追い縋る事が出来るはずの区間だが、小刻みに刻んだギアの優位性を遺憾なく発揮して、重たい車両を感じさせないセッティングになっている。

隙がない。

だが、長い直線からのブレーキングでは重量が災いするはず。 1コーナーのブレーキングでは隙が生じるかも知れない。 オープニングで仕掛けられた攻撃を、今度は私が仕返せばよいのだ。

それにはプレッシャー
1周目からハイビームオン!

重い・遅いと言われているトヨタエンジン搭載車両だが、上手な人が操ると確実に速い。 私は190馬力+腕で遅いはずがないと思っていた。

などと今頃冷静になっても遅い。
今は相手のミスを誘う事が大事なのだ。

それにしても本当にオイルを大量に撒散らしやがって、アルファロメオ。 併走とかクロスライン使ったら即コースアウトになるのでラインを外せないではないか。 1ヘアの立上りでどうしても大鋸屑の上を走らねばならない所があるが、そこだけ氷の上を走ってるようにタイヤが空転する。

これでは怖くてラインを外せないし、ベストラインでは無いためタイムも上がらない。

ダンロップ下も外に孕めないし、最終コーナーも1本のラインしか無いため果敢な走りが出来ない。 後から聞いた話だが、最終コーナーで大鋸屑に乗った瞬間にスピンした車両が有ったとか。

話をレースに戻す。

先程チャンスがあるかもと書いた1コーナー、確かに車両3台分のリードをメインストレートで取られていても、1コーナーを立ち上がった所ではピタリと背後に迫る事が出来る。 次の1ヘアでは前車にくっついてしまってアクセルが開けられない事も有るほどだが、とにかく今日は揺さぶるラインが無いのだ。

背後にピタリと張り付いてプレッシャーを与える事しか出来ない。

しかし前を行く彼は私と違って重圧など関係ないようだ。 私など眼中にない感じで淡々と走りきってしまい、結局一度も仕掛けられずにゴールとなり完敗。 レース中のベストラップタイムを取れたのが唯一の救いか?

ということで決勝総合2位・E2クラス1位
今シーズンのシリーズはE2クラス1位獲得で終了。

※カッコ悪いレース決勝動画配信中(WMV形式120MB)


突然の油圧低下

その日は天気も良く、久しぶりにFSWのスポーツ走行に行こうかと早朝に都内を抜け、東名高速経由で御殿場インターを目指した。 さすがに早朝、いつも混雑している環八もスムーズに流れ、平日昼間の1/3の時間で高速道路に乗る事が出来た。

一般道同様、高速道路もスムーズに流れているようだ。 速度は追い越しラインで制限速度+α程度。 私も前走車に続き、流れに身を任せる事にした。

流れには和を乱す車両もなく、エンジンの準備運動には丁度良い速度域だ。 やがて用賀の料金所へ到着し、私はETCゲートを通過。 車内ではエンジン回転数が3500rpm程度なので何とか音楽も聴けるし快適・順調。

しかし横浜インターの表示が表れた頃、突如警告ランプが点灯。 またオルタかよと思い、インジケーターを再確認するとオイル系統の警告灯だった。

油圧計の指針は1.5キロ程度でブルブルと震えている。

油圧が徐々に落ちたのか急激に落ちたのかは不明だが、このまま走らせる訳には行かない。 青ざめながらクラッチを目一杯踏み、エンジンは停止させずにアイドリング状態としてハザードを点灯させながら路肩に寄せた。

アイドリングで油圧は2キロ出ている。

エンジンから異音はしない。

水温80度、油温80度。

アイドリングでは問題なさそうだ。

此処は幸いにして横浜インター出口まで500mを切った地点。 路肩で痛い視線を浴びせられるのは辛い。 油圧計に細心の注意を払いながら1500rpm程度で路肩からインターへ向かう。 そしてインター脇の公団事務所駐車場へ車を入れた。

油圧はアイドリングでも1500rpmでも、それ以上でも2キロより上がらない。 これはメタルトラブルか? オイルポンプか?

