少し前からコーナリング時に「ウィーン」という異音はしていた。
もしかして(先月報告した)エビス東でのサル走りでトドメを刺したのかな? と、箱根散歩の最初のルートに入った時に直感。 エビス帰りの一般道で 「私のクルマってこんなに煩かったかな?」 と思ったけど、速く帰りたい一心だったのと高速道路では異音が感じられなかったので、この日の散歩を開始するまで全く忘れていた。
そんな状態のまま、いつもの箱根散歩ルートを進む内にデフから聞き慣れない「ウィーン」という異音をキャッチ。 その日はコノ季節としては暖かで心地良く、オープンを満喫...する予定だったのが、トラブルシューティングするための試走になってしまった。(泣)
「修理に幾ら掛かるのかなぁ」 と財布の心配をしながら、どのような時に音が発生するのか観察。 どうやらコーナリング中に一段とトーンが上がるようだ。
ハチロクに乗っている時に同じような音をさせたことがあり、ソレと同じかと思った。 ハチロクのソレは日光サーキットを走行中に縁石を跨ぐ盛大なスピンをした時だった。 そして、その時はデフのファイナルが壊れたのだった。 というのが脳裏に浮かんだかどうかは今では定かではないが、まずデフを疑った。
真っ直ぐ走ってる時には聞こえなかったのだが、テストで荷重を掛けて走っていると直進でも音が聞こえるようになり、しかも徐々に大きく聞こえるようになってきた。 ヤバイ、このまま走行不能に成るのか? ちょっと焦る...イカンイカン。 冷静に原因を探さないとイカン。
フムフム、どうやら加速状態でも減速状態でも、そのどちらでも無い時にでも音が出るようだ。 もし、デフならば加速状態の時に負担が増えるはずだから、その時は一段と異音が大きく聞こえるはずだ。
そうこうしてる内に友人が集まるイツモの某所に到着。 そこでも私は暫く自己テストを繰り返した。 が、冷静さを失っている恐れがあったので友人にナビへ座って貰い、何処から聞こえるか一緒に耳を澄ました...どうやら右コーナーで左のリヤから大きく聞こえるようだ。
これは定番メニューのハブベアリングだろう。
この時点でショップに電話、ハブとハブベアリングの在庫を聞いたところ在庫有り。
ということで早速入庫。 まずは検証と言う事でリヤホイールをジャッキアップ。 そしてそれを手で揺すってガタを見る。 しかし明らかなガタは無いようだ。
次にロックナットの緩みを疑って増し締めをする。 そして試走。 しかし異音は止まらない。
「ここから先はお金が掛かりますよ」 と言われて、「はい、解りました」と返事をする私。 何をするかというと、ハブベアリングの状態を調べるためにドラシャからアップライトを分離させるのだ。
この作業はロアアームのポールジョイントが外れにくいので自分ではやりにくい作業だが、もし、自分でやる方が居れば参考までに。 まずドラシャ先端のロックナットをブレーキローターローターが付いたままで外す。
つい忘れて周囲のボルト類を緩めてしまいがちだけど、コイツを緩めておかないと進まない。(思いっきり固く閉まっているので、長いブレーカーバーと鉄パイプを用意すること)
次にローターを外すためにキャリパーを外し、ローター、トーコンアームとロアアームの順番で外して行く。
ここでロアアームが簡単に外れてくれたアナタはラッキー。 こいつはメチャクチャ固く、ボールジョイントプーラーなどの特殊工具を使わないと外れてくれない。 私の場合はプーラーを掛けただけでは外れてくれず、プーラーの頭をハンマーでコンコンと叩いてやっと外れる始末。
おかげでボールジョイントのボルト頭が少し潰れてしまったほど。
ロアアームのボルト先端が苛められたの解ります?
外したアップライトアッシー、この裏面撮影しておけば良かった。 というのも、この裏面は油汚れが凄い。 その理由はハブベアリングのグリスが流出したためである。
そう、あなたのハブベアリング周りは漏れたグリスに埃がビッシリと付いてませんか? もし、こんもりと埃が堆積してるようだと危険信号。 まぁ、定番トラブルだから早めの交換をお奨めします。
というのも....まぁ、最後まで読んで下さい。
この時点で原因解明。 ハブベアリングのグリス切れで固着寸前だった。 先程のアップライトに付いたままハブを手で回すと妙なクリック感有り。 これならどんな人でも絶対に解るはず。
でも、ここまで外さないと解らないのが悔しいというか面倒。 ガタを見るためにタイヤを揺すったりするのだが、あれでは絶対に発見出来ないね。 もし、あれで見つかるようじゃ、そのクルマは相当酷い状態でしょうね。
ここが完全に破損してしまうと命が危険、疑わしい人は早急にチェックを!
外してみるとハブはこのような状態。 もうアルミが叩かれて酷い有様。
しかし、これを外すのに一苦労というか予定外の状態に....
油圧プレスを使って圧入状態のハブとベアリングをアップライトから抜くのだが、プレスに掛けた時にアップライトのトーコンアーム先端を支点にして加圧。 するとアップライトが圧力に負けて変形してしまったのだった。
まあ、それほど固着していたと言う意見もあるのだけれど。
外したハブは再使用不可。 ベアリングと接している面のアルミが囓っており、このような状態だと抜けるモノも抜けづらくなってしまう。 そしてベアリングの方は先に述べたとおり、グリスが流出して焼き付きかけていた。
以前に書いたフロントのブレーキジャダーの原因も、ハブとハブベアリングの垂直圧入の僅かなズレが問題だったし、私のクルマはハブが鬼門なのか?
もしかしたら今まで乗り継いだ車のブレーキジャダーも、ハブ関係に異変が起きていたのかも知れない。 変えたばかりのローターが反っているなんて考えにくい。 交換してもジャダーが直らない場合、アップライトにハブを付けた状態でハブの外周にダイヤルゲージを当てて計測してはどうだろう。
これで「振れ」が出ていれば原因は其処。
と色々あったが、アップライトとハブ、そしてベアリングを交換した私のクルマは異音は消滅。 それはそうと、この辺りのパーツはやたらと高い。 本当はこの期に全交換するのが良いのだろうとは思って居たのだが、金欠のため該当するパーツのみ交換とした。
因みに私と同じシチュエーションで使用している友人の車、ほぼ同じ時期に結果的には全交換。 異音が出ていた所以外も確認したら前兆が出ていたらしい。
最後にもう一つ、このパーツを交換する前にステアリングのセンターを確かめておくこと。 そして交換後に直線を走ってみてセンターがずれていないか確認。 と、同時にステアリングから手を離して直進性の確認も。
少しでも違和感を感じたらアライメントをチェック。
何故? 書かなくても解りますよね?