厄介な事になった。

つい先日にエンジンを載せ替え、111cupRd.4で好成績を残したエンジンだというのに、どうしてトラブルが出るのか? そういえば、エンジン載せ替えて引き取りに行った時、油圧が出ないと連絡があったな。

あの時はオイルの温度管理をするためのサーモブロックを疑い、分解してサーモスタットの状況を確認して頂いたら回復したのだった。

確か、点検して頂いたのはエクシージ・160用のオイルフィルターブロックの出口油圧と、サーモブロック出口のオイル吐出状況で、フィルターブロックからの吐出は正常だったと連絡があったはずだ。

またサーモブロックに何か起きているのか?

ショップに連絡したいが、時刻はまだ午前6時台。 常識的な時間帯になったら電話して引き取りに来て貰おう。 やはりインター出口まで動かして正解だった。 ここでもフードを開けて覗き込んだりすると、視線が痛く突き刺さる。

暫くしてエンジンが完全に冷えた頃を見計らい、始動させてみた。 始動直後の油圧は3キロ。 オイルが冷えた事で油圧が出ているようだが、少し回転を上げても連動して油圧が上がる事は無い。

オイルが冷えてサーモブロックが動きを取り戻してくれたら自走し、ショップへ向かおうと思ったのだが、それは無謀のようだ。 横浜インターからであれば、ショップまで道さえ空いていれば大した距離ではないと思ったのだが。

これではダメージの追い打ちを掛けるだけだ。 状況が好転しないのならば、やはりショップが開くのを待つしか無い。

暫くしてショップ社長の個人的携帯電話に電話。 それから待つ事2時間半。 いつもお世話になっているローダーにクルマを積載。 しかし、こんな時に限って誰かに出会うものである。 同じくSr.1の111Sに乗るS氏が偶々インターを通りかかって声を掛けてくれた。

S氏に状況をお話しすると、自宅まで送って下さるという。 大変ありがたいお話しだが、何が起きているかが知りたいし、111cup最終戦まで時間がない。 このままショップへ同行し、許されるのであれば直ぐにでも原因究明のためにエンジンを開けても良いとさえ思っている。

 

ショップに到着。 さすがに当日エンジンを開けるわけにも行かず、「先ずは疑わしい所から調査しましょう」と、言う事でオイルポンプを疑う事にした。 ここがダメならエンジンへのダメージも考えなければならない。 

これが翌日に取り外して分解したオイルポンプ。

ギヤの欠けもないし傷すらない。 原因解明には成らなかったが、ここにダメージがあったらただ事では済まないので良しとするべきか。

それにしても薄っぺらなポンプだ。

ローバーの設計ではこのエンジンに対してはコンナモンでOKなのだろうか。 元々14Kという1400ccのエンジンがベースなのだが、まさか1400ccのポンプのままと言う事は無いだろうな。

エクシージも160も空冷オイルクーラーがデフォルトで装着されているのだから、対策されていない筈がない...と思いたい。

 

さて、それでは原因は何なのか?

次に思い当たるのはサーモブロックだが、油圧が低下したエンジンの怖さは以前炎上したときに懲りている。 エンジンが無事かどうか、腰下を開けてみる事にした。 出来ればアタリの付いているエンジンを開ける事などしたくないが、万が一メタルに傷など入っていたら次のレースでブローと言う事も有り得る。

ということで載替時に開けなかった腰下を開ける事となった。 油圧が出なかった時にシッカリと確認と対策を講じておけば...まぁ仕方ない。 これで完璧になると覚悟を決めた。

親メタル...OK

子メタル...OK

ピストン...若干の吹抜が見受けられるが概ねOK

シリンダー...30,000km使用のエンジンならばこんなモンか ホーニング目が少し薄い

ブロック...オイル管理は悪くないようだ

スリーブ...段落ちは無いようだ

どうやらこのまま組み直しても良さそうだと解り一安心。

 

では何が原因? やはりサーモブロックしか無いな。 私の装着していたメーカーの新品に付け替えようかとも思ったが、実績のあるメーカーの商品にしましょうということで、今回はAPPのサーモブロックを装着する事になった。

私はサーモブロックに油圧と油温のセンサーを取り付けて管理しているので、1/8ptのセンサーが取り付けられるようになっているコノ製品は都合が良い。

オイルラインに余計な物を付けない方が良いという話がある。 尤もな話だが、オイルの適正温度を遵守すべきという話もある。 何が最優先か私には解らないが、空冷オイルクーラーを装着する場合にはサーモスタット装着は必然と思っている。

これが水冷式であれば、水温管理はLLCのサーモスタットに任せれば良い。 なのでオイルラインは単純になる。 ラジエターのキャパが大きいのであれば、以前装着していた水冷式がオイルラインも短くて良さそうだ。

話は変わるがロードスターを徹底的に弄っている友人が居る。 彼は巨大なラジエターを装着してオイルの温度管理は水冷式オイルクーラーに委ねている。 水温・油温とも全く問題ないと言う事で良い事尽くめらしい。

確かに、この複雑な蜷局を巻いている配管を見ると「これで良いのか?」という気持ちになるのは確かだ。 実際、同じ車両でサーキットを走る友人達も標準ラジエターに水冷式オイルクーラーを挟み込むだけで十分な性能を確保している。

まぁいい。

私は空冷を選んだのだ。 これで真夏でも人間がヘバルまで走れるようになったのだから、これで良い。 水冷式では水温が100度・油温が130度を超え、思いっきりパワーダウンしたので嫌になったのだから。

話を戻す。

配管接続も終了し、試運転してみると見事に油圧は復活。 冷間時のファーストアイドルでは5キロを超える所でリリーフしているようだ。 そうだ書き忘れる所だった。 今回はリリーフバルブにプリロードを欠けるのは廃止した。

少し信頼度に欠けるメーカーのエンジンではあるが、ストレスを掛けずに目標油圧が確保出来ていれば余計な物は無い方が良いだろう。

暫し暖機して適温になった後に高速道路を巡航してみたが、巡航時には4.5〜5キロを確保していたので問題無し。 ただサーモブロックを変更した為か、油温計に表示されるオイル温度が以前とは違っている事が気がかりだ。

だが、これはサーモブロックの仕様で異なるだろう。 恐らく以前の物は80度で有る程度の流量が確保出来るため、高速巡航で82度安定だと推測されるが、今度の製品は同じ80度のサーモスタットでは有っても、バイパスラインへ流れる設計が微妙に違うのだろう。

常識的な速度で巡航する分には、90度程度で安定するようだ。 だが、問題はサーキット走行時。 その時に適切な油圧確保と油温保持が出来て、初めて合格なのだ。 これは走ってみないと解らない。

結果的には上で報告した111cupの最終戦がテストの場となった。 最高油温は115度で、その時の油圧は4.5キロ。 個人的には今の季節ならば油温は110度までに収まって欲しかったが合格だ。

レースで支障なく走れているので機関は絶好調と思いたい。

このまま10万キロ走って...くれないだろうな。

 

その他雑記

私はオフロードバイクにもチョコチョコと乗っているのだが、バイクのケミカル品にも良さそうなモノがあったので流用してみる事にした。

それはスポンジ製のエアクリーナーに塗布する特殊なオイル。 ツインエアというオフロードバイクのスポンジエアクリがあるのだが、それのメンテオイルがナカナカ良いのだ。

触ってみるとネットリべとべと。 これなら細かい埃も受け止めてくれそう。 土埃の中を走るエアクリ用のメンテオイル、良い仕事しそうな感じ。

今まではエンジンオイルやK&Nのフィルターオイルを使用していたが、サラサラなので細かい塵芥まで受け止めてくれないのが悩みだった。 折角オーバーホールしたエンジン、これでライナーに少しでも傷が付かなくなる事を願う。

 

さて、そのバイクだが、最近カチカチとヘッドから異音がするようになった。 一般的にヘッドからのカチカチ音はタペクリの不良と相場は決まっている。 ショップにタペクリ調整を依頼すると居酒屋なら2回ほど行ける金額になると言う。

それなら居酒屋へ1回行って残りの金でシクネスゲージを購入し、チマチマと調整すれば趣味と実益の一挙両得。 と、相変わらず浅はかな考えで行動するのが私の悪い癖。 しかも一度思い立つと居ても経っても居られなくなるから質が悪い。

ということでコレがシクネスゲージ。 高校生の頃にプラグギャップを計ったり、モンキーのエンジンでタペクリ調整した時に確か購入したはずだが、どうしても見あたらないので使いやすいというKTCの角度付ゲージを購入した。

単車はRFVCという放射バルブ形式のXR250。 4つのキャップを開ければ即調整できるという親切設計。 しかもロッカーアーム形式でネジタイプなので調整は容易なのだ。

まずはクランクケースのキャップを外し、合いマークをTに合わせて圧縮上死点を出しておく。

あとはシクネスゲージを突っ込んでマイナスドライバーとメガネレンチで調整して終了。 楽勝ですな。

さてエンジン掛ければ絶好調。 の筈だったが、暫く走ると「カチカチ...」。 え? どうして?

もう一度調整し直したが結果は一緒。 エンジンが暖まると異音が出てしまう。

調整する時、何気なくロッカーアームを触ってた。 なんだよ、ロッカーアームにガタがあるじゃないか。 上の画像で放射バルブの向きとロッカーアームの向きに無理があるのが解るだろうか。 このヘッドを何度もオーバーホールしたというアローレーシングのオヤッサンによると、放射バルブはロッカーアームとバルブのアタリ角が良くないので、どうしてもロッカーアームにガタが出てしまうという。

エンデューロレースに出ていたバイクは年に2回ほどヘッドを開けたという。 そういうことか。 今度はバイクのエンジンオーバーホールかよ。 自分でヤルかなぁ。 またまたトラブル起こしそうだけど。

 

今月の整備記録

エンジンオイル・フィルター交換 50,900キロ 2005.10.22 MOTUL 300V 10w-40 CHRONO
ミッションオイル交換 50,900キロ 2005.10.22 NUTEC NC-70
オイルポンプ・サーモブロック換装 50,900キロ 2005.10.22 純正ポンプ+APPサーモブロック
エンジンオイル・フィルター交換 51,400キロ 2005.10.26 MOTUL 300V 10w-40 CHRONO

ベストラップタイムの記録
 
各々の目標 筑波2000:1分03秒 (ラジアル4秒)  筑波1000:39秒
  FSW:2分03秒(ラジアル)  もてぎフルコース:2分14秒(ラジアル16秒)
 
筑波サーキット
 コース2000
1分6秒683(2002.03 ロードスターでの公認記録)
 215/50−15 アドバン A048 (Mグレード)
 1928ccエンジン+ソレックス44 足廻り改

1分4秒192(2004.03 エリーゼの公認記録)
 195/50−15・225/45−16 A048 (Mグレード)
 クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+マフラー

1分5秒505(2005.06 エリーゼの非公認記録
 195/50−15・225/45−16 Neova AD07
 
クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+アローレーシングマフラー

 
 
筑波サーキット
 コース1000 
41秒709(2002.05 ロードスターでの公認記録)
 215/50−15 アドバン A048 (Mグレード)
 1928ccエンジン+ソレックス44 足廻り改
 
 
日光サーキット 44秒129(2001.03 ロードスターでの公認記録)
 205/50−15 BS RE540S ソフト(Sグレード)
 エンジンノーマル(ロムチューンのみ有) 足廻り改
 
 
富士スピードウェイ
 旧コース
1分55秒28(2002.04 ロードスターでの非公認記録)
 215/50−15 アドバン A048 (Mグレード)
 195/55−15 BS RE540S ソフト(Sグレード)
 1928ccエンジン+ソレックス 44 足廻り改 ※手計測データ

1分50秒772(2003.02 エリーゼの非公認記録)
 195/50−15・225/45−16 A048 (Mグレード)
 クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+マフラー

富士スピードウェイ
 新コース
2分05秒243(2005.05 エリーゼの非公認記録
 195/50−15・225/45−16 Neova AD07
 
クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+アローレーシングマフラー
富士スピードウェイ
 ショートコース 
33秒6(2004.04 エリーゼの非公認記録)
 195/50−15・225/45−16 A048 (Mグレード)
 クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+マフラー
 
ツインリンクもてぎ
 フルコース
2分16秒479(2004.11 エリーゼの公認記録)
 195/50−15・225/45−16 A048 (Mグレード)
 クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+マフラー
 
 
ツインリンクもてぎ
 東コース
1分52秒006(2003.10 エリーゼの公認記録 ウェット)
 195/50−15・225/45−16 A048 (Mグレード)
 クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+マフラー
 
 
エビスサーキット
 東コース
1分09秒228(2003.10 エリーゼの公認記録)
 195/50−15・225/45−16 RE−01
 クァンタムダンパー+スィフトバネ+スティック対策スロットル
 WOTY SPEEDエキマニ+マフラー
 

